アクアヴェルン 婚約破棄された令息は隣国で護衛騎士に溺愛される。

中洲める

文字の大きさ
19 / 23

19話 血の責務

しおりを挟む
 今日もオアシスの脇で剣を打ち合う。
 天気は快晴で、雲1つない。

 僕は稽古で疲れた体を砂の上に横たえて息を整えていた。

「はぁ、はぁ……」
 青い空を見ていると、そこに1つの黒い点を見つける。

「ねぇ、ラステア」
「どうした?」
「あれさ、鳥? 鷹っぽいね。珍しい」

 僕が指さした先を、ラステアが静かに見上げる。
「……鷹?」

 このオアシスは人の目には映らない。だが、動物には見えるし、越えてくることもある。
 ただ水を飲みに来たのだろう。最初はそう思った。

 けれどその鷹を見てラステアが肩を強張らせたのが見えた。

 彼の上場に走った緊張が、僕へ感染するように不安が広がる。

「ラステア?」
 呼びかけた瞬間、彼は僕を抱き上げ、砂を蹴った。

「ど、どうしたの!?」
「クリス、一刻も早くここを離れよう。あれは……!」

 息が荒くなる。胸が早鐘のように早い。
 家に駆け込もうとした、その時。

 ピシッという乾いた音と共に、空に亀裂が走った。

「……なんで、結界が……割れる!?」

 強固なものではないが、僕の魔力で築いた結界だ。
 それが、こんなに簡単に割られてしまうなんて。


 嫌な予感が形になっていく。
「くそ、向こうも魔法で姿を隠していたのか」
 ラステアが唇を噛む。悔しげに吐いた息が熱を帯びていた。

 もう、見つかっていたのだ。
 ずっと前から。

 来るべき時が来たのだと、心のどこかで悟った。

 やがて、輿が騎士たちを押しのけるように近づいてくる。
 そこに立つ男の姿を見た瞬間、息が詰まった。

 露出の多い衣をまとい、赤い髪が陽光を反射して揺れている。
 金の瞳。浅黒い肌。
 そして、どこかステアに似ていた。

「迎えに来てやったぞ」
 輿の上の男が立ち上がり、僕たちをゆっくりと見回す。
「我はグランドル国第9王弟、リダオン。救国の英雄殿を迎えに来た」

 その声音は丁寧だったが、傲慢さを隠そうともしない。

 支配者の、顔。

「さあ、どちらが英雄殿かな? どちらも魔力が高いが……」

 男の金の瞳が、獲物を値踏みするように僕とラステアの間をゆっくり往復する。
 喉の奥で笑ったかと思うと、その視線がラステアで止まった。

「お前、王族の血を引く者か」
「……!」
「なるほど。では、英雄殿はそちらだな」

 嗜虐を含んだ笑みを浮かべながら、リダオンは舌なめずりするように僕へ視線を移す。
 その目に宿るのは強者の余裕と、他者を所有物としか見ない冷たい光。
 僕を庇うように、ラステアが一歩前へ出た。剣を抜き、鋭く構える。
 いつも見て来たどんな時でも頼もしい大きな背中。

 だがリダオンはそんな姿など目にも入れず、僕の全身を這うように見つめる。

「悪くない。我と契る栄誉を与えよう」

 軽く放たれたその言葉に、空気が一瞬凍りつく。
 ラステアの体から、刃のような殺気が立ち上った。

「ふざけるな!」
「なぜだ?」
 リダオンは肩をすくめ、まるで子供の我儘をたしなめるように笑う。
「王族と交われるなど、誉れだろう?」

 その笑みの奥に透ける、絶対的な支配者の意識。
 望めば全て手に入ると疑いもしない男の目。

 ラステアの母の話が脳裏をかすめる。


「その方、王族の血を引くなら分かるだろう。水の魔力は貴重だ。王家で囲い、守らねばならぬ」
「本人の意思を無視してか!」
「意思?」
 リダオンは声を立てて笑った。
「英雄殿とて、我と交われるのは嬉しかろう?」

 リダオンが笑う声だけが空気を震わせた。
 その響きに、背筋が粟立つ。
 断られることを想定していない。拒絶さえも自分の思い通りになると信じきっている。

「嫌ですが?」

 言葉が勝手に口をついて出た。自分でも驚くほど声が震えていなかった。

「……嫌と、申したのか?」
 リダオンの唇がわずかに歪む。
「嫌ですね」
 断言すると、男は一拍置いてから、低くくつくつと笑い始めた。

「ああ、思い出すな。昔、そんな風にきっぱりと俺の誘いを断った女が一人だけいた」
 笑いの奥に、酷薄な記憶の色が滲む。
「もっとも、断りなど許さなかったがな。その女……確か、黒髪だったか」

 嫌な予感が、全身を這い上がる。
 リダオンの視線がラステアを刺す。

「そういえば、王族の目を継ぎながら魔力を持たぬ無能がいたな。お前か?」
「……」
「だが今、その身から立ちのぼるのは王の魔力そのもの。なるほど、血は裏切らぬというわけだ」
 ゆっくりと笑いを深める。
「再び王族として迎えてやろう。そうすれば、その隣の英雄殿もついてくるのだろう?」

「ふざけるな……!」

 ラステアの怒気が爆ぜた。

 空気が震え、僕の肌が泡立つほどに魔力が揺らぐ。
 その怒りは、恐怖の裏返しではなく、僕を奪われる怒り。
 父への拒絶だった。
「お前のせいで、母さんは!」
「貴様が我の優秀な魔力を継いで生まれなかったのが悪いのだろう?」
「!?」
 ラステアの怒りなど物ともしない。

「出来損ないめ」
「ラステアは出来損ないなんかじゃない、取り消せ!」
「これは英雄殿、威勢がいい。嫌いじゃないぞ? 組み伏せる時が楽しみだ」
 ラステアと同じ金色の瞳なのに、見つめられるだけで怖気が走る。
「させるわけないだろ!!」
 僕とラステアの魔力が高まって行く。

 それに気付いているはずなのに、リダオンは眉1つ動かさない。

「水の魔力を持つ者は王家の資産として召し抱える決まりだ」
「そんな決まり知るか! クリスは物じゃない!」
 ラステアの叫びが乾いた空気を裂く。
 リダオンは、つまらなそうに目を細めた。

「抗うならば、力づくで貰っていく。行け」

 面倒くさそうに手を振って命令すると同時に、騎馬たちが一斉に動き出した。
 砂地に適応するように交配された2つのコブを持った軍馬が、砂煙を巻き上げ襲い掛かってきた。



「クリス」
「うん、やるよ!」

 返事と同時に、砂を踏み切る音が響く。
 燃え立つような魔力のうねりの中、騎士の放った炎の塊を、ラステアはまるで風を断つように剣で裂いた。
 剣閃が空気を裂く音とともに炎が霧散し、反動の熱が頬を刺す。
 僕はその一瞬の隙を見逃さず、水の魔力を掌に凝縮し、一気に放つ。

「動けっ!」
 地面から噴き上がった水が砂馬たちの脚を絡め取り、砂ごと固めた。
 蒸気が立ち上り、熱気の中で水が光を反射する。その光の向こうでラステアが次々と騎士を薙ぎ倒していく。

「いい、いいぞ。その水の力、欲しい!」

 リダオンの声が響いた。興奮と狂気が混ざるその声音に、背筋が冷たくなる。
 笑いながらゆっくりと手を広げる彼の姿は、まるで新しい獲物を楽しむ猛獣のようだった。

「そんなに欲しけりゃ……いくらでも飲め」
 ラステアが唇の端を上げ、リダオンの顔に水の球を生み出す。
 球は瞬く間に閉じ、彼の口と鼻を覆い、強烈な水圧で閉じ込める。

「リダオン様!」
 騎士が慌てて駆け寄るが、僕が作った水の壁に阻まれる。
 強引に突破しようと手を入れると壁の中へ飲み込まれて行った。

 水の中でもがくリダオン。そして騎士たち。空気を奪われたその顔が苦痛に歪む。
 ラステアの瞳には一切の情けがない。

「……こんなクズに目をつけられたせいで、母さんは……」

 掠れた声。怒りと悲しみが混ざり合い、胸を刺す。
 その言葉に、リダオンの眼がかっと見開かれた。金の瞳に再び炎が宿る。
 水球が爆ぜ、灼熱の熱風があたりを飲み込み僕の作った水壁ごと消え去った。

「はぁ、はぁ。中々の魔力だな……我が息子よ」
 笑いながら、リダオンは濡れた髪をかき上げた。
 その笑みには、親という言葉を口にする資格すら感じない冷ややかさがあった。

「貴様の息子などではない!」
 ラステアの怒声が砂原に響く。
「我がお前の母と交わったから生まれたのであろう?」

 その言葉の1つ1つが、毒のように胸を刺す。
 リダオンは相変わらず尊大な態度を崩さず、傲慢に続けた。

「王族に生まれたからには、その責務を果たせ」
「俺は王族じゃない。クリスの護衛騎士で、伴侶だ!」
「ほう……くだらぬ執着だな。ならば貴様はいらん。英雄殿だけあればよい」

 その瞬間、掌から炎が噴き上がる。
 迸る熱と光。赤金の竜巻が立ち上がり、天を貫いた。

「これが王家の力だ。水など、すべて蒸発する!」

「クリス、下がれ!」
 ラステアが叫び、僕を背に庇って前へ出る。
 全身に魔力が巡り、青い光が走る。だが、リダオンの炎はそれを上回る勢いで押し寄せてきた。

 轟音。砂が爆ぜ、空気が焼け、熱風が包み込む。
 息ができない。視界が白赤に染まり、僕はラステアの体に抱かれて吹き飛ばされていた。

「ラステア!」
 砂の上に転げながら、その名を叫ぶ。
「大丈夫、この程度なら問題ない」
 そう言う彼の腕は焦げ、皮膚がめくれて生々しい肉が見えていた。焦げた匂いが喉を刺す。

「僕の……せいだ」
「違う」
 ラステアは短く遮り、血に濡れた手で剣を拾い直す。
 その目に浮かぶのはただ1つ、僕を守るという意志だった。

「いい眺めだな。力ない者が足掻く姿ほど滑稽なものはない!」
 リダオンの周囲に炎が渦巻き、瞬く間に竜の姿を取る。
 3体の炎竜が咆哮し、熱と風の渦があたりを薙ぎ払った。
 砂が浮かび、光が歪み、息をするたび喉が焼ける。

 ラステアが僕の前に立ち、剣を構える。
 その背中が、揺らめく炎の中で光を放つように見えた。
 傷だらけでも、立ち向かう姿勢には一片の迷いもない。
 僕は水の結界をラステアの体へ纏わせる。


「クリスは、絶対渡さない!」
 声が風を切る。
 剣先に青い光が灯り、水の波紋が剣身を走る。
 ラステアが地を蹴ると同時に、剣が空を裂き、炎竜の首を断った。
 1体、2体、斬り伏せた最後の竜へ剣を振り下ろした瞬間、炎竜が突然裂け、再び3つの影となって襲いかかる。
 防ぎきれない。
「ラステアァァァ!」
 僕の心の奥で何かが弾けた。





 ラステアの足元から冷水が噴き上がった。
 意識するより早く、魔力が形を取り、円形の盾となってラステアを包む。
 炎がぶつかる。水蒸気が轟き、白い閃光が視界を埋め尽くした。

「なんという力だ、欲しいぞ。英雄殿」
「お前の思い通りなど絶対にさせない!」
「あなたのものになどならない!」

 ラステアと同時に叫んだ。

 オアシスが震え、無数の水柱が天空へ舞い上がり、螺旋を描いて巨大な盾となった。
 リダオンの炎竜の爪がそれを叩くたび、爆音が響き、熱と冷気が衝突し、砂が空へ吹き上がる。
 ラステアの剣が炎を切り裂き、僕の盾がその軌跡を守る。僕らの呼吸がぴたりと重なった。

 けれど、じわじわと押されていくのがわかる。
「属性では僕たちが有利だけど、僕の魔法は戦闘向きじゃない。不利すぎる」
「奴は戦いのためだけに魔法を鍛えている。しかも魔力量が異常だ。クリスと同等か、それ以上なんて……あり得るのか?」

 ラステアが歯を食いしばり、汗を飛ばしながら剣を握り直す。
 僕は荒い息を整えつつ、焦げた風の中で周囲を見渡した。

 リダオンの背後では、倒れた騎士たちの体から赤黒い靄が立ち上り、渦を巻くように彼のもとへ吸い込まれていく。
 まるで命そのものを喰らうような魔力の流れ。
 理解した瞬間、全身が冷えた。

 あれが、あいつの強さの源……。

 胸の奥から込み上げる吐き気を押さえきれない。
 守るべき民を、自分の力を保つための燃料にするなんて。
 そんな人間に、王を名乗る資格なんてあるはずがない。

「おや? 我が少々強すぎるようだな」
 嘲笑うかのようにリダオンは魔力を強めていく。

 水の盾がきしみ、霧のように薄くなる。
 もう少しで破られてしまう。
 ラステアも肩で息をして、血がしたたり落ちる手は剣を握っているので精一杯。
 限界が、近い。

 全ての魔力を注げば、勝てるだろう。
 でも、その代償に、砂の国全土の水脈を枯らしてしまう。
 この国の命を奪うわけにはいかない。

 視界が揺らぎ、意識が遠のく。
 魔力が抜けて体が寒くなる。

「クリス!」
 ラステアの叫びが耳に届く。
 崩れかけた水盾の向こうで、炎竜が咆哮し、巨大な炎の刃を生み出した。

 それが盾を破るのが見える。

 避けられない。

 そう思うより早く、ラステアが僕を抱き寄せた。
 熱風が迫り、砂が舞う。世界が赤く染まる。

「クリス」
 焦げた匂いが漂う空気の中で、ラステアが僕を見下ろす。
 その微笑みが穏やかで、痛いほどに優しかった。
「一緒なら、怖くない」
「……うん」

 言葉が重なり、視線が絡む。
 唇が触れ、全ての音が消えた。
 炎の轟きも、熱の唸りもただ遠くで揺れているように感じた。

 死の気配が目前まで迫る。
 焼ける風が頬を裂き、光が視界を白く染めた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 希望したのは、医療班だった。  それなのに、配属されたのはなぜか“炊事班”。  「役立たずの掃き溜め」と呼ばれるその場所で、僕は黙々と鍋をかき混ぜる。  誰にも褒められなくても、誰かが「おいしい」と笑ってくれるなら、それだけでいいと思っていた。  ……けれど、婚約者に裏切られていた。  軍から逃げ出した先で、炊き出しをすることに。  そんな僕を追いかけてきたのは、王国軍の最高司令官――  “雲の上の存在”カイゼル・ルクスフォルト大公閣下だった。 「君の料理が、兵の士気を支えていた」 「君を愛している」  まさか、ただの炊事兵だった僕に、こんな言葉を向けてくるなんて……!?  さらに、裏切ったはずの元婚約者まで現れて――!?

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

処理中です...