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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い
「油断してるとボカンっすよ」
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ニヒヒと笑う声の主は、細くて小柄なエルフの少女だった。
淡い緑色の髪が風に揺れ、透き通った青い瞳がロットたちをじっと見つめている。
まるで、森そのものが人の形をとったかのような雰囲気だった。しかしニッと笑う口元から見える歯がなんともいたずらっぽさも出している。
「ワシだ。訳あって勇者様はいないが里に用があって借り受けた」
「んー、ほんとっすかー?もしかして勇者様から盗んだんでしょ?」
エルフが疑うようにジトっとナルルを見つめる。特徴で言えば耳以外は人間と同じような見目のはずだが、その仕草一つもなんだか神秘的な雰囲気を纏っていた。
「なっ。そ、そんなわけ無いだろうが!」
そんな質問を予想していなかったナルルは大いに焦った。ただでさえ自分のミスでソイルがいなくなっている現状、受け答えは焦ってさらにボロボロになっていく。
「焦ってるのも怪しいっすね」
エルフのの目がいたずらっぽくキラリと光る。
「ち、ちがう、本当に預かったんだ。この命に代えても嘘じゃない!」
ナルルは必死に弁解する。その姿をまじまじとエルフは眺めた。そして
「ニヒヒ、冗談っす。そもそも呼び笛は所有者の許可なく他者が使うと爆ぜて顔を吹き飛ばしちゃうっすからね。笛を吹いて五体満足のあなたをみれば盗んでないのは分かってるっすよ。それともその頭は笛の爆発でふっとんじゃったっすか?」
エルフはそう言いながら笑った。毛のない頭をさすりながら言葉が出ないナルルを見てロットとケイトも思わず笑ってしまう。からかわれたことにようやく気づいたナルルは安堵しつつもぶつけようのない怒りに悶える。
「ろ、ロクな説明もなしに、勇者様はなんて危ないものを渡すんじゃ!」
ナルルは行き場のない怒りに呆れたように呟くしかなかった。
「爆発するってのも冗談っすー。にひ」
エルフのの冗談に、ナルルはひたすら翻弄されることとなった。そして和やかなムードが流れ始めたが、ロットが本題に戻す。
「あの、エルフさん。ソイルは、小さな女の子は無事なんですか?」
「んー? あー、あの女の子なら多分大丈夫っす」
エルフは軽い調子で答えた。
「っていうか何でソイルちゃんを連れ去ったのよ。しかもあんなに純粋な子をつかまえて悪しき者だなんて」
緩み切った空気に忘れていたが、ソイルはさらわれていた。そのことを問い詰めるとエルフはあっさりと答える。
「あぁ、それはそのソイルちゃんって子からめちゃくちゃ悪い気配を感じ取ったからっすね」
悪い気配という言葉に魔力種のことを指しているとピンときたロットは慌てて訂正する。
「それはソイルが魔力種だからであってソイル自身は全く悪くないんです」
「ああ知ってんですね。そうはいっても魔力種っすよ。だったら取り除かなきゃ悪影響じゃないっすか?」
「と、取り除けるんですか!?」
魔力種を何とかしたいという気持ちでここまで旅してきたロットたちだが、あっさりと伝えられる取り除けるという事実に驚くしかなかった。
「そのつもりで攫ったっすよ。それで取り除いた後は安全なところで解放されるはずだったんすかね?まあ呼び笛鳴らしたので客人ってことでこうしてお迎えに来たわけですけどね。
どうせなら濃い霧に入ってすぐ鳴らしてくれればこんなことにはならなかったんだけどなー」
エルフが軽く肩をすくめる。またも掘り返されて責められたナルルは集まる冷たい視線に
「そ、それに関してはワシが悪かったから3人してそんな目でみんでくれ」
ナルルが申し訳なさそうに言うしかなかった。ロットの中で少しあこがれていたおじさんから、意外と抜けていて情けない人という情報が付かされた瞬間だ。
「ところで君の名前は何ていうの?」
ロットが尋ねる。
「あたしはエレナです。ちなみにこう見えて百歳越してるっすよ」
エレナがにひっと笑う。エルフは長命であることは本などに載っているが、実際に本物を見たロットたちは驚かされる。目の前の少女はまだ幼い顔つきすら残しているというのに100を越しているのだから。
「ご、ごめんなさいエレナさん」
年上には言葉使いを気を付けてきていたロットは目の前の少女が自分よりもかなりの年上であることに慌てて謝る。
「いや、敬語とかさん付けは勘弁っす。そのかわりあたしもこういう話し方するんでおあいこってことで」
一方エルフはそういったことを気にしないのか、エレナが気にしないだけなのかはわからないものの、本当に気にしていないようだった。
「じゃあエレナ、私たちをエルフの里に連れて行ってもらえないかしら」
ケイトが言われた通りフランクに話す。じゃあ行きましょう。そういって進みだしたエレナだがすぐに振り返って三人に言った。
「あ、ちなみに呼び笛は所有者以外が吹くと爆発するってのは噓ってのも嘘ですよ」
歩きながら嘘なのかどうかわからないことをまた言い出す。
「も、もし預かったナルルじゃなくて他の人が吹いてたら?」
ロットが恐る恐る尋ねる。
「もちろん、ポカンっす。しかもたまーに誤作動も起きるっすよ」
エレナがにひっと笑い、想像したロットたちはその顔を引きつらせることしかできなかった。ナルルに関しては絶句しつつ首からかけていた笛を取り外し無言で鞄にしまった。
結果なんともいえない空気で一同はあるき続けることになる。エレナのみは不思議なテンポの鼻歌を交えながら歩いているが、
「ね、ねぇ。ほんとにこのまま進んでいいの?何も見えないんだけど」
しばらく歩いても視界が変わらないというのは不安をあおるには十分で、エレナはその言葉を待ってましたとばかりに笑いながら答える。
「皆さん結構ビビりですね。でもこのくらいしとかないとわるーい奴に侵入されちゃうんでね。ちなみに、ほら。抜けましたよ」
突如ロットたちの視界に広がる光景に驚いた。
淡い緑色の髪が風に揺れ、透き通った青い瞳がロットたちをじっと見つめている。
まるで、森そのものが人の形をとったかのような雰囲気だった。しかしニッと笑う口元から見える歯がなんともいたずらっぽさも出している。
「ワシだ。訳あって勇者様はいないが里に用があって借り受けた」
「んー、ほんとっすかー?もしかして勇者様から盗んだんでしょ?」
エルフが疑うようにジトっとナルルを見つめる。特徴で言えば耳以外は人間と同じような見目のはずだが、その仕草一つもなんだか神秘的な雰囲気を纏っていた。
「なっ。そ、そんなわけ無いだろうが!」
そんな質問を予想していなかったナルルは大いに焦った。ただでさえ自分のミスでソイルがいなくなっている現状、受け答えは焦ってさらにボロボロになっていく。
「焦ってるのも怪しいっすね」
エルフのの目がいたずらっぽくキラリと光る。
「ち、ちがう、本当に預かったんだ。この命に代えても嘘じゃない!」
ナルルは必死に弁解する。その姿をまじまじとエルフは眺めた。そして
「ニヒヒ、冗談っす。そもそも呼び笛は所有者の許可なく他者が使うと爆ぜて顔を吹き飛ばしちゃうっすからね。笛を吹いて五体満足のあなたをみれば盗んでないのは分かってるっすよ。それともその頭は笛の爆発でふっとんじゃったっすか?」
エルフはそう言いながら笑った。毛のない頭をさすりながら言葉が出ないナルルを見てロットとケイトも思わず笑ってしまう。からかわれたことにようやく気づいたナルルは安堵しつつもぶつけようのない怒りに悶える。
「ろ、ロクな説明もなしに、勇者様はなんて危ないものを渡すんじゃ!」
ナルルは行き場のない怒りに呆れたように呟くしかなかった。
「爆発するってのも冗談っすー。にひ」
エルフのの冗談に、ナルルはひたすら翻弄されることとなった。そして和やかなムードが流れ始めたが、ロットが本題に戻す。
「あの、エルフさん。ソイルは、小さな女の子は無事なんですか?」
「んー? あー、あの女の子なら多分大丈夫っす」
エルフは軽い調子で答えた。
「っていうか何でソイルちゃんを連れ去ったのよ。しかもあんなに純粋な子をつかまえて悪しき者だなんて」
緩み切った空気に忘れていたが、ソイルはさらわれていた。そのことを問い詰めるとエルフはあっさりと答える。
「あぁ、それはそのソイルちゃんって子からめちゃくちゃ悪い気配を感じ取ったからっすね」
悪い気配という言葉に魔力種のことを指しているとピンときたロットは慌てて訂正する。
「それはソイルが魔力種だからであってソイル自身は全く悪くないんです」
「ああ知ってんですね。そうはいっても魔力種っすよ。だったら取り除かなきゃ悪影響じゃないっすか?」
「と、取り除けるんですか!?」
魔力種を何とかしたいという気持ちでここまで旅してきたロットたちだが、あっさりと伝えられる取り除けるという事実に驚くしかなかった。
「そのつもりで攫ったっすよ。それで取り除いた後は安全なところで解放されるはずだったんすかね?まあ呼び笛鳴らしたので客人ってことでこうしてお迎えに来たわけですけどね。
どうせなら濃い霧に入ってすぐ鳴らしてくれればこんなことにはならなかったんだけどなー」
エルフが軽く肩をすくめる。またも掘り返されて責められたナルルは集まる冷たい視線に
「そ、それに関してはワシが悪かったから3人してそんな目でみんでくれ」
ナルルが申し訳なさそうに言うしかなかった。ロットの中で少しあこがれていたおじさんから、意外と抜けていて情けない人という情報が付かされた瞬間だ。
「ところで君の名前は何ていうの?」
ロットが尋ねる。
「あたしはエレナです。ちなみにこう見えて百歳越してるっすよ」
エレナがにひっと笑う。エルフは長命であることは本などに載っているが、実際に本物を見たロットたちは驚かされる。目の前の少女はまだ幼い顔つきすら残しているというのに100を越しているのだから。
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年上には言葉使いを気を付けてきていたロットは目の前の少女が自分よりもかなりの年上であることに慌てて謝る。
「いや、敬語とかさん付けは勘弁っす。そのかわりあたしもこういう話し方するんでおあいこってことで」
一方エルフはそういったことを気にしないのか、エレナが気にしないだけなのかはわからないものの、本当に気にしていないようだった。
「じゃあエレナ、私たちをエルフの里に連れて行ってもらえないかしら」
ケイトが言われた通りフランクに話す。じゃあ行きましょう。そういって進みだしたエレナだがすぐに振り返って三人に言った。
「あ、ちなみに呼び笛は所有者以外が吹くと爆発するってのは噓ってのも嘘ですよ」
歩きながら嘘なのかどうかわからないことをまた言い出す。
「も、もし預かったナルルじゃなくて他の人が吹いてたら?」
ロットが恐る恐る尋ねる。
「もちろん、ポカンっす。しかもたまーに誤作動も起きるっすよ」
エレナがにひっと笑い、想像したロットたちはその顔を引きつらせることしかできなかった。ナルルに関しては絶句しつつ首からかけていた笛を取り外し無言で鞄にしまった。
結果なんともいえない空気で一同はあるき続けることになる。エレナのみは不思議なテンポの鼻歌を交えながら歩いているが、
「ね、ねぇ。ほんとにこのまま進んでいいの?何も見えないんだけど」
しばらく歩いても視界が変わらないというのは不安をあおるには十分で、エレナはその言葉を待ってましたとばかりに笑いながら答える。
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