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【2話】
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私は原因不明の頭痛と目眩で寝込んだフリをした。
病の原因が解らないから移るかもしれないと言って、誰とも会わないように部屋に引き籠り、3ヶ月が経過した。
病が移る事を嫌がったゼレウスはもちろん、両親でさえも顔を見せに来る事は一度も無かった。
時々、私のドレスを盗みにベリルが入ってくるけど、私は布団に潜り込んで寝たフリをしていた。
そろそろ頃合いかとディティに頼んで先生を呼んでもらう。
とてもスッキリした顔を見せて、今までだるそうにしていた受け答えもハキハキと答えた。
先生からのお墨付きを頂いて、私は来週から学園に行く事をお父様に話した。
お父様は驚いていたけど、体調が戻ったなら学費もバカにならないのだからサッサと行けとだけ言われた。
労りの言葉は一言もない。
私は心機一転したいからと言って、残っていたお母様のドレスを売り、新しいドレスを買ってくるようにディティに頼んだ。
明日から学園に戻る事を知ったゼレウスが、見舞いだと言って会いに来た。
しかし、私は病床後の為、支度が整えられないからと面会を断った。
すんなり了承したゼレウスは、そのまま義妹の部屋に向かった。
私はこっそり義妹の部屋に近付く。
──お義姉様が明日から学園に戻るそうですわ。
それは丁度良い。
明日は中庭で仕上げと行こうか?
そうですわね。
随分とお義姉様が第一王子殿下に言い寄っている噂も流れていますし、目撃者もいらっしゃいますものね。
ああ。
明日が楽しみだな。
今日はこの後、お義姉様の所へいらっしゃるの?
いや、さっき声をかけたら、病のせいで会う準備が整っていないから今日は帰れと言われたよ。
まぁあ。
ゼレウス様に顔も出さないなんて、何て不遜なんでしょう。
そう言うな。
お陰でベリルとこうして居られるんだから、それぐらい不問にしてやろうじゃないか。
なんて、お心が広いのかしら。
それにしても、こんなに上手くいくとは思いませんでしたわ。
本当だな。
丁度良く病にかかってくれたから出来たようなもんだ。
原因不明の病に感謝だな。
それもそうですわね。
明日が楽しみですわ。
本当に。
手筈通り、僕が通りかかったら…頼むよ?
ええ。
おまかせ下さい。
ふふ。
さぁ、愛しの僕のベリル。
おいで──
その後は聞きたくないので、そっと義妹の部屋から離れた。
やはり冤罪をかけられる事は変わらないのね。
そして、翌日。
日付は冤罪をかけられたあの日。
訳も解らないまま引っ立てられて、全校生徒が集まる中で断罪された日。
あの時は誰も私の話を聞いてくれなかった。
呼ばれたお父様には鼻の骨が折れる程の力で殴られた。
お義母様には公爵家の恥晒しだと罵倒され、扇子で顔を叩かれた。
顔を覆い泣きながら周囲の同情を誘うベリル。
ゼレウスが義妹を慰めながら、私に向かって売女と罵り婚約破棄を叫んだ。
メガイラ様はハーディ様に婚約解消を告げ、気分が悪いとその場を去っていった。
巻き込まれたハーディ様には視線だけで殺されそうな程睨まれた。
目撃者も多数居た為、私の不貞は確定された。
あれを繰り返すつもりはない。
私は手続きがあるからと、義妹と顔を合わせる事もなく朝早くに学園に向かった。
思ったより手続きに手間取ってしまい、午前の授業はもうすぐ終わる。
私は図書室に向かう。
そこの窓から中庭が良く見えるからだ。
知っている人はごく僅かだけれど。
正午を告げる鐘が鳴り、生徒がバラバラと昼食を取る為に移動する。
そんな中、中庭に私のドレスを着たベリルとハーディ様が現れた。
木々の隙間から伺うようにゼウレスとメガイラ様が、今か今かとその様子を覗いている。
一部始終を見ていると、ベリルはハーディ様を巻き込む形で転び、まんまと押し倒された形を取った。
その直後、通りかかった風を装ったメガイラ様が悲鳴を上げる。
その声を聞き付けた生徒やゼレウスが、ハーディ様と私のドレスを着たベリルが抱き合って転がっている所を目撃する。
不貞現場の出来上がりだ。
ゼレウスが私の名を叫んで、不貞をしていたのが私だと印象付ける。
喚き散らしながらハーディ様に詰め寄るメガイラ様。
その隙に逃げ出したベリルは確実に私に罪を着せる為に、着替えてから何事ですかといった顔で中庭に戻ってきた。
近くに居た生徒に詳細を聞いて、ふらつきながらゼレウスの前に跪くベリル。
泣きながら許しを乞う姿勢を取っている。
演技が上手いのね。
ゼレウスの指示で私を探す生徒達。
学園内がバタバタと慌ただしい。
どうせ誰も私を見付けられないだろうからと、私は図書室から中庭に移動した。
病の原因が解らないから移るかもしれないと言って、誰とも会わないように部屋に引き籠り、3ヶ月が経過した。
病が移る事を嫌がったゼレウスはもちろん、両親でさえも顔を見せに来る事は一度も無かった。
時々、私のドレスを盗みにベリルが入ってくるけど、私は布団に潜り込んで寝たフリをしていた。
そろそろ頃合いかとディティに頼んで先生を呼んでもらう。
とてもスッキリした顔を見せて、今までだるそうにしていた受け答えもハキハキと答えた。
先生からのお墨付きを頂いて、私は来週から学園に行く事をお父様に話した。
お父様は驚いていたけど、体調が戻ったなら学費もバカにならないのだからサッサと行けとだけ言われた。
労りの言葉は一言もない。
私は心機一転したいからと言って、残っていたお母様のドレスを売り、新しいドレスを買ってくるようにディティに頼んだ。
明日から学園に戻る事を知ったゼレウスが、見舞いだと言って会いに来た。
しかし、私は病床後の為、支度が整えられないからと面会を断った。
すんなり了承したゼレウスは、そのまま義妹の部屋に向かった。
私はこっそり義妹の部屋に近付く。
──お義姉様が明日から学園に戻るそうですわ。
それは丁度良い。
明日は中庭で仕上げと行こうか?
そうですわね。
随分とお義姉様が第一王子殿下に言い寄っている噂も流れていますし、目撃者もいらっしゃいますものね。
ああ。
明日が楽しみだな。
今日はこの後、お義姉様の所へいらっしゃるの?
いや、さっき声をかけたら、病のせいで会う準備が整っていないから今日は帰れと言われたよ。
まぁあ。
ゼレウス様に顔も出さないなんて、何て不遜なんでしょう。
そう言うな。
お陰でベリルとこうして居られるんだから、それぐらい不問にしてやろうじゃないか。
なんて、お心が広いのかしら。
それにしても、こんなに上手くいくとは思いませんでしたわ。
本当だな。
丁度良く病にかかってくれたから出来たようなもんだ。
原因不明の病に感謝だな。
それもそうですわね。
明日が楽しみですわ。
本当に。
手筈通り、僕が通りかかったら…頼むよ?
ええ。
おまかせ下さい。
ふふ。
さぁ、愛しの僕のベリル。
おいで──
その後は聞きたくないので、そっと義妹の部屋から離れた。
やはり冤罪をかけられる事は変わらないのね。
そして、翌日。
日付は冤罪をかけられたあの日。
訳も解らないまま引っ立てられて、全校生徒が集まる中で断罪された日。
あの時は誰も私の話を聞いてくれなかった。
呼ばれたお父様には鼻の骨が折れる程の力で殴られた。
お義母様には公爵家の恥晒しだと罵倒され、扇子で顔を叩かれた。
顔を覆い泣きながら周囲の同情を誘うベリル。
ゼレウスが義妹を慰めながら、私に向かって売女と罵り婚約破棄を叫んだ。
メガイラ様はハーディ様に婚約解消を告げ、気分が悪いとその場を去っていった。
巻き込まれたハーディ様には視線だけで殺されそうな程睨まれた。
目撃者も多数居た為、私の不貞は確定された。
あれを繰り返すつもりはない。
私は手続きがあるからと、義妹と顔を合わせる事もなく朝早くに学園に向かった。
思ったより手続きに手間取ってしまい、午前の授業はもうすぐ終わる。
私は図書室に向かう。
そこの窓から中庭が良く見えるからだ。
知っている人はごく僅かだけれど。
正午を告げる鐘が鳴り、生徒がバラバラと昼食を取る為に移動する。
そんな中、中庭に私のドレスを着たベリルとハーディ様が現れた。
木々の隙間から伺うようにゼウレスとメガイラ様が、今か今かとその様子を覗いている。
一部始終を見ていると、ベリルはハーディ様を巻き込む形で転び、まんまと押し倒された形を取った。
その直後、通りかかった風を装ったメガイラ様が悲鳴を上げる。
その声を聞き付けた生徒やゼレウスが、ハーディ様と私のドレスを着たベリルが抱き合って転がっている所を目撃する。
不貞現場の出来上がりだ。
ゼレウスが私の名を叫んで、不貞をしていたのが私だと印象付ける。
喚き散らしながらハーディ様に詰め寄るメガイラ様。
その隙に逃げ出したベリルは確実に私に罪を着せる為に、着替えてから何事ですかといった顔で中庭に戻ってきた。
近くに居た生徒に詳細を聞いて、ふらつきながらゼレウスの前に跪くベリル。
泣きながら許しを乞う姿勢を取っている。
演技が上手いのね。
ゼレウスの指示で私を探す生徒達。
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