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3章 歌音(カノン)
3-7 エピローグ
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「あたしの店はあくまでも庶民の味方! そんなに高級料理とかいらないから! 家族みんなで美味しく食べられる料理を出すの!」
厨房では三人の料理人にレシピを仕込むカノンの姿が。
「ミチバさん! あなたは和食が得意そうね!」
「はい!」
「チンさんは中華かしら?」
「はい、炎の料理が得意です!」
「サカイさんは洋食?」
「はい、特にフレンチが得意です!」
カノンは、それぞれ得意分野が違う料理人達にあったレシピを叩きこんでいく。
一方ホールでは、元々このレストランで働いていた女性達が、ナナとリンネに仕事を教えていた。
「「お姉さん方、よろしくお願いします!」」
トレイの持ち方、歩き方。水の出し方や食器の下げ方。オーダーの取り方。覚える事は山ほどあった。実際今まではカノンが厨房に籠っていたため、こういった教育は殆ど受けていないナナとリンネだ。持ち前のバイタリティと、助けてくれたテンに笑われないようにという思いで頑張ってきただけで、基本も何も出来ていなかったのである。
「ただいま~~。食材、仕入れてきたわよぉ~?」
今までとは扱う食材の量も種類も格段増えたため、スイカの怪力は非常に役に立っている。裏方仕事はスイカに合っているようで、本人も特に不満を漏らすことはない。
こうして着々と開店準備を進めること数日、ついにオープンの日を迎える。テンが引き抜いたスタッフたちも、金縁眼鏡の事は内心苦々しく思っていたようで、カノン達との関係も概ね良好だ。
「いらっしゃいませ! 本日オープンです!」
そんなホール係の女性達に迎えられ、今か今かと待ちわびていた客たちが、それぞれテーブルへと案内されていく。
そして殆どの客に料理が行き渡り、夕食の歓談で賑やかになった頃、ポロン、ポロンとピアノの音が鳴り響いた。
一時歓談を止め、ピアノの音に耳を傾ける客達。
「本日はご来店いただきまして、まことにありがとうございます。しばしの間、お耳汚しを失礼いたします」
ピアノを止め、立ち上がったカノンが挨拶の口上を述べ、深々と礼をする。その時すでに、食事に来ていたはずの客達は、オーディエンスへと変わっていた。
再びピアノに向かって座ったカノンは、自らの伴奏で朗々と歌い上げた。アップテンポで楽しい曲からゆったりとしたバラード。そしてラブソング。その美声に全員が酔いしれる。
数曲を歌い切ったカノンは立ち上がり、深く腰を折った。
「ありがとうございました。皆様さえよろしければ、ディナーの時間限定でこういった催しをする日もあるかと思います。今後とも、どうぞご贔屓に」
挨拶を終え、カウンターの奥へと引き上げていくカノン。その後、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響く。
このカノンのディナーショーが話題となり、店は大繁盛することになる。はるか遠方の街からカノンの歌声を求めて来る客もいるほどだ。
その後も、どれだけ名声を得ようがカノンは経営方針を変える事はせず、家庭的な料理を良心的な価格でふるまい続けた。
そんなある日の事。まだ開店前だというのにズカズカと入ってくる客がいた。
「すみませーん、まだ開店ま……え?」
応対に出たナナが言葉に詰まる。
「すまねえ。腹ペコなんだ。何か食わせてくれ」
「テン! テンだーっ!」
叫びながらテンの胸に飛び込むナナ。それを聞いたスタッフ達も、何事かと飛び出してくる。
「よう」
困ったような笑顔を浮かべ挨拶するテンに、カノンは無言でツカツカと歩みよる。その表情は険しい。
「えっと……?」
その迫力に、抱き着いていたナナも離れて様子を窺う。
「テン!」
「は、はい?」
「あんたはいつもいつも! お礼くらいちゃんと言わせなさい!」
「う……むぐっ!?」
有無を言わせぬ電光石火の早業だった。テンの首に腕を回したカノンは、少し背伸びしてテンの唇に自らの唇を重ねた。
「あっ! 女将さんズルいっ!」
そう口走ってしまったのはリンネ。
「あらぁ~、羨ましいわぁ~」
素直に感情を口にしたのはスイカ。
「ぐぬぬぬ……」
さっきまで抱き着いていたのに悔しがっているのはナナ。
「ふう……」
「一体何を……」
唇を離したあと、珍しく動揺しているテンに、カノンが悪戯が成功した悪ガキのような表情で言った。
「あら、あんた今、キスして欲しそうな目であたしを見てたわよ?」
「いや、ちが――」
「あらごめんなさい。違ったのかしら。じゃあお詫びにあたしの手料理をご馳走するわね」
してやったり。そんな表情でカノンは厨房へと入っていった。
厨房では三人の料理人にレシピを仕込むカノンの姿が。
「ミチバさん! あなたは和食が得意そうね!」
「はい!」
「チンさんは中華かしら?」
「はい、炎の料理が得意です!」
「サカイさんは洋食?」
「はい、特にフレンチが得意です!」
カノンは、それぞれ得意分野が違う料理人達にあったレシピを叩きこんでいく。
一方ホールでは、元々このレストランで働いていた女性達が、ナナとリンネに仕事を教えていた。
「「お姉さん方、よろしくお願いします!」」
トレイの持ち方、歩き方。水の出し方や食器の下げ方。オーダーの取り方。覚える事は山ほどあった。実際今まではカノンが厨房に籠っていたため、こういった教育は殆ど受けていないナナとリンネだ。持ち前のバイタリティと、助けてくれたテンに笑われないようにという思いで頑張ってきただけで、基本も何も出来ていなかったのである。
「ただいま~~。食材、仕入れてきたわよぉ~?」
今までとは扱う食材の量も種類も格段増えたため、スイカの怪力は非常に役に立っている。裏方仕事はスイカに合っているようで、本人も特に不満を漏らすことはない。
こうして着々と開店準備を進めること数日、ついにオープンの日を迎える。テンが引き抜いたスタッフたちも、金縁眼鏡の事は内心苦々しく思っていたようで、カノン達との関係も概ね良好だ。
「いらっしゃいませ! 本日オープンです!」
そんなホール係の女性達に迎えられ、今か今かと待ちわびていた客たちが、それぞれテーブルへと案内されていく。
そして殆どの客に料理が行き渡り、夕食の歓談で賑やかになった頃、ポロン、ポロンとピアノの音が鳴り響いた。
一時歓談を止め、ピアノの音に耳を傾ける客達。
「本日はご来店いただきまして、まことにありがとうございます。しばしの間、お耳汚しを失礼いたします」
ピアノを止め、立ち上がったカノンが挨拶の口上を述べ、深々と礼をする。その時すでに、食事に来ていたはずの客達は、オーディエンスへと変わっていた。
再びピアノに向かって座ったカノンは、自らの伴奏で朗々と歌い上げた。アップテンポで楽しい曲からゆったりとしたバラード。そしてラブソング。その美声に全員が酔いしれる。
数曲を歌い切ったカノンは立ち上がり、深く腰を折った。
「ありがとうございました。皆様さえよろしければ、ディナーの時間限定でこういった催しをする日もあるかと思います。今後とも、どうぞご贔屓に」
挨拶を終え、カウンターの奥へと引き上げていくカノン。その後、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響く。
このカノンのディナーショーが話題となり、店は大繁盛することになる。はるか遠方の街からカノンの歌声を求めて来る客もいるほどだ。
その後も、どれだけ名声を得ようがカノンは経営方針を変える事はせず、家庭的な料理を良心的な価格でふるまい続けた。
そんなある日の事。まだ開店前だというのにズカズカと入ってくる客がいた。
「すみませーん、まだ開店ま……え?」
応対に出たナナが言葉に詰まる。
「すまねえ。腹ペコなんだ。何か食わせてくれ」
「テン! テンだーっ!」
叫びながらテンの胸に飛び込むナナ。それを聞いたスタッフ達も、何事かと飛び出してくる。
「よう」
困ったような笑顔を浮かべ挨拶するテンに、カノンは無言でツカツカと歩みよる。その表情は険しい。
「えっと……?」
その迫力に、抱き着いていたナナも離れて様子を窺う。
「テン!」
「は、はい?」
「あんたはいつもいつも! お礼くらいちゃんと言わせなさい!」
「う……むぐっ!?」
有無を言わせぬ電光石火の早業だった。テンの首に腕を回したカノンは、少し背伸びしてテンの唇に自らの唇を重ねた。
「あっ! 女将さんズルいっ!」
そう口走ってしまったのはリンネ。
「あらぁ~、羨ましいわぁ~」
素直に感情を口にしたのはスイカ。
「ぐぬぬぬ……」
さっきまで抱き着いていたのに悔しがっているのはナナ。
「ふう……」
「一体何を……」
唇を離したあと、珍しく動揺しているテンに、カノンが悪戯が成功した悪ガキのような表情で言った。
「あら、あんた今、キスして欲しそうな目であたしを見てたわよ?」
「いや、ちが――」
「あらごめんなさい。違ったのかしら。じゃあお詫びにあたしの手料理をご馳走するわね」
してやったり。そんな表情でカノンは厨房へと入っていった。
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テンの十八番をカノンが奪いましたねーあっちもねー(//∇//)
あっちってどっちだ(笑)
歌を取り戻せて良かったねーノンさん(^^)
ありがとうございます!
ここまでやりたくて書いた作品。続きはどうしようかな(笑)
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次回、挿絵入るかも!