【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い

「無職であっても子どもは助けるわよ」

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「あの子……」 

大穴は本当に深く、落ちてしまうと正直どうなるかわからない。

石ころを投げ入れても落ちた音が聞こえないほどで、そんなところに飛び入る無謀さを持ち合わせているのは馬鹿か自殺志願者くらいだ。

そんな穴に無防備に近づく少年にケイトは心配たまらない。恐らく旅もなれていない初心者のような子だろう。

動き一つ一つにダンジョンならではの警戒がなく、罠に掛かりそうだ、と。

ケイトがそう思った矢先、少年が穴に引き寄せられるようにふらつく。

その足取りが妙に怪しく、押し出されるように穴に向かっている。

そして突然の突風に少年が穴方向に大きく押し出される。罠だろうか?だとすれば目的とするは転落。

つまり少年はこのままだと穴に落ちる。

ケイトは先程まで自身が身投げの穴に吸い寄せられるほど落ち込んでいたことなどすっかり忘れて少年を救うために体を動かした。

それは咄嗟に風の下級魔法を足に纏わせ、バネのように地面をけることで成した。

スピード、跳躍はかなりのもので、今まさに身体の殆どを穴に投げ出した少年に触れることができた。

しかし止まることは考えていなかったので落ちる少年を更に押す形で自分自身も穴に見を投げ出す。

「あっ……」

情けない声とともに彼の足が地面から完全に離れた。少年の焦った顔をがよく見えた。

そんなケイトも少年を胸に抱き落ちる。

死ぬのかな?
あぁ、私も捨てたもんじゃないな。咄嗟に命をかけて人を救えるなんて。

そんな余裕がどこにあるのかわからないが、不意に思った。そして重力にぐいっと引っ張られる感触とゆらぎ落ちていく視界。

そう。ケイトは少年とともに身投げの穴から落ちていった。



いや、落ちている。

ケイトはまだ穴を落ちている。
というより長い!思考できる程度には長い!そしてそれは落ちたら最後、必殺を意味するのだということがわかる。

それを理解すると今度は恐怖が芽生えてきた。

飛び込んだ勢いだけで逝けてたらどんなに楽だったか。

目の前を代わり映えしない岩肌がすごいスピードで通り過ぎていく。

ダンジョン独特の光苔があちこちに生えているので高速で落ちていることは視認できた。

冷静になることができた一方で、きちんと死について考えてしまう。

いわゆる落ちたときの怖いなぁという感覚ではなく、死ぬという恐怖をまじまじと感じてしまうのだ。

そんな原因というべき少年はというとケイトに抱かれ早々に気絶していた。

(ちきしょう。自分だけ寝てズルいなぁ。こんな状況私だけでなんとかしろっていうの。まぁなんとかするために飛び込んだのだしなぁ。助けるということはこういうことか。なーんて軽口叩いてる場合じゃない!いい加減!どうにかしないと本当に死ぬ!)

心のなかでプチパニックかケイトを襲った。それでも冒険者としての記憶がケイトを助けた。

「炎よ!」

叫ぶとともに両手を振りかざす。命中すれば岩肌で爆発が起こり後ろに跳ね飛ぶことができる。

だが魔力量少ないケイトは、後でまた魔力切れが起こるかもとか考えてしまう。しかしこのまま行けば底に叩きつけられるかどこかにぶつかって終わりだろう。

決意を固めて魔法を放つ。

「ファイアボール!」

小さな火の玉が岩肌にぶつかり小爆発を起こす。瞬間、上昇気流が生まれたが、

さほど意味がない、けど生み出したものは上昇気流だけではなかった。

「氷よ!アイスボール!」

炎と同じく岩肌にぶつけると砕け散る氷、ばらまかれた氷の小片が風を生み出し乱流を発生させる。

微かに変わるその向き、落ちる方向が定まらなくなる。だがまだだめだ。ここで工夫しなければいけないのは私だ。連続使用に魔力が切れそうなのがわかる。でもまだ諦めるのは早い。ケイトは自分に言い聞かせながらまた魔法を唱える

「ウォーターボール!」

前方に水の塊を発生させるとともにもう一度岩肌に向かって振りかざす。炸裂する水とばら撒かれる飛沫。

スピードは随分遅くなり、大きく横に振られたロットたちはそれでもさらに落ちていった。

「っくそぉ!」

ケイトの怒声とともに再度魔法が放たれる。秒速数十メートルの速度で進んでいたものが魔法の威力によって相殺され、かなりの轟音を響かせつつも二人を着地させた。

努力のかいあってか、かなりの高さから落ちたにも関わらずその身が爆ぜることはなかった。

「……痛い」

生き残っているということを認識するのに時間がかかり、ようやく口を開いたが声がこもる。

身体の至る所が痛み、長時間の激しい落下のせいでかすり傷やら打撲やらある。

とりあえず感覚が残っているし、呼吸もできるので死んでいないことがわかり安心する。
ケイトはそのまま気を失った。
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