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【3話】
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「私をお探しと聞き、参りましたが何のご用でしょうか?」
私の言葉にその場に居た全員が一斉にこちらを見る。
「誰だお前は?紛らわしい!僕達は公爵家のベルゼを探しているんだ!あの売女め。どこに隠れたんだ!」
苛立ちを私にぶつけながら、ゼレウスは叫ぶ。
「あらあら、3ヶ月も会わない間に、婚約者の顔をお忘れですか?」
私は扇子で口元を隠しながら、コロコロと笑った。
「「「は?」」」
ゼレウスと義妹、メガイラ様が理解出来ないといった顔で私を見る。
良く見るとその場に居た生徒も同じような顔をしていた。
「本当に解らないのですか?ゼレウス様?」
私はわざととぼけて見せる。
「お前が本物の公爵家のベルゼか?」
ハーディ様が私に問いかける。
「はい。原因不明の病で学園を3ヶ月休んでいたんですが、何分寝たきりの生活のせいか、大分体型が恥ずかしい事になってしまいました。ですが、正真正銘、公爵家のベルゼでございます。公爵家の主治医に確認を取って頂いても構いませんが?」
私は何を言われても答えられるように用意していた言葉をハーディ様に告げる。
「衛兵はいるか?」
ハーディ様がそう言うと、どこからともなく衛兵達が現れた。
「ゼレウスとその女を捕まえろ」
「義兄上!どうして僕まで!?」
衛兵達に囲まれながら叫ぶゼウレス。
「私を転ばせ不貞の冤罪にかけようとしたその女と、その計画を立てたゼレウスを捕まえるのは当たり前だろう?」
ハーディ様が人を殺せそうな視線でゼレウスと義妹を見つめる。
義妹はその視線に恐怖したのか、真っ青な顔でガタガタと震えていた。
「それから、共犯者であるメガイラも捕まえておけ」
ハーディ様がそう言うと、衛兵達がメガイラ様も取り囲んだ。
「何故ですの?わたくしはハーディ様の不貞を見てこんなに心を痛めていると言うのに…」
メガイラ様は目に涙を浮かべながら訴えた。
「お前の腹の子は不貞の証じゃないのか?」
ハーディ様が爆弾発言をする。
その場に居た全員が凍りついた。
「え?な…何を仰って…」
「4ヶ月前。お前とゼレウスが閨で仲良くしていると影から報告がきた。その前後の調べもついている」
狼狽えるメガイラ様に、ハーディ様が説明を始めた。
「更に、3ヶ月程前から急に公爵家のベルゼと名乗る女が、私に付き纏うようになったな」
視線をメガイラ様から義妹に向けるハーディ様。
「まるで、私との不貞を周りに知らしめているかのように、所構わずベタベタと不敬を働く行為に違和感を感じた。そこで、私は公爵家のベルゼ嬢を調べた。すると、おかしいじゃないか。ベルゼ嬢は3ヶ月前から原因不明の病で部屋から一歩も出ていないという。それどころかその病のせいで…その…」
ハーディ様は言い憎そうに私を見て、目を剃らした。
「ハーディ様。はっきり仰って頂いても構いませんわ。私はこの3ヶ月ですっかり太ってしまったんですもの。持っていたドレスも全く着れなくなってしまいましたわ」
そう。
処刑された事を思い出した私は、前と違って言い逃れ出来るように体型を変えた。
義妹とは似ても似つかない体型になるようにティディに苦言されても、私はベッドの上で生活していた。
「…お義姉様が犯人で…」
「悪いけど、今の私に今までのドレスは着れないわ」
目撃者が多ければ多い程、この計画は私の犯行ではないと裏付けられると思ったから。
家族やゼレウスが病だと言えば、顔を見に来ない事も解っていたからこそ、出来た荒業だ。
「という事だ。それ以前は生き写しのようにそっくりだったその義妹が、私を不貞に誘っていた犯人と言うしかないだろう?まさか、もう一人同じ顔の姉妹が居る訳じゃあるまいし、これだけ目撃者が居るんだ。言い逃れは出来ないぞ」
「そ…そんな…」
「待って下さい!僕はそんな事知りません!義兄上を陥れようとするなん「黙れっ!」……」
尚も食らいつくゼレウスに、ハーディ様は一睨みで黙らせる。
「そのあり得ない事を計画したのはお前とメガイラだろう?」
ハーディ様がゼレウスとメガイラ様を順番に睨み付ける。
「計画の全容はこうだ。不貞を働いたお前達に子供が出来てしまった。その事が公になれば、メガイラは不義密通の罪で婚約破棄をされた挙げ句、修道院に身柄を預けられる。最悪の場合、メガイラは国外追放もあり得る訳だ」
王位継承権を持っている方との婚約は、結婚まで清い関係である事が義務付けられる。
それでも、若い男女。
抜け道ぐらいは用意されている。
ただ、子供が出来てしまうなんて醜聞は許されない。
しかも、婚約者である方以外の子供なんて論外、処罰の対象である。
私の言葉にその場に居た全員が一斉にこちらを見る。
「誰だお前は?紛らわしい!僕達は公爵家のベルゼを探しているんだ!あの売女め。どこに隠れたんだ!」
苛立ちを私にぶつけながら、ゼレウスは叫ぶ。
「あらあら、3ヶ月も会わない間に、婚約者の顔をお忘れですか?」
私は扇子で口元を隠しながら、コロコロと笑った。
「「「は?」」」
ゼレウスと義妹、メガイラ様が理解出来ないといった顔で私を見る。
良く見るとその場に居た生徒も同じような顔をしていた。
「本当に解らないのですか?ゼレウス様?」
私はわざととぼけて見せる。
「お前が本物の公爵家のベルゼか?」
ハーディ様が私に問いかける。
「はい。原因不明の病で学園を3ヶ月休んでいたんですが、何分寝たきりの生活のせいか、大分体型が恥ずかしい事になってしまいました。ですが、正真正銘、公爵家のベルゼでございます。公爵家の主治医に確認を取って頂いても構いませんが?」
私は何を言われても答えられるように用意していた言葉をハーディ様に告げる。
「衛兵はいるか?」
ハーディ様がそう言うと、どこからともなく衛兵達が現れた。
「ゼレウスとその女を捕まえろ」
「義兄上!どうして僕まで!?」
衛兵達に囲まれながら叫ぶゼウレス。
「私を転ばせ不貞の冤罪にかけようとしたその女と、その計画を立てたゼレウスを捕まえるのは当たり前だろう?」
ハーディ様が人を殺せそうな視線でゼレウスと義妹を見つめる。
義妹はその視線に恐怖したのか、真っ青な顔でガタガタと震えていた。
「それから、共犯者であるメガイラも捕まえておけ」
ハーディ様がそう言うと、衛兵達がメガイラ様も取り囲んだ。
「何故ですの?わたくしはハーディ様の不貞を見てこんなに心を痛めていると言うのに…」
メガイラ様は目に涙を浮かべながら訴えた。
「お前の腹の子は不貞の証じゃないのか?」
ハーディ様が爆弾発言をする。
その場に居た全員が凍りついた。
「え?な…何を仰って…」
「4ヶ月前。お前とゼレウスが閨で仲良くしていると影から報告がきた。その前後の調べもついている」
狼狽えるメガイラ様に、ハーディ様が説明を始めた。
「更に、3ヶ月程前から急に公爵家のベルゼと名乗る女が、私に付き纏うようになったな」
視線をメガイラ様から義妹に向けるハーディ様。
「まるで、私との不貞を周りに知らしめているかのように、所構わずベタベタと不敬を働く行為に違和感を感じた。そこで、私は公爵家のベルゼ嬢を調べた。すると、おかしいじゃないか。ベルゼ嬢は3ヶ月前から原因不明の病で部屋から一歩も出ていないという。それどころかその病のせいで…その…」
ハーディ様は言い憎そうに私を見て、目を剃らした。
「ハーディ様。はっきり仰って頂いても構いませんわ。私はこの3ヶ月ですっかり太ってしまったんですもの。持っていたドレスも全く着れなくなってしまいましたわ」
そう。
処刑された事を思い出した私は、前と違って言い逃れ出来るように体型を変えた。
義妹とは似ても似つかない体型になるようにティディに苦言されても、私はベッドの上で生活していた。
「…お義姉様が犯人で…」
「悪いけど、今の私に今までのドレスは着れないわ」
目撃者が多ければ多い程、この計画は私の犯行ではないと裏付けられると思ったから。
家族やゼレウスが病だと言えば、顔を見に来ない事も解っていたからこそ、出来た荒業だ。
「という事だ。それ以前は生き写しのようにそっくりだったその義妹が、私を不貞に誘っていた犯人と言うしかないだろう?まさか、もう一人同じ顔の姉妹が居る訳じゃあるまいし、これだけ目撃者が居るんだ。言い逃れは出来ないぞ」
「そ…そんな…」
「待って下さい!僕はそんな事知りません!義兄上を陥れようとするなん「黙れっ!」……」
尚も食らいつくゼレウスに、ハーディ様は一睨みで黙らせる。
「そのあり得ない事を計画したのはお前とメガイラだろう?」
ハーディ様がゼレウスとメガイラ様を順番に睨み付ける。
「計画の全容はこうだ。不貞を働いたお前達に子供が出来てしまった。その事が公になれば、メガイラは不義密通の罪で婚約破棄をされた挙げ句、修道院に身柄を預けられる。最悪の場合、メガイラは国外追放もあり得る訳だ」
王位継承権を持っている方との婚約は、結婚まで清い関係である事が義務付けられる。
それでも、若い男女。
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