『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

夫の溺愛する義妹の妊娠が発覚すると同時に、私は病を疑われ家から追い出されました。

　夫とその義妹と共に暮らす私は、最近になり体調が優れずに居た。

　体が怠く謎の湿疹が浮かび上がり、それは次第に酷くなって行った。


　そんな中、義妹の妊娠が発覚─。

　彼女は結婚が決まって居て、その子供の父親はその相手だと思われた。



　すると私は夫に呼び出され、お前の病が義妹とお腹の子に移ると危険だから今すぐ実家に帰れと命じられた。



　だが私は、家を出るなら義妹の方ではないのか─。

　結婚するのだし、父親であるその殿方の元に母子共にお世話になれば良いのではないかと提案した。


　
　しかし夫は納得せず…また義妹本人がそれを頑なに拒否した為、結局私の方が家を出る羽目に─。

　家を出る際落ち着いたら迎えに行くと夫が約束してくれた為、私はそれを信じ実家へと向かった。



　ところがいつまで経っても夫は迎えに来てくれず…そうこうして居る内に体調も良くなった私は、自ら二人が待つ家に戻ろうと考えるように─。



　ところがそんな中、義妹の婚約者が私の元を訪ねて来て…近頃彼女が体調が悪いなど何かと理由を付け会ってくれず素っ気ないが、何か事情を知らないかと尋ねて来た。



　これを聞いた私は、体調を悪くしたのは自分の方だ─。

　義妹はあなたの子を妊娠し、元気でやって居るはずだと教えてあげた。


　
　だが彼は、最近自分には子種が無い事が発覚した…だから彼女の妊娠はありえない、あったとしてもそれは自分の子では無いと言い出した。



　それを知った私は嫌な考えが頭をよぎり、すぐに二人が住む家へと帰る事に─。

　そして辿り着いた私が見たのは、義妹と抱き合い口づける夫の姿だった。



　それを見た私はすぐに二人に駆け寄り、その身体を引き離したが…妊娠して居るはずの義妹のお腹は明らかに以前と変わりがなかった。


　
　それについて、お腹の子はどうなったのかと義妹に問えば…実は妊娠は嘘だった─。
　
　父と母が死に大好きなお兄様と二人きりになれると思ったのに、あなたが嫁いで来て邪魔だった。

　でもあなたの体調が悪くなり…それを知った私は妊娠した事を理由にして、一時でもいいからあなたを実家に追い返して欲しいとお兄様に願ったのだと暴露した。


　
　彼女は後妻の連れ子で夫とは血の繋がりは無く、それ故に体の関係を持つようになったそうで…彼女は夫と結婚した私をずっと疎ましく思って居たらしい。



　また彼女は夫との関係を世間に隠す為結婚したかっただけで、相手の殿方の事は好きでも何でもないと迄言い出した。

　私はそんな義妹を非難したが…すると彼女は自分だけが責められる事が嫌だったのか、自分だけでなくお兄様もあなたを疎ましがって居た─。

　あなたの体調が悪かったのは、実はお兄様があなたの食事に細工をして居たからだと口にした。



　どうやら夫は家同士の繋がりで結ばれた私と別れたがっており、同時に義妹との禁断の関係を続けて行きたいと願って居たらしい。
　
　その為義妹の妊娠が嘘だと何となく気付きつつも、彼女と二人きりになりたいと自身の思惑通り体調を悪くした私を実家に送り返す事にしたのだった。



　全てを知った私は、すぐに憲兵に通報─。

　夫は私に危害を加えた障害の罪で、牢に送られる事に─。



　その際夫は、死ななかったから別に良いじゃないか…この程度の事で大袈裟だと喚いて居たが…結局それによって更に罪が重くなってしまい、夫は牢の中でこの時の自分の発言を大層後悔するのだった。



　また義妹は婚約者にすぐに婚約破棄され、相手に多額の慰謝料を支払う事に─。

　更には私への慰謝料や結婚式場のキャンセル量も加わり…それらを支払った彼女は財産の全てを失い、それででも足りない分は住み込みの使用人として働く事で補う羽目になるのだった。



　一方、私はと言うと…実家に送り返された後、主治医として私を支えてくれた殿方と良い仲となって居た。

　彼は私の身体だけではなく、心まで元気にしてくれ…そんな彼に私は何時しか心惹かれて居たが、それは彼も同じだった。


　
　彼はこの件が落ち着くと、私を一人の女性として幸せにしたいと告白してくれ…私は喜んでその気持ちに応える事に─。

　そして将来を見据えた交際を始める事にしたが…彼は既に私に生涯の愛を誓ってくれて居て、そんな彼と家庭を築く事を私は今から心待ちにして居る─。