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18話 この気持ちは?
18
保養地へやってきて半年、名前を保養地アクアとして誘致看板を大きく目立つようにした。
今まで空きが多かった宿泊施設も半分以上が埋まり、立ち寄り客はかなり増えた。
収益もそこそこ増えていて、今はまだ初期投資の回収中で利益は薄いが、あと数年もしたらこの温泉の経営だけでアクア商会を回すことが出来そうだ。
毎日充実していて、楽しい。
自分のため、そして仲間のために働くのはこんなに楽しかったんだ。
そんな中でも敵情視察は忘れない。
それとなく探りを入れてもらっているラグドル伯爵家の情報では、すっかり社交の場へ出ることはなくなったようだ。
僕が手配した教師の方々はとっても厳しいからねぇ。
僕も受けたが物凄く過酷だった。
最終的にはよくやったとお褒めの言葉を頂いたが、本当にキツかった。
体罰こそなかったけれど、理詰めで追い詰められる恐怖は、思い出すだけで身震いする。
それでも全ての課程を終えた僕はお褒めの言葉を頂くことが出来た。
卒業した後でも年に一度は手紙のやりとりをして、交流は続いていて、今回お願いしたら快く引き受けてくださり本当にありがたい。
縁は大切にしないとね。
やりがいがありそうだなんてお返事をもらったから、きっと気合を入れて指導してくださっていることだろう。
アレをラグドル伯爵と夫人、それから筆頭執事と家令までが洗礼を浴びていると思うだけで溜飲が下がる。
あの方々は中途半端が一番嫌いだから、やり遂げられたらきっと見違えるようになるだろう。
やり遂げられれば、だが。
報告書を読んで一人でニヤついていると、左側にいるヨランが僕の髪を手に取って微笑んだ。
愛しそうに目を細め、毛先にキスをされると心臓が跳ねる。
「楽しそうなルークも可愛いですね」
「悪い顔してても可愛いよなぁ」
ラグドル家の再教育進捗を読んでにやけている俺の顔を、セドリックは優しい目で見つめてくる。
その柔らかな表情は見ているだけでドキリとしてしまった。
「中々大変そうだな、伯爵家」
セドリックが横から報告書の内容を読んで、人の悪い笑みを浮かべる。
「先生方がいい仕事をしてくださっているようで、とても大満足」
はー、再教育が完了すればこの領地はもっと良くなるし、いい事しかないよね。
ニマニマと笑いが止まらない。
そんな僕を二人が見つめて、セドリックが手に持った書類を取り上げ、テーブルの上に置いた。
そして右手を取って指を絡め、指先に唇を寄せる。
「そろそろ俺たちも構ってくれよ」
今度は左側からヨランが僕の腰を抱く。
「今日の仕事は終えてもよくないですか?」
告白をされてから、毎晩、僕らは部屋で時間を共にする。
二人の気持ちを知りたいと言ったのは僕、だから与えてくれる分の情報はしっかり収集したい。
そんな気持ちでセドリックとヨランと半年、向き合ってきた。
貴族だった頃は時々会うだけでも、その忠義は疑う余地はなかったんだけど。
平民になって一緒に行動するようになると、僕へ向ける感情の差が少しずつ分かるようになった。
今までは貴族として気遣われているのだと思っていた行動は、実は「貴族の僕」ではなく「僕自身」を大事に思ってくれていたからこそだった。
例えば仕事関係ではヨラン。
書類を重要度順に並べ、ヨラン自身が処理できる物は僕を通さず処理してくれていた。
これは僕が伯爵家で旦那様のためにやっていたことだ。
実際にやってもらうと、これほどありがたいことはないと感謝しきりなのに、あの家では誰も気づいてくれなかった。
休憩を取りなさいと、夢中になりすぎていると仕事を取り上げ、休息させてくれる。
そんな時にはおいしいお菓子やお茶、ジュースなんかをだしてくれた。
これはヨラン自らが僕のために手配してくれたものだった。
生活面ではセドリック。
僕の睡眠時間を管理し、温泉に入る時間も確保してくれる。
仕事の成果が上手く行かなくてこっそり落ち込んだ時は、僕の好きな物を夕食で出すように手配してくれたり、さりげなく遊びへ誘ってくれたり。
僕の服や身の回りの物はセドリックが選んで買ってくれていることを知った。
それから二人ともに。
僕が成果を出せば大げさなくらい褒めてくれる。
今まで誰にも褒められたり感謝されたことがなかったから、それが本当に嬉しくて。
褒めてくれるからやろうと思うし、上手くできたらみんなで喜びを分かち合える。
貴族だから、上司だから、ではなく「僕」だからやってくれるんだって思ったら。
そんな気持ちを向けてくれる二人に、温かい感情が沸いてくるんだ。
でも、そんな穏やかなものばかりじゃなくて。
やっぱり触れられると心臓が痛いくらいドキドキするし、甘く囁かれると顔が火照る。
その最大の弊害は、マッサージをしてもらえなくなった。
好きだと言って貰ってから、二人の手が肌に触れると、なんだか体が勝手に反応するようになってしまったんだ。
だから、恥ずかしくて断ってしまうようになった。
本当は気持ちいいからして欲しいんだけど、反応してるのを見られたら、恥ずかしいだろ……。
そして仕事が終わって三人だけでいると、突然二人の空気が甘く変わるのにも慣れない。
普段のエスコートは大丈夫なのに、手を握られたり、髪に触れられたりすると心臓がぎゅっとしてしまう。
今だってなんだか体が落ち着かない。
でも触れられて嬉しいのは確かなんだ。
「ルーク」
僕の頬をセドリックが撫でる。
指先は二人に絡められて、くっついている体からは僕だけではない鼓動が伝わってくる。
「何?」
「俺たちの心音、伝わる?」
「……うん」
僕だけじゃなくて、二人の心臓も早く鳴っている。
「ルークに触れられて嬉しいです」
「俺もだ。ずっと、毎日ずっと夢を見ているようだ」
僕に恋をしてくれてから約十年。ずっと思い続けてくれていたんだ。
三年前に一度手を離したのに。
「あなたが好きです。ルーク」
「俺も愛してる」
毎晩囁かれる愛の言葉は静かに僕の中へ降り積もる。
僕は結婚した相手に愛人がいた時、何も思わなかった。
振り向きもせず、愛人の元へ向かう元旦那様に呆れはしたけれど、辛くはなかった。
けれどもしも、セドリックやヨランが同じことをしたら、僕はそれを笑って見送れるだろうか。
三年前ならおめでとうと言えただろう。
でも、二人と半年こうして過ごして思う。
でも今は、この宵闇色と赤い瞳が僕以外を見るのは嫌だ。
……そう思うのは、恋ってことでいいのかな?
でも「恋」って言葉を口にした瞬間、もう後戻りできなくなりそうで、それが少し怖かった。
そしていざそこまで思考が辿り着いたからといって、どう伝えていいか分からない。
二人のように自信を持ってまだ「好き」だと言えないんだ。
そしてそれは二人ともなのか。
どちらか一人なのかも確信が持てない。
「あの、さ……」
指先を甘く弄ぶ二人の手を僕から握る。
今まではずっとされるがままだったから、僕からの突然の行動に二人は驚いたように固まった。
「僕、たぶん二人のこと、好き、なんだと思う」
「!?」
「ルーク!?」
「でも、二人を同じ気持ちで好きなのか。まだ分からないんだ」
二人に向ける好きは、本当に同じ種類の物か、それとも違うのか。
二人一緒だとどちらにドキドキしているか分からない時がある。
僕に今必要なのは一人ずつと向き合う時間なんだと思う。
「あの、一人ずつ、じっくり向き合う時間を、貰ってもいい? ちゃんと、自分の気持ちを確認したいから」
きちんと、正しい確信を持って、二人に伝えたい。
そんな気持ちを伝えると、僕の提案に、セドリックもヨランも幸せそうに微笑んだ。
「望むところだ」
「ぜひお願いします」
嬉しいと両側から抱きしめられて、僕の提案は間違っていなかったと少しだけ安心できた。
こうして、セドリックとヨラン、それぞれと向き合う時間が始まった。
保養地へやってきて半年、名前を保養地アクアとして誘致看板を大きく目立つようにした。
今まで空きが多かった宿泊施設も半分以上が埋まり、立ち寄り客はかなり増えた。
収益もそこそこ増えていて、今はまだ初期投資の回収中で利益は薄いが、あと数年もしたらこの温泉の経営だけでアクア商会を回すことが出来そうだ。
毎日充実していて、楽しい。
自分のため、そして仲間のために働くのはこんなに楽しかったんだ。
そんな中でも敵情視察は忘れない。
それとなく探りを入れてもらっているラグドル伯爵家の情報では、すっかり社交の場へ出ることはなくなったようだ。
僕が手配した教師の方々はとっても厳しいからねぇ。
僕も受けたが物凄く過酷だった。
最終的にはよくやったとお褒めの言葉を頂いたが、本当にキツかった。
体罰こそなかったけれど、理詰めで追い詰められる恐怖は、思い出すだけで身震いする。
それでも全ての課程を終えた僕はお褒めの言葉を頂くことが出来た。
卒業した後でも年に一度は手紙のやりとりをして、交流は続いていて、今回お願いしたら快く引き受けてくださり本当にありがたい。
縁は大切にしないとね。
やりがいがありそうだなんてお返事をもらったから、きっと気合を入れて指導してくださっていることだろう。
アレをラグドル伯爵と夫人、それから筆頭執事と家令までが洗礼を浴びていると思うだけで溜飲が下がる。
あの方々は中途半端が一番嫌いだから、やり遂げられたらきっと見違えるようになるだろう。
やり遂げられれば、だが。
報告書を読んで一人でニヤついていると、左側にいるヨランが僕の髪を手に取って微笑んだ。
愛しそうに目を細め、毛先にキスをされると心臓が跳ねる。
「楽しそうなルークも可愛いですね」
「悪い顔してても可愛いよなぁ」
ラグドル家の再教育進捗を読んでにやけている俺の顔を、セドリックは優しい目で見つめてくる。
その柔らかな表情は見ているだけでドキリとしてしまった。
「中々大変そうだな、伯爵家」
セドリックが横から報告書の内容を読んで、人の悪い笑みを浮かべる。
「先生方がいい仕事をしてくださっているようで、とても大満足」
はー、再教育が完了すればこの領地はもっと良くなるし、いい事しかないよね。
ニマニマと笑いが止まらない。
そんな僕を二人が見つめて、セドリックが手に持った書類を取り上げ、テーブルの上に置いた。
そして右手を取って指を絡め、指先に唇を寄せる。
「そろそろ俺たちも構ってくれよ」
今度は左側からヨランが僕の腰を抱く。
「今日の仕事は終えてもよくないですか?」
告白をされてから、毎晩、僕らは部屋で時間を共にする。
二人の気持ちを知りたいと言ったのは僕、だから与えてくれる分の情報はしっかり収集したい。
そんな気持ちでセドリックとヨランと半年、向き合ってきた。
貴族だった頃は時々会うだけでも、その忠義は疑う余地はなかったんだけど。
平民になって一緒に行動するようになると、僕へ向ける感情の差が少しずつ分かるようになった。
今までは貴族として気遣われているのだと思っていた行動は、実は「貴族の僕」ではなく「僕自身」を大事に思ってくれていたからこそだった。
例えば仕事関係ではヨラン。
書類を重要度順に並べ、ヨラン自身が処理できる物は僕を通さず処理してくれていた。
これは僕が伯爵家で旦那様のためにやっていたことだ。
実際にやってもらうと、これほどありがたいことはないと感謝しきりなのに、あの家では誰も気づいてくれなかった。
休憩を取りなさいと、夢中になりすぎていると仕事を取り上げ、休息させてくれる。
そんな時にはおいしいお菓子やお茶、ジュースなんかをだしてくれた。
これはヨラン自らが僕のために手配してくれたものだった。
生活面ではセドリック。
僕の睡眠時間を管理し、温泉に入る時間も確保してくれる。
仕事の成果が上手く行かなくてこっそり落ち込んだ時は、僕の好きな物を夕食で出すように手配してくれたり、さりげなく遊びへ誘ってくれたり。
僕の服や身の回りの物はセドリックが選んで買ってくれていることを知った。
それから二人ともに。
僕が成果を出せば大げさなくらい褒めてくれる。
今まで誰にも褒められたり感謝されたことがなかったから、それが本当に嬉しくて。
褒めてくれるからやろうと思うし、上手くできたらみんなで喜びを分かち合える。
貴族だから、上司だから、ではなく「僕」だからやってくれるんだって思ったら。
そんな気持ちを向けてくれる二人に、温かい感情が沸いてくるんだ。
でも、そんな穏やかなものばかりじゃなくて。
やっぱり触れられると心臓が痛いくらいドキドキするし、甘く囁かれると顔が火照る。
その最大の弊害は、マッサージをしてもらえなくなった。
好きだと言って貰ってから、二人の手が肌に触れると、なんだか体が勝手に反応するようになってしまったんだ。
だから、恥ずかしくて断ってしまうようになった。
本当は気持ちいいからして欲しいんだけど、反応してるのを見られたら、恥ずかしいだろ……。
そして仕事が終わって三人だけでいると、突然二人の空気が甘く変わるのにも慣れない。
普段のエスコートは大丈夫なのに、手を握られたり、髪に触れられたりすると心臓がぎゅっとしてしまう。
今だってなんだか体が落ち着かない。
でも触れられて嬉しいのは確かなんだ。
「ルーク」
僕の頬をセドリックが撫でる。
指先は二人に絡められて、くっついている体からは僕だけではない鼓動が伝わってくる。
「何?」
「俺たちの心音、伝わる?」
「……うん」
僕だけじゃなくて、二人の心臓も早く鳴っている。
「ルークに触れられて嬉しいです」
「俺もだ。ずっと、毎日ずっと夢を見ているようだ」
僕に恋をしてくれてから約十年。ずっと思い続けてくれていたんだ。
三年前に一度手を離したのに。
「あなたが好きです。ルーク」
「俺も愛してる」
毎晩囁かれる愛の言葉は静かに僕の中へ降り積もる。
僕は結婚した相手に愛人がいた時、何も思わなかった。
振り向きもせず、愛人の元へ向かう元旦那様に呆れはしたけれど、辛くはなかった。
けれどもしも、セドリックやヨランが同じことをしたら、僕はそれを笑って見送れるだろうか。
三年前ならおめでとうと言えただろう。
でも、二人と半年こうして過ごして思う。
でも今は、この宵闇色と赤い瞳が僕以外を見るのは嫌だ。
……そう思うのは、恋ってことでいいのかな?
でも「恋」って言葉を口にした瞬間、もう後戻りできなくなりそうで、それが少し怖かった。
そしていざそこまで思考が辿り着いたからといって、どう伝えていいか分からない。
二人のように自信を持ってまだ「好き」だと言えないんだ。
そしてそれは二人ともなのか。
どちらか一人なのかも確信が持てない。
「あの、さ……」
指先を甘く弄ぶ二人の手を僕から握る。
今まではずっとされるがままだったから、僕からの突然の行動に二人は驚いたように固まった。
「僕、たぶん二人のこと、好き、なんだと思う」
「!?」
「ルーク!?」
「でも、二人を同じ気持ちで好きなのか。まだ分からないんだ」
二人に向ける好きは、本当に同じ種類の物か、それとも違うのか。
二人一緒だとどちらにドキドキしているか分からない時がある。
僕に今必要なのは一人ずつと向き合う時間なんだと思う。
「あの、一人ずつ、じっくり向き合う時間を、貰ってもいい? ちゃんと、自分の気持ちを確認したいから」
きちんと、正しい確信を持って、二人に伝えたい。
そんな気持ちを伝えると、僕の提案に、セドリックもヨランも幸せそうに微笑んだ。
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