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「では、あちらとの契約は無かったと言う事で──。」
「ああ、それで構わないよ。全く……まさか彼が、あの女と関係して居たとは──。」
「忌々しい限りです。もう二度と人生で関わる事は無いと思って居たのに──。」
そう言って、私の目の前に座る男は怒りの表情を受かべ……その隣に寄り添う女は、目に涙を滲ませた。
するとそれを見た男は……そんな彼女の肩を引き寄せると、その胸に優しく抱きしめた。
「俺の人を見る目がないせいでごめんよ。でも、夫として君をちゃんと守るから──。」
「はい、ありがとうございます。この件は旦那様にお任せしますね。」
そう言って二人は見つめ合い、微笑み合うのだった。
その後……話を終えた私は、二人に頭を下げ屋敷を後にした。
仲睦まじい夫婦だったわね……。
私とダミアンも、あのようにお互いを想い合える夫婦になれたら良かったのに──。
そう思い、思わずため息をつき馬車に乗ろうとした私に……護衛として付いて来て居たアーサーが手を差し伸べ、引き上げてくれた。
「エリザベス様、大丈夫ですか?慣れない商談の話でさぞやお疲れでしょう?」
「えぇ。でもこういう話は、自身の父親で見慣れて居たから……。それに今回は、あちらが全面的に私の味方だったから安心して事情を話せたわ。これでもう、夫の好きにはさせないから。それより、あなたも一緒でなくて良かったの?せっかく彼女に……妹さんと会える機会だったのに──。」
そう……先程まで話をして居た夫人の方は、アーサーの妹さん……と言っても、同じ女性の乳で育っただけではあるが……そう言う縁ある相手だった。
「彼女は、あなたに会いたかったと思うわ。」
「いや、いいんです。あいつがああして幸せそうな結婚生活を送って居るなら、俺はそれで──。それに俺の顔を……この額の傷を見てしまって、昔の嫌な出来事を思い出す事になっては可哀相ですから──。」
「そう、それで顔を隠して居るのね。アーサー、あなたは本当に優しい人ね。妹さんを想いつつ、私を心配しここまで付いて来てくれたのだから──。」
そう私が言葉を返せば、アーサーはサッと頬を赤くし……そしてはにかんだような笑みを浮かべた。
そして、馬車を出発させようとしたのだが……こちらに駆け寄ってくる人影が見え、お兄様と呼び止める声が響いた。
「……アーサーお兄様!私はこうして元気に……そして幸せにやっておりますので、どうか安心して下さい。またこちらに見える事がありましたら……その時は、是非私にお顔を見せて下さいね。私、大丈夫ですから……。あなたの訪れを、夫と待っておりますから──!」
それは、先程私と話して居た夫人で……そして、アーサーの大事な妹だった。
そして、そんな彼女の言葉を聞いたアーサーは目に涙を滲ませると……馬車の窓からそっと手を出し、分かったと言うように手を振るのだった──。
「ああ、それで構わないよ。全く……まさか彼が、あの女と関係して居たとは──。」
「忌々しい限りです。もう二度と人生で関わる事は無いと思って居たのに──。」
そう言って、私の目の前に座る男は怒りの表情を受かべ……その隣に寄り添う女は、目に涙を滲ませた。
するとそれを見た男は……そんな彼女の肩を引き寄せると、その胸に優しく抱きしめた。
「俺の人を見る目がないせいでごめんよ。でも、夫として君をちゃんと守るから──。」
「はい、ありがとうございます。この件は旦那様にお任せしますね。」
そう言って二人は見つめ合い、微笑み合うのだった。
その後……話を終えた私は、二人に頭を下げ屋敷を後にした。
仲睦まじい夫婦だったわね……。
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そう思い、思わずため息をつき馬車に乗ろうとした私に……護衛として付いて来て居たアーサーが手を差し伸べ、引き上げてくれた。
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そう……先程まで話をして居た夫人の方は、アーサーの妹さん……と言っても、同じ女性の乳で育っただけではあるが……そう言う縁ある相手だった。
「彼女は、あなたに会いたかったと思うわ。」
「いや、いいんです。あいつがああして幸せそうな結婚生活を送って居るなら、俺はそれで──。それに俺の顔を……この額の傷を見てしまって、昔の嫌な出来事を思い出す事になっては可哀相ですから──。」
「そう、それで顔を隠して居るのね。アーサー、あなたは本当に優しい人ね。妹さんを想いつつ、私を心配しここまで付いて来てくれたのだから──。」
そう私が言葉を返せば、アーサーはサッと頬を赤くし……そしてはにかんだような笑みを浮かべた。
そして、馬車を出発させようとしたのだが……こちらに駆け寄ってくる人影が見え、お兄様と呼び止める声が響いた。
「……アーサーお兄様!私はこうして元気に……そして幸せにやっておりますので、どうか安心して下さい。またこちらに見える事がありましたら……その時は、是非私にお顔を見せて下さいね。私、大丈夫ですから……。あなたの訪れを、夫と待っておりますから──!」
それは、先程私と話して居た夫人で……そして、アーサーの大事な妹だった。
そして、そんな彼女の言葉を聞いたアーサーは目に涙を滲ませると……馬車の窓からそっと手を出し、分かったと言うように手を振るのだった──。
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