【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第一部 無駄な魔力と使い捨て魔法使い

「姐さんと呼ばせてください!」

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「ここがエルフの里!」

「いきなり村が現れたぞ?」

「木が家みたいになってる!?」

それぞれが思いおもいに感想を言う。ロットはその家の作りに驚いた。それもそのはずで、どの家も大きな樹の下にあり、まるで家を包み込むように木々が立っていた。

そして街を彩る装飾も明かりもすべてロットたちの世界にはないもので揃えられており、幻想的なその様子に魅入られていたのだ。

「んー、皆さんの町は木にお願いして家を作らないんすか?」

「作らねぇなぁ。それにこんな形にうねって育つもんなんだな」

「まあエルフは自然とともに生きてるっすからね」
とエレナが笑う。

 エルフにとっての当然が人間にとっては大きく異なる。そのことが面白いのかエレナはロットたちの反応を楽しんでいる。

しかしエレナのように楽しめる人もいれば、異物というだけで排除したがる人がいるのも生き物のさがだ。

「ね、ねーエレナ。その、なんか視線が」

ロットが小声で言った。その視線の先にはエルフが数人まとまって立っていた。

その手は口元に置かれ、何やらひそひそと話しているのが見て取れる。その様子はロットから見ても明らかに好意的なものではなかった。

エレナはその視線に付き合う気は無いようで一瞬だけ視界に入れるとすぐに目的地に向かってあるき続ける。

「あぁ。エルフは大抵よそ者嫌いなんですよ。エルフは気高く誇り高い種族って思ってるっすからね」

「でもエレナはそんな感じしないよね?」
ケイトが不思議そうに言う。

「まーあたしは誇り高いエルフのはずが魔力も少ないし、エルフの代名詞とも言える精霊も使えないときてますからね。

そのかわりといっちゃなんですが、気配を察知するのと身軽なのが取り柄っす。それで里の周りを見張る役目をさせてもらってんです」

あっさりと言うエレナだったがケイトとロットは魔力が少ないというところに大いに親近感を持ったのは言うまでもない。

そしてそれでも自分の特技を生かして役目を持っているエレナに素直に尊敬した。

「へーすごいわね!」

エレナは少し自嘲気味に笑う。

「すごくなんかないっすよ?見張りなんてそもそも里の結界で察知できるんで、それで事足りますからね。

万が一敵さんが来ても一番里にふさわしくないあたしが行けば、たとえやられても困らない使い捨てみたいなもんすよ」

頬をポリポリと掻きながら言うその姿は少し寂し気で自信なさげだった。

「そ、そんなことないよ!魔力がないだけで里にふさわしくないなんて!」

「まあ、あたしはこういう生き方が合ってるんすよ。それに、こうして皆さんを案内できてるし、悪くないっすよ」

エレナ自身里では魔力が少なく、周りが当然のように出来ることがなかなかできなかった。そんな浮いた存在だったのでロットやケイトの純粋な言葉がうれしくも恥ずかしそうだった。

少し赤くなったほほを悟られないために前を向いて歩くスピードを速めた。

「ロット君は優しいっすねぇ。まあでぶぁ?」

するとエレナが突然見えない壁のようなものにぶつかり、転倒する。

少し離れたところで、その様子を見ていた数人のエルフたちが笑っていたが、ロットたちと目が合うとさらにその表情を歪ませてにやりと歩み寄ってくる。

その笑みはエレナの、にっと笑ういたずらっぽいものではなく悪意があることが見て取れた。

「あらあらあらぁ、障壁を張る練習をしていたもので、まさか避けられないとはねぇ」

わざとらしい仕草で口元に手を持ってきてそう言った。エレナを起こそうとしないあたりわざとということを明言しているようなものだった。

「あー、練習なら仕方ないっすね」

エレナもそう答えたが、その言葉に含まれた諦めの色は拭えなかった。

「くすくすくす、それにしてもあなたってどんくさいのねぇ。それによそ者の案内役なんて貴女にピッタリの役目だわ」

よそ者に対してのこの言動は日常茶飯事であり、エレナに対しても当たりが強いのは見て取れた。エレナも特に抵抗せず、へらへらと笑っているだけだった。

それを許せないケイトが怒りを抑えきれずに割って入る。

「ちょっと」

 もはや仁王立ちで言うその姿は宣戦布告と言われても仕方ないほど威圧的だったが、相手も人間に舐められて堪るものかという気持ちがよく出ていて、顎を挙げて見下すような姿勢になる。

「あら、何かしら人間?」

にらみ合うその様子をナルルは面白そうに、ロットはあわあわと心配そうに、そしてエレナは驚いたように呆然と見ていた。

「エレナに謝りなさい!」

強気に言い放った言葉は三人のエルフに向けられたものだがそのうち一人、おそらくリーダー格のエルフが一歩前に出て傲慢な態度を崩さず言い返す。

「謝れって?この子がのろまなのが悪いんではなくて?あなたも魔法の練習台に!……あれ?」

言いながら前に突き出された腕は確実に魔力が流され、魔法へと構成し始めていたが、形になる前に消えてしまった。

自身の魔法が上手く発動できなかったことに疑問を抱くエルフだったが、そこにケイトは冷静な笑みを浮かべながら言い放つ。

「あらあらあらぁ。誇り高きエルフともあろうものがた、か、が!人間様の魔力妨害に負けて魔法が使えないんではなくって?それとも単純にあなたの技量がおこちゃまレベルなのかしら?」

まるで悪役令嬢バリに高笑いが聞こえてきそうなケイトにナルルまでもが引きつった笑みを浮かべて、二人の女性の争いを止められないでいた。

「なっ、あなた私たちエルフに向かって何を!」

エルフは、自身の魔法を消して見せた目の前の人間が、明らかに自分より魔法に長けていると実感しつつも、エルフとしてのちっぽけなプライドから何とか反論しようとする。

しかしヒートアップしているのはケイトも同じで、それ以上にまくしたてるように口を開いていた。

「なによ?確かにエルフは数千年以上の太古の昔から自然とともに暮らす素晴らしい種族よ?けど私が尊敬する素晴らしいエルフはエレナのことを言うのよ。

たかがちょっとの魔法が使えるくらいでえばり散らすあなたよりも、里に危険がないように見張ってくれているエレナのほうがよっぽど素晴らしいわ!わかったらとっとと謝りなさい!」

その形相は見事なもので、エルフを怯ませるのに十分だった。実際は魔力操作をして自分が威圧感があるかのように調整していたが、そもそもそんな繊細なことが出来る時点で、ケイトは実力でもきっちりエルフたちよりも上であった。

ともかく得意の魔法で上をいかれて、予想以上の形相で言葉を投げつけられたエルフは恐怖にかられた。そもそも人間との関わりが極端に少なく、里に入ってくるのは安全な人間、つまり危害を加えないような人間がほとんどなので今回のように自分以上に言い返してくる人は初めてだったのだ。

「ひっ、あ、え、……エレナさん、少しその、やりすぎてしまったかもしれませんわ。ごめんなさいね、そ、それでは失礼!」

と言いながら逃げ出した。もちろん取り巻きの両サイドも何もせずついていく。あとに残るのは少しスッキリと、しかしロットたちの手前怒った顔を崩さずにいるケイトと、それに圧倒された他3人だった。

「グッハッハ!さすがケイトじゃ」

お腹を抱えながらナルルが笑う。同じパーティーで新米の頃も仲間が悪口を言われたとき、こうやってたとえ相手が大人であろうとかみついていた彼女を思い出した。

ケイトは自身がやりすぎたことを振り返り顔を赤らめ、エレナを起こすために手を差し伸べた。

「うっ。ごめんなさい。つい腹が立っちゃって」

エレナは目を輝かせてみていた。差し出された手を両手でしっかり握ると熱っぽい視線を向ける。

「……さっきの言葉に惚れました!かっこよかったっす!姐さんって呼ばせてくださいっ!」

「えぇ!?」

ケイトの驚きの声とエレナの尊敬の眼差しが交錯した。
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