【冤罪で処刑された逆行令嬢は奇策にて冤罪を晴らす】

In・san・i・ty=DoLL

文字の大きさ
2 / 7

【2話】

しおりを挟む
私は原因不明の頭痛と目眩で寝込んだフリをした。

病の原因が解らないから移るかもしれないと言って、誰とも会わないように部屋に引き籠り、3ヶ月が経過した。

病が移る事を嫌がったゼレウスはもちろん、両親でさえも顔を見せに来る事は一度も無かった。

時々、私のドレスを盗みにベリルが入ってくるけど、私は布団に潜り込んで寝たフリをしていた。

そろそろ頃合いかとディティに頼んで先生を呼んでもらう。

とてもスッキリした顔を見せて、今までだるそうにしていた受け答えもハキハキと答えた。

先生からのお墨付きを頂いて、私は来週から学園に行く事をお父様に話した。

お父様は驚いていたけど、体調が戻ったなら学費もバカにならないのだからサッサと行けとだけ言われた。

労りの言葉は一言もない。

私は心機一転したいからと言って、残っていたお母様のドレスを売り、新しいドレスを買ってくるようにディティに頼んだ。

明日から学園に戻る事を知ったゼレウスが、見舞いだと言って会いに来た。

しかし、私は病床後の為、支度が整えられないからと面会を断った。

すんなり了承したゼレウスは、そのまま義妹の部屋に向かった。

私はこっそり義妹の部屋に近付く。

──お義姉様が明日から学園に戻るそうですわ。

それは丁度良い。
明日は中庭で仕上げと行こうか?

そうですわね。
随分とお義姉様が第一王子殿下に言い寄っている噂も流れていますし、目撃者もいらっしゃいますものね。

ああ。
明日が楽しみだな。

今日はこの後、お義姉様の所へいらっしゃるの?

いや、さっき声をかけたら、病のせいで会う準備が整っていないから今日は帰れと言われたよ。

まぁあ。
ゼレウス様に顔も出さないなんて、何て不遜なんでしょう。

そう言うな。
お陰でベリルとこうして居られるんだから、それぐらい不問にしてやろうじゃないか。

なんて、お心が広いのかしら。
それにしても、こんなに上手くいくとは思いませんでしたわ。

本当だな。
丁度良く病にかかってくれたから出来たようなもんだ。
原因不明の病に感謝だな。

それもそうですわね。
明日が楽しみですわ。

本当に。
手筈通り、僕が通りかかったら…頼むよ?

ええ。
おまかせ下さい。

ふふ。
さぁ、愛しの僕のベリル。
おいで──

その後は聞きたくないので、そっと義妹の部屋から離れた。

やはり冤罪をかけられる事は変わらないのね。

そして、翌日。

日付は冤罪をかけられたあの日。

訳も解らないまま引っ立てられて、全校生徒が集まる中で断罪された日。

あの時は誰も私の話を聞いてくれなかった。

呼ばれたお父様には鼻の骨が折れる程の力で殴られた。

お義母様には公爵家の恥晒しだと罵倒され、扇子で顔を叩かれた。

顔を覆い泣きながら周囲の同情を誘うベリル。

ゼレウスが義妹を慰めながら、私に向かって売女と罵り婚約破棄を叫んだ。

メガイラ様はハーディ様に婚約解消を告げ、気分が悪いとその場を去っていった。

巻き込まれたハーディ様には視線だけで殺されそうな程睨まれた。

目撃者も多数居た為、私の不貞は確定された。

あれを繰り返すつもりはない。

私は手続きがあるからと、義妹と顔を合わせる事もなく朝早くに学園に向かった。

思ったより手続きに手間取ってしまい、午前の授業はもうすぐ終わる。

私は図書室に向かう。

そこの窓から中庭が良く見えるからだ。

知っている人はごく僅かだけれど。

正午を告げる鐘が鳴り、生徒がバラバラと昼食を取る為に移動する。

そんな中、中庭に私のドレスを着たベリルとハーディ様が現れた。

木々の隙間から伺うようにゼウレスとメガイラ様が、今か今かとその様子を覗いている。

一部始終を見ていると、ベリルはハーディ様を巻き込む形で転び、まんまと押し倒された形を取った。

その直後、通りかかった風を装ったメガイラ様が悲鳴を上げる。

その声を聞き付けた生徒やゼレウスが、ハーディ様と私のドレスを着たベリルが抱き合って転がっている所を目撃する。

不貞現場の出来上がりだ。

ゼレウスが私の名を叫んで、不貞をしていたのが私だと印象付ける。

喚き散らしながらハーディ様に詰め寄るメガイラ様。

その隙に逃げ出したベリルは確実に私に罪を着せる為に、着替えてから何事ですかといった顔で中庭に戻ってきた。

近くに居た生徒に詳細を聞いて、ふらつきながらゼレウスの前に跪くベリル。

泣きながら許しを乞う姿勢を取っている。

演技が上手いのね。

ゼレウスの指示で私を探す生徒達。

学園内がバタバタと慌ただしい。

どうせ誰も私を見付けられないだろうからと、私は図書室から中庭に移動した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

王子様とずっと一緒にいる方法

秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。 そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。 「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」 身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった! 「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」 「王子様と一緒にいられるの!?」 毎日お茶して、一緒にお勉強して。 姉の恋の応援もして。 王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。 でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。 そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……? 「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」 え? ずっと一緒にいられる方法があるの!? ――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。 彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。 ※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

処理中です...