【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

Nao*

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面倒事を押し付けて来る姉が婚約破棄を望んだお相手は、私にとっては運命の人でした!

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「私が、婚約破棄を…?」

「そうよ。私に代わり、お相手に伝えて来て。いい?しっかり断って来るのよ!」

 またお姉様に、面倒事を押し付けられてしまった…。



 姉は、面倒事をすぐ人に押し付け楽をしようと言う嫌な性格の女で…大抵それを押し付けられるのは、妹であるこの私だった。



「…でもお姉様。今回の婚約は、お姉様も喜んでらっしゃったんじゃ─」

「そりゃあ、お相手はこの領地でもかなりの金持ちだから気に入ってたわよ?でも…それだけじゃあね。あなたも知ってるでしょう?彼の噂─。」

「確か…野獣のような、とても醜い顔をして居ると─。」

「そう!私、それだけがどうしても嫌でね…。だから…この婚約話と並行して、他に良い男が居ないか探してたのよ。」

「えぇ!?」

「そしたらこの前のパーティーで、そこそこ美形のお金持ちの男に声をかけられてね。話してみたらすっかり意気投合して…それで、お付き合いする事が決まったの。同じ金持ちなら…顔が良い方を選ぶに決まってるじゃない。分かったら、さっさと出かけて頂戴!」

 そう言って、お姉様は部屋を出て行ってしまった─。



 何て、身勝手な─。

 でもお姉様は、昔から容姿でしか人を判断しないから…そのお相手の中身まで、ちゃんと見た上で決めたのかしら?



 いや、それより私は…お相手の方に何て言って断ればいいの?

 まさか、あなたの顔が理由ですなどと言えないし…。



 あぁ、本当に困ったわ─。




 結局、私は重い足取りでお姉様の婚約相手だった方の元へ向かった─。

 そして彼の家に着いた私は、使用人にある部屋に案内されそこで彼を待つ事になった。



 その間ふと部屋の壁を見れば…そこには、一枚の肖像画が─。



 …何て素敵な殿方なのかしら─。


 私は、思わずその絵を傍でじっと見つめた。



 すると、部屋のドアをノックする音がしたので…私は慌ててソファーにかけた。



 あぁ…これからどんな修羅場になるのだろう。

 恐ろしくて、とてもお相手の顔を見る事が出来ないわ─。



「君は、彼女の妹さんだね?一体、俺に何の用かな。」

「あ、あの…お姉様との婚約話、無かった事にしていただけませんか?」

「え…?」

「や、やはりあなた様の様な格式の高い方と、自分は釣り合わないと、姉がそう言いまして…。」

「…そうか。うん、分かったよ。どうせこうなると思ってたから。」

「それは、どういう─」

「彼女もどうせ、俺の顔が醜いのが嫌だったんだろう。いいよ、分かってる。わざわざ来て貰って、すまなかったね。」

 

 そんな…。

 この方が謝る事など、全く無いのに─。



 私はこれ以上彼に謝って欲しくなくて、彼に自分の気持ちを伝え様と、顔を上げたのだが…彼の顔を見た私は、そのまま固まってしまった─。



 な、何て素敵な方なの…!?

 この方の、一体どこが醜いというのよ!



 あれ…でもこの顔、つい最近見た覚えが─。



 そうよ、あの壁に掛けてある肖像画と同じじゃない!

 

 すると…そんな私を不審に思った彼が、声をかけて来た。



「どうかしたのかい?」

「あ、あなたの顔が…あちらの肖像画にそっくりで─。とても素敵なお顔をされて居たから、驚いてしまって。」



 すると私の言葉を聞いた彼は、驚きで目を見開き…そしてすぐに、歓喜の声を上げた。



「俺の顔が、あの絵と同じに見えるのかい!?」

「は、はい。」

「そうか…。あの女が言った事は、嘘ではなかったんだ─!」



 その瞬間、彼の身体から黒い塊が飛び出て来て…そして、粉々になって消えて行った。



「い、今のは一体!?」

「あれは、俺にかけられていた黒魔術だ。俺は、俺に邪な想いを抱いたある女に顔が醜くなる術をかけられたんだ。恐らく、彼女の気持ちを受け入れなかった腹いせだろう。そして、彼女はこう言った─。」



『運命の相手なら、あなたの本当の顔が分かるわ。そして、そのその術も解ける。でも、そんな相手はそうそう出会えないから…あなたは一生醜いままよ─!』



「この術をかけられてから、どんな女性に出会っても醜いと嫌われてきたから…俺には、そんな相手は居ないのだと諦めていたんだが…そうか、君が─。君さえ良ければだが…君が、俺の婚約者になってはくれないだろうか?」

「わ、私が!?」



 私はただ、姉の婚約破棄を告げに来ただけだ。

 でもこんな素敵な方から運命を感じて貰えるだなんて、正直嬉しいわ。



 あの絵を見た時から…そして彼の顔を見た時から、私の心は決まって居たのね─。



 こうして私は…術が解け元の顔に戻った彼と、婚約する事となった。

 が…それを面白く思わないのは、婚約破棄をした姉だ。



 まさか、彼の本当の顔がそんなに素敵だった何てと、地団駄を踏み悔しがった。



 まぁ…姉がここまで悔しがるのも、無理はない。



 と言うのも…パーティーで仲良くなったという例の殿方は実は金使いが荒く、裏では莫大な借金を抱えている事が判明したからだ。



 こんな事になるなら、あなたに用を頼むんじゃなかった…彼の元に行かせなければ良かったと、姉は後悔して居るが…もう、何もかも遅いわ。

 だって彼と私は、今や強い愛で結ばれ…誰も割り込む事の出来ない程の仲になってしまったのだもの─。
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