【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い

「遭難したの?」「そうなんです」

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話し合いが長引いたため、寝不足気味のロット、ケイト、ソイルの三人は部屋で少し遅めの朝食を摂っていた。

「ほんっとうにソイルちゃん一人で大丈夫?」

今日何度目か、昨日から数えると十度は超えたその言葉をケイトが言った。慣れた人でないと話すことも
ままならないソイルを宿に一人残すことになるのだから心配も無理ない。

「はひ、わふぁひはんふぁいまう」

当の本人は意外に余裕そうに見える。それはソイル自身が何かあるわけないと簡単に考えているのと、もし困ってもご飯くらいはなんとかできるという根拠のない自信からだった。何しろまだ9歳である。

パンを両ほほいっぱいに頬張っていたところに声を掛けられたためソイルは行儀の悪い答え方になる。そして食べながらしゃべることをあまりしたことがなかったため見事にパンを詰まらせて、兄のロットがタイミングよくミルクを差し出す。

「ソイル落ち着いて食べろよ。ケイトもしつこいよ!宿屋の店主には事情を話したし、ソイルは頑張るって言ってくれてんだろ」

うんざりしたようにロットがケイトを咎める。でも、といまだに食い下がるケイトに、ロットが不機嫌そうに目を向けるとさすがに気まずくなったのか目をそらしてそれ以上は言わなかった。

それでも心配は消えないようでケイトはそわそわしっぱなしだった。

東の洞窟はロットが旅してきた道のりと比べると強い魔物が住み着いている。だからロット一人で向かうには危険だといったケイトだったが、旅慣れている一度は自分からすると、あまりある魔力を制限付きとはいえ扱える今、二人ならば行けないこともないというのも事実だった。

だからそこに関しては勇者が待っていろと言ったものの、問題はないと考えていた。しかしどうしても気になるのはソイルのことである。

ソイルはケイトがあったことある人の中でも群を抜いて人と仲よくなるまでに時間をかけるタイプであると認識していた。

一か月以上旅してようやく自分と打ち解け始めてくれたのだから無理もない。そしてそんな彼女が先払いしているとはいえ宿に泊まり食事をとり、眠るということを一人でできるとは到底思えなかったのだ。

一方で昨日のソイルの行動や、一番近しい存在の兄であるロットが、ソイルは変わってきているというから今はあえて一人でいることが成長するチャンスかもしれないとも思っていた。

ロットは意外にもこの変化を感じ取り感覚ではあるがソイルが一人でも大丈夫と思っているらしい。

しかし可愛い妹のような存在に何かあってはという危惧がいつまでも消えず話し合いが延長していってしまった。

食べ終えたケイトはようやく自身の中で妥協し、最後のパンのかけらを飲み込むと腕を組んで二人を見た。

「でもロット、なにかイレギュラーが起こったり、想定より時間がかかりそうならおとなしく一回帰ってくる、必要以上に粘らない、ここは約束して?」

「うんもちろんだ!」

ようやく許しが出そうな雰囲気に二つ返事をする。 

「ソイルちゃんも、あなたが困ったことがあったら絶対に人を頼ること。緊張すると思うけどそこは頑張るのよ」

「は、はい!」

二人の答えに、最後にもう一度だけ天を仰いで考え、そしてケイトも東の洞窟に向かうことに賛成した。
こうしてロットとケイトは旅立った。

残されたソイルは意外と宿屋の店主の気遣いもあってか食事にも困らず、1日の殆どを自室で過ごしていた。

ケイトが暇つぶしにと、子ども向けの本をおいていったり、絵を描けるよう紙とペンを用意したり、暇つぶしになりそうなものを色々置いていったので毎日充実していた。

ソイルの人生にとってはベッドで寝ている時間が多く、元気なときも兄とはこういった遊びがなかった。そして物心ついてから常に倦怠感がつきまとう身体であったので、こうしてじっくりと遊ぶことは新鮮で楽しめた。

もしロットたちが予定通り帰ってくるならば特に問題なく大満足の留守番となっただろう。




そして一週間後。

「あぁ、俺たちはもう死ぬんだ」

「そうね、もうだめかもしれないわ」

「ケイト、俺のわがままのせいでごめん」

「いいわよ、私こそふがいなくて本当にごめんなさい」

二人は洞窟の一角で身を寄せ合ってうなだれていた。遭難していたのである。
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