はめられて婚約破棄されました。それでは、皆さんで復讐劇を始めていきましょう。

はんまる

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第一話

自作自演の始まり始まり。

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 本当に、いい予感です。
 やっと婚約破棄されました。
 それではおまちかねの復讐劇を始めましょう。


 そして今私は、、、私たちは婚約破棄されています。
 どういうことかは少し遡ってお話ししましょう。

 私の名前はアスター・カーム。18歳。
 このあたりでは少しは名の知れた家の御令嬢です。アホ(王子)の気まぐれで10歳の時アホの婚約者になりましたが、すぐに飽きられ、今ではアホの婚約者は何十人もいます。
 廊下を歩けば何人もアホの婚約者とすれ違う。年齢層は10歳から28歳まで。全く趣味が悪いです。ご自分だって十八のくせに。
 つまり、1番最初に婚約者になった私以外、全員浮気相手ということですわよね。
 ですが、一番古い私はもう相手にされません。なので、何度か家に帰してもらえるように頼みましたが、「婚約者だから。」
 と言われ、帰してもらえなくなりました。
 なにが婚約者ですか。ろくに相手しないくせに。
 辛い。めんどう。帰りたい。
 そんなある日のことでした。
 今年最初の新入りは、ブルーム・サンという聞いたこともない家柄の娘。一応社長娘らしいのですが、ここにいる方々全員その名を聞いたことがないらしいです。
 ブルーメは優しく愛嬌があり、ひまわりのような方でした。
 もちろん新しいものにしか興味がないアホは、ブルーメを寵愛しました。
 周りの方々は嫉妬することもなく当たり前のようにその様子を見つめていました。
 私もその1人ですが。
 すると名前も忘れた1人の婚約者の方が私に話しかけました。
 えっとお名前は、、、そう、アリアム・コワニーさんですわ。純白の髪を揺らしながら話しかけてきました。
「ブルーメさん、聞いたこともない家柄の方じゃない?一体どうやって2人は出会ったのでしょう。社交界にも出られないでしょうし、、、。」
 その方に悪気はありません。ただ、気になっただけです。なので私とその方はどうしてかブルーメに聞きにいきました。
 するとブルーメさんは、怯えた様子でオドオドとしながら言いました。そして私たちが質問する前に心なしかピッという機械音がしたような気がしました。
「えっと、その、お父様の会社で新商品が出て、それで、その、えっと、スピーチをしているとき王子様とお会いして、婚約しました、、、。わ、私みたいな貴族でもないのがここにいて、ごめんなさい、、、。」
 話終わるとピッと同じような機械音がしたような気がしました。
「いいえ、そういうつもりじゃないわ。嫌な思いをさせてごめんなさいね。」
 アリアムさんが慰めるように元気づけました。育ちが良さそうですしね。お優しいです。
 ブルーメさんは、少し自己肯定感が低いですが、素直でいい子そうです。
 だからこそ、、、。
 私は目を伏せながら部屋に戻りました。
 部屋に戻りボフンとベッドに寝転がりました。
 こんなところをばぁやに見られては怒られてしまいますね。
 改めてブルーメさんのことを考えました。
「いつまで相手にしてもらえるのかしら、、、。」
 これまで、愛され、捨てられ、、、。その波が打ち押せた方を何十人も見てきました。
 あの人もいずれ、、、。
 無駄です。こんなことを考えても。わかっています。
 私はゆっくりと瞼を下げました、、、。


 小鳥が鳴いています。
 私は着替えていると、ドアの向こう側から声が聞こえてきた。
「アスター様、大広間へお越しください。王子様がお呼びです。」
 メイドの声。
 しばらくすると、同じような声が聞こえてきました。
 なるほど。婚約者全員に伝えているというわけですか。
 何か重要なお話ということですね。
 私は着替える手を止め、着ようとしていた豪華なドレスを脱ぎ捨て、動きやすそうなワンピースを着て、使用人を呼びこう告げました。
「大きなトランクを用意してちょうだい。そう、全員分の荷物が入るような。」
 そして食用庫からありったけの食料、村娘が着るような動きやすい服を大量に手にしました。
「いい予感がしますのでね。」
 私はニコリと独り言を言いました。


 そして今になりました。
 大広間へ着くと、たくさんの婚約者の方々がいました。
 ですが、ブルーメさんの姿がありません。すると高い台の上にアホの姿が。そしてその後ろに恐る恐る上がってくるブルーメさんの姿が。
 彼女が着ているのは、姫が着るもの。
 あぁ、そういうことですか、、、。
「貴様ら全員と、婚約破棄する!」
 どこか誇らしげに言い放ったアホは、きっと私たちが絶望するのを想像していたのでしょう。ですが、なに一つ表情を変えません。
 どうやら私と同じようにこうなることを予想していたのでしょう。
「、、、なぜ驚かない。」
 どこまで鈍いんでしょうこのアホは。
「まぁいい。貴様らは我が婚約者のブルーメに暴言暴力いじめ!ブルーメが貴族でないからといい一体どういうことだ!」
 身に覚えがありませんね。皆さんもそのご様子。
 思い当たるとすれば、そう、ブルーメとアホがどのようにして出会ったのかをアリアムさんと尋ねた時でしょうか。
 ですが、あれは悪気があるわけではないとアリアムさんが説明したはず。
 皆さんも暴力もいじめもしている様子がなかったし、自作自演でしょうね。
「ブルーメさん、たとえばどのようなことを?」
 私が高い高い階段の上にいるブルーメに届くようによく通る大きな声で言いました。
 するとブルーメさんはオドオドとした様子で、
「えっと、その、た、例えば貴族のものでないのに王子様と婚約したり、、、。」
 それは悪気があったわけはないと説明しました。
「後、わざとぶつかったり水をかけられたりということが多々、、、。」
 わざとではなく狭い道でぶつかっただけ。しかも水はあなたからぶつかってきたので体調が悪いのかと心配しましたわ。
 自作自演の鏡のような人。
 いいですわ。付き合っていられません。
「で、ですが私の勘違いかも知れません。わざとだと感じたのは私ですし、その、そうでなかったら申し訳ないというか、、、。」
 目を潤ませてもじもじと喋るブルーメ。
 ぶりっ子ではなく素直なか弱い姫って感じですわね。駆け引きがお上手ですこと。
 ここで否定しても無駄でしょう。というか、否定する気にもなりません。
 否定すれば相手の思うツボ。否定しなければ逆ギレされてもっと重い罪になるかもしれないですね。
「わ、私はそんなことしていません!!王子様、どうか、牢獄だけは、、、。」
 精一杯の演技。するとその様子を信じ込んだようで、
「無駄だ。姫に暴言暴力いじめをしたのだからな。牢獄で一生を過ごすことになるだろうな。」
 ふふんと鼻を鳴らして愉快そうに笑いながら答えたアホ。
 一方婚約者の皆様は、私がなにをしたのかわかったようで、
「そうです!私はなにもやっていないです!ちょっとブルーメ!変なこと言わないで!!」
 ギロリとブルーメの方を睨みつけました。
 アホはびくりと肩を震わせるブルーメの前に出て、庇うように叫びました。
「おい!ブルーメは本当に悲しんでいるのだぞ!この醜い化け物め!おいそこの兵士!このものたちを牢屋へ連れてゆけ!」
 兵士に命じると、私たちは大広間の脇にある暗い暗いどこまで続いているかさえわからない廊下に連れて行かれました。


 暗い暗い廊下は肌寒く、どこまでも続いていました。
 どれくらい歩いたか分からなくなるほど歩みを進めていくと、大きな下へと繋がる階段がありました。ここ大広間は1階なので、多分地下でしょう。
 真っ暗な階段を歩いていくと、牢屋がバァッとこれでもかというほど並んでいました。
 私は近くの牢屋へ行きしゃがみこんで牢屋の中にいる人に声をかけました。
「お久しぶりですね、召使のエンディさん。」
 この人は私の夕食に毒物を仕込んだ方。婚約者を殺そうとしたのですから、一生牢獄生活でしょう。
 ですが、私は婚約破棄されたので婚約者でもなんでもなくなったので、罪はなくなることでしょう。
 むしろ、姫を暴力暴行いじめをした者に手をかけようとしたのですから、正式にではありませんが裏でアホに資金でももらえるのでしょう。
 私はほんの一瞬そのようなことを思いましたが、考えるのをやめ、スクリと立ち上がり、大きな大きな牢獄の中に入っていきました。
 そこには婚約者の皆様の安堵と恨みという複雑な表情が浮かんでいました。





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