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城田と両想いとなって一週間が過ぎて何が変わったかというと、、、特に変化が無かった。
というか手をつなごうだの、アーンだの、さらには一緒に住んで、ほぼ恋人がするようなことを今まで普通にしていたことに気が付いた。
ということは、今まで俺たちは周りの人から既に付き合っていると思われていたのではなかろうか、、、あの日腐頭さんが言っていた意味が分かった気がする。
まだしていない恋人っぽいことで一番ハードルが低いであろうことは、、、その、、キス、、なのだが、告白されたあの時、そういう雰囲気になって以来どちらからも言い出せないままだ。
したくない訳ではなく城田とキスする想像をしては恥ずかしくなって言い出せないのだ、恐らく城田も同じなんだと思う。
たまにチラッとこっちを見て何か誤魔化すように話をそらす時が有る。
絶対何か言いたいことがあるのだろうが俺もそこを突っ込むことはしない。
どちらも恋愛未経験だし、どうすればそういう雰囲気になるのかも分からずこんなこと流石に花岡にも相談は出来ず、結局いつも通り過ごしてしまっている。
「黒川、どうしたの?ぼーっとして。」
「あ、いや何でも、、、!城田、服まだ着てなかったのか!」
そういえば城田の腕が治ってから風呂も別々で、両想いと分かってからこうやって城田の裸をちゃんと見るのは初めてかもしれない。
何を今更と思うかもしれないが、城田はいつも風呂上がり下着の上にバスタオルを巻いて出てくる。
そしていつもは何も言わずすぐにカラーボックスに向かい、服を出して着るのでそれを横目でチラチラ見ているだけだった。
だが今日は目の前に俺とは違い鍛え抜かれた城田の肉体美があった。
「ああ、ごめん風呂から出たら黒川がぼーとして動かなかったから心配で直ぐに着るから、、」
「ま、待って!」
これは恋人として一歩踏み出すいい機会なのではないだろうか。
「その、ちょっと腹筋触ってみても良い?」
以前ならキモい発言かもしれないが今は恋人同士になっている、腹筋のお触りくらい許されるのではなかろうか。
「え、あ、うん、もちろん良いけど」
「じゃあ、」
城田が顔を赤らめて了承するもんだからこっちまで緊張してしまう。
城田にソファの俺の隣に座ってもらい、俺はそっと城田の綺麗に割れた腹筋に触れて撫でてみる。
「すごい、めちゃくちゃ硬いな」
俺が素直に感心して言った言葉に城田が急に口を押さえて顔を逸らしてしまった。
「黒川、そのアングルでそのコメントはちょっと」
俺は最初城田が何を言っているのか分からなかった。
俺は城田のお腹をさするために少し前かがみになっている。そしてさっき俺が言ったのは、、、
俺はようやく城田の言葉の意味を理解して顔が真っ赤になっているだろうことがわかるほど熱くなる。
「ち、違うから!てか何想像してんだよ」
「いや、ごめん分かってる黒川がそういう意味で言ってないのは、、でも、、」
城田がいつもと少し違う鋭い目で俺を見据える。
「でも今のは黒川も悪い。
俺黒川のこと好きなんだからそういう想像だってしないわけじゃないし、、俺も男なんだから」
城田の目に熱が籠っていくのが分かる。
その目には見覚えがあった。
ついさっき思い出していた告白の時の城田の雰囲気。
「黒川、いいかな?」
そのつもりでお腹を触った訳では無いが何をとは言わずとも鈍い俺にも伝わる。
俺はそっと目を閉じた。
見えずとも城田がそっと近づいてくるのがわかる。
そして、唇に熱を感じた。
ただ唇を合わせただけのファーストキスの味は分からなかったが俺の好きなシャンプーの匂いがした。
というか手をつなごうだの、アーンだの、さらには一緒に住んで、ほぼ恋人がするようなことを今まで普通にしていたことに気が付いた。
ということは、今まで俺たちは周りの人から既に付き合っていると思われていたのではなかろうか、、、あの日腐頭さんが言っていた意味が分かった気がする。
まだしていない恋人っぽいことで一番ハードルが低いであろうことは、、、その、、キス、、なのだが、告白されたあの時、そういう雰囲気になって以来どちらからも言い出せないままだ。
したくない訳ではなく城田とキスする想像をしては恥ずかしくなって言い出せないのだ、恐らく城田も同じなんだと思う。
たまにチラッとこっちを見て何か誤魔化すように話をそらす時が有る。
絶対何か言いたいことがあるのだろうが俺もそこを突っ込むことはしない。
どちらも恋愛未経験だし、どうすればそういう雰囲気になるのかも分からずこんなこと流石に花岡にも相談は出来ず、結局いつも通り過ごしてしまっている。
「黒川、どうしたの?ぼーっとして。」
「あ、いや何でも、、、!城田、服まだ着てなかったのか!」
そういえば城田の腕が治ってから風呂も別々で、両想いと分かってからこうやって城田の裸をちゃんと見るのは初めてかもしれない。
何を今更と思うかもしれないが、城田はいつも風呂上がり下着の上にバスタオルを巻いて出てくる。
そしていつもは何も言わずすぐにカラーボックスに向かい、服を出して着るのでそれを横目でチラチラ見ているだけだった。
だが今日は目の前に俺とは違い鍛え抜かれた城田の肉体美があった。
「ああ、ごめん風呂から出たら黒川がぼーとして動かなかったから心配で直ぐに着るから、、」
「ま、待って!」
これは恋人として一歩踏み出すいい機会なのではないだろうか。
「その、ちょっと腹筋触ってみても良い?」
以前ならキモい発言かもしれないが今は恋人同士になっている、腹筋のお触りくらい許されるのではなかろうか。
「え、あ、うん、もちろん良いけど」
「じゃあ、」
城田が顔を赤らめて了承するもんだからこっちまで緊張してしまう。
城田にソファの俺の隣に座ってもらい、俺はそっと城田の綺麗に割れた腹筋に触れて撫でてみる。
「すごい、めちゃくちゃ硬いな」
俺が素直に感心して言った言葉に城田が急に口を押さえて顔を逸らしてしまった。
「黒川、そのアングルでそのコメントはちょっと」
俺は最初城田が何を言っているのか分からなかった。
俺は城田のお腹をさするために少し前かがみになっている。そしてさっき俺が言ったのは、、、
俺はようやく城田の言葉の意味を理解して顔が真っ赤になっているだろうことがわかるほど熱くなる。
「ち、違うから!てか何想像してんだよ」
「いや、ごめん分かってる黒川がそういう意味で言ってないのは、、でも、、」
城田がいつもと少し違う鋭い目で俺を見据える。
「でも今のは黒川も悪い。
俺黒川のこと好きなんだからそういう想像だってしないわけじゃないし、、俺も男なんだから」
城田の目に熱が籠っていくのが分かる。
その目には見覚えがあった。
ついさっき思い出していた告白の時の城田の雰囲気。
「黒川、いいかな?」
そのつもりでお腹を触った訳では無いが何をとは言わずとも鈍い俺にも伝わる。
俺はそっと目を閉じた。
見えずとも城田がそっと近づいてくるのがわかる。
そして、唇に熱を感じた。
ただ唇を合わせただけのファーストキスの味は分からなかったが俺の好きなシャンプーの匂いがした。
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