1000年前の魔女との契約

はんまる

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第9話

使い魔の恋心2

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 雷斗を助ける。それが私の今するべきこと。
 私は真っ直ぐと走っている。雷斗は地下に閉じ込められていると言われている。だが、私は今日初めて魔法学校に地下があることを知った。なのに、どうして真っ直ぐ走っているのか。
 自分でもなぜかわからない。
 だが、ずっと前から地下がある場所、それどころか地下の中の隅々まで知っているような気がした。
 どうしてなんだろう。いや、それよりも早く雷斗のところへ!
 そう思ったら音楽が聞こえてきた。ピアノだ。そしてバケツをひっくり返したような量の水が降ってきた。水圧に思わず膝をついた。
 水が落ち着いて顔を上げると、見慣れた顔があった。
 あれはクラスメイトの音神さん。確か攻撃方法はピアノでリズムを取り、そのリズムで音ぷで攻撃してくる。でも音ぷはあまり攻撃力はないから他の人をそのリズムで攻撃させる、いわば指揮のようなもの。
 もう1人は同じくクラスメイトの滝神さん。音神さんのパートナーで、攻撃方法はその名の通り滝を使う。だから立ち上がれないほどの水圧だったのだ。
 多分操られているのだろう。でもクラスメイトだから傷つけたくはない。だがとまってくれる気はなさそうだ。剣を横にして刃を向けなければ傷つけずになんとかできそうだが、それだと結構な力がいる。いけるかな、、、。
 私はブンっと剣を振り上げ、ガンッと滝神さんの頭に打ちつけた。
 その痛々しい音に思わず私は顔を歪ませ、心の中で「うっ、痛そう。滝神さん、ごめんなさい、、、。」と滝神さんに謝った。続けて音神さんの頭にも打ち付けようとしたが、その前に大きな風船のような音ぷによって防がれてしまった。
 この調子じゃいつまでたっても終わらない。どうしよう。
 私の中に一つの案が思い立った。でも、、、。
「手荒なことはしたくなかったんだけど、ごめんなさい。」
 私はピアノを弾いている両手目掛けて魔剣を振るった。
 ザクっと音を立てた。血が飛び散った。浅くしたから多分治るはず。
 私は地下室の入り口へと急いだ。
 地下室の入り口の近くへ行くと、さっと物陰に隠れた。
「やっぱりいたか、、、。」
 私はボソッと独り言を言った。
 多分、ヴォルクが用心に地下室の前に門番を立たせたのだろう。
 魔法学校は13歳(中学入学)から23歳(大学卒業)の全11学年。
 大体の場合が23歳が一番強い。それほどまで強い魔法使いを操るだなんて。しかもたくさんの。ヴォルクにはどれくらいの魔力があるのだろうか。考えただけで恐ろしい。
 多分門番は23歳。見た目からもだし、何より魔力の量が半端じゃない。多分その中でも強い人たちなのだろう。魔力の見分け方など知らないが、魔界のものなら誰でも多いか少ないぐらいわかるものだと雷斗がいつか言っていたような気がする。
 あの人たちとまともに戦っていたら多分負ける。
 何かいい方法はないのだろうか。
 私は使えるものがないかあたりを見回した。すると図書館が目に留まった。
 あそこなら何かいい魔法があるかもしれない。
 そろりそろりと足音を立てないように図書館に入っていった。
 大きいなぁ。天井から床までは15メートルくらいあって、とても高い。本棚も3メートルくらいある。濃い茶色のざらざらとした本棚の表面に指を滑らせながらゆっくりと歩き出した。
 とりあえずパッと見て目に留まった本を開いた。
 ペラペラと古く周りが茶色く変色した紙をめくっていると、睡眠魔法という文字が目にとまった。睡眠魔法。まだ習っていない。でもこれなら眠らせて中に入れる。
 できるかはわからない。でもやらなきゃ!
 私は急いで地下室の扉の近くへ向かい、こう叫んだ。
「ソーサリープロミス・シュラフ グート!」
 すると門番たちはフラッと眩暈がしたように倒れ込んだ。
 私は倒れた門番に心の中であやまった。
 そして倒れ込んだ人たちを踏まないようにソッと地下室への階段へ向かった。
 カツンカツンとローファが階段に触れる音が響き渡る。
 ていうかさっむ!!ヴォルクの言っていた低体温症とか言っていうのはこういうことか。そしてめちゃくちゃ暗い。何にも見えない。寒いし怖いし、、、。
 それにしても暗いな。あ、そういえば雷斗が来週の予習だとか言って魔法練習してたな。確か指に火を灯す魔法。よし、使ってみよう。
「ソーサリープロミス・ケルチェ!」
 ボワンと私の指に小さな蝋燭のような火が灯った。なんだか安心するな。
 そう思いながらしばらく降りていくと木の扉があった。学校にいつもある扉。つまり、取っ手がないということだ。私は息をすい、
「ソーサリープロミス・オープン!」
 だが、動きはない。うそぉ。職員室もだったよな。何か特別な魔法があるのかな。
 扉をよく見るために、私は顔と扉の間に蝋燭を近づけた。
 すると蝋燭の光で宝石がチカチカと照らされた。
 その宝石の光る様子は妙に引き込まれる。思わずじっと見つめていると、宝石に私の瞳が映った。あ、本当に色そっくり。ていうか同じ、、、。
 突然のことだった。
 ギィィっと扉が開いた。
 なぜ??
 私は何もしていない。よくわからないが、開いたので進んで行った。
 あたりは暗かった。何があるか全くわからないほど。私は恐る恐るゆっくりと歩みを進めた。そして寒い!階段のところよりも。私は寒いのと怖いのでガタガタと震えながら歩いた。そしてここはローファの音はしなくて、パズルマットのような柔らかい素材だった。
 すると弾力のある何か柔らかいものに足が当たった。
「わぁ!?」
 私は驚いて声をあげ、後退りをした。
 すると硬い何かがカチッと音を立てて頭に当たった。それは電気のスイッチだったようだ。そのおかげで当たった瞬間パァッと部屋が明るくなった。
 部屋は体育館くらいある広い部屋。子供の遊び部屋のようだ。天井はそれはそれは高く、図書館と同じくらいだ。どうしてこんなに高いのだろうか。というか、子供の遊び部屋にしては広すぎる。
 思った通り地面はパズルマットで柔らかく、壁は空色。本当に子供部屋のようだ。
 中には室内用の小さな滑り台や、トランポリンなどがあった。どれもこの部屋に対して小さすぎる。しかも結構間隔が空いている。ちなみに私の足に当たったのはボール。
 私は不審に思った。と同時にどこか懐かしかった。
 雷斗はどこかとキョロキョロとあたりを見回していると、きらりとひかる金髪がチラリと見えた。
「雷斗!!」
 私は血相を変えて寒いことも忘れて飛び出した。無我夢中で駆け寄ると、やはり雷斗だった。
 私は雷斗の手を握った。
 冷たい。
 私は雷斗の顔を見た。青ざめている。
 私は絶句した。私まで青ざめた。
「ねぇ、起きて、雷斗。」
 私の目から暖かいものが落ちていった。
「なんか、あったかいもの、何か、、、。」
 私は自分の脳みそをフル回転した。何か、何か、何か。
 何も思いつかない。もっと勉強しておけばよかった。
 私はそれ以外何も思いつかなかったので、蝋燭魔法を必死に唱え続けて、近くにあった蝋燭に移していった。それを雷斗の周りに囲うように置いていった。
 他には何かないのだろうか。もう、蝋燭の置くところもないし、他に魔法もない。
 私は自分の無力さに項垂れた。
 もっと、どうして、なんで、、、。
 わかっている。もう雷斗が助からないことなんて。こんなに冷たいのだ。仮に生きていたとしても手遅れだ。先生を呼びにいくとしても、100%生徒にあって戦うことになる。
 私は起き上がった。
 すると蝋燭の灯りで宝石がチカチカと照らされた。さっき扉が開いた時のように。
 すると頭の中に一つの呪文が浮かび上がった。どうしてかはわからない。だが、私はいてもたってもいられなくなって、その言葉を口にした。
「ソーサリープロミス・ヴェアム ディヒ アウフ!」
 すると雷斗は赤い炎のような光に包まれた。
 そしてゆっくりと雷斗の瞼は上がった。
「女衣、歌?」
「雷斗!」
 私はボロボロと涙をこぼした。雷斗、雷斗、雷斗、、、!
 私の心に蝋燭が灯るように、暖かい気持ちになった。
「あ、女衣歌さん、ここにいたんですか。」
 刺すような声。私は震えた。振り返りたくない。振り返りたくない。
「探したんですよ。勝手にいなくなって。」
「私は、あなたとはもう会いたくなかった。」
「そんなこと言わないでください。僕は、女衣歌さんと一緒にいたいですよ?」
 私は振り返りながら言った。
「魔剣。」
 ビュンと魔剣をふり、ヴォルク狙ってふった。私は首を狙った。私は初めて、魔物以外の生き物の首に刃を振るった。
 だが、柔らかいが切りきれない雲で防がれてしまった。
 もう一度降ると、今度は細長い雲で利き手自由を奪われてしまった。
 いつの間にか私は縛られていた。
 私は口を開いてヴォルクに聞いた。
「どうして平気でこんなことをするの?どうして命を奪おうとするの?どうしてみんなを操るの?私にはわからない。あなた、、、。お前は一体何がしたいんだ!!」
 私は目をカッと開き、ヴォルクを睨みつけて大声で言った。
 ビリビリと壁が揺れる。ヴォルクは倒れ込み、白目を向いた。
 すると私の瞼も重くなった。

 雷斗、雷斗、雷斗、、、。

「雷斗!!」
 私は叫んだ。
 見ると校長先生の顔があった。
「女衣歌さん、雷斗さんは無事です。今、保健室で安静にしていますので。雷斗くんから話は聞いたわ。あなたが使い魔ヴォルクを説教したら使い魔ヴォルクは気を失ったんですって?それにしても、あなた暖炉魔法が使えるの?あれくらいの魔法、あなたに使えるとは思わないんだけど、、、。」
 私はゆっくりと起き上がった。どうやらここは私の部屋で、私は気を失っていたらしい。
「はい、私は怒りでヴォルクを説教?をしました。」
 恥ずかしくて顔を赤くしながら言った。
 すると校長先生は、深刻そうな顔をした。
「それだけでヴォルクは気を失ったの?」
「?はい。」
 私が答えると校長先生は頭を抱えて悩みながらぶつぶつと独り言を呟いた。
「だとしたら、その時に暖炉魔法は発動した。やはり、女衣歌さんが魔女の契約の1族だと考えた方が良さそう。でも、一体どうして人間界に、、、。」
「?校長先生?」
 私がよくわからないと言う顔をすると、いや、その、なんでもないわ。と誤魔化され、部屋をいそいそと出ていった。
 なんなんだろう。校長先生って意味不明なんだな。
 ボフンとベッドに寝っ転がった。『魔女の契約』か。なんだか懐かしくて、優しい響き、、、。
 私は眠たくなった。



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