【2部まで完結!】使い捨てっ子世にはばかる!?~妹が最強の魔王になるかもしれない~

うろたんけ

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第二部 最大級の使い捨てパンチ

「疾走しちゃっだぁぁぁあああ!!!」

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次の日の朝、ケイト、ロット、エレナの三人がセリーナの屋敷を訪れると、何やら騒がしい雰囲気が漂っていた。扉を開けるや否や、セリーナが慌てふためいた様子でロットに飛びついてくる。

「ジュリちゃんがいなくなったの~!」

セリーナは涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ロットにしがみついている。ロットはなだめようとするが、その手に力が入らない。力を込めればセリーナの柔らかいところに触れるためだ。

そんな彼を、ケイトが呆れた様子で強引に引き剥がした。

「しっかりしなさい!」

セリーナは引き剥がされた反動で力が抜け、へなへなと床にへたり込んでしまう。彼女を見かねたメイドの一人がすかさず駆け寄り、彼女を支えて椅子に座らせた。

「奥様はお話しできる状態ではありませんので、私が代わりにご説明いたします」

メイドの一人がケイトたちに向き直り、少し緊張した様子で話し始めた。

「坊っちゃまは、明け方こっそりと屋敷を抜け出されたようです。そして、置き手紙を残していかれました。せんえつながら、読ませていただいても?」

「ええお願い」

「ほ、ほんとうに?」

「ちょ、なんでここで粘るのよ」

メイドはケイトの様子にビクビクしながら何度も確認した。一体何が書かれているのだろうか?もしかしたらロットたちが魔力種を取り除くのは怖いというような内容が書いているのかもしれない。そんなふうにケイトは納得してメイドが読み上げるのを構える。

メイドが紙を取り出し、読み上げる前に一度咳払いをしてから、少しモノマネを交えながら内容を伝える。

「『母様、突然の外出申し訳ございません。母様のことは大好きですが、お、ば、さ、ん、たちは胡散臭いから僕の魔力種は治らない。だからボイコットする。……追伸、おばさん怒るとシワできちゃうよ』以上でございます」

「だ、だ、だ、だれがおばさんよ!私、まだ10代ですけど?」

怒りを露わにするケイトは目の前のメイドに向かって言った。ケイトの怒りを察して、メイドはさっと一歩後ろに下がる。

「も、申し訳ございませんが、これは坊っちゃまの書き置きでございます」

それでも怒りの矛先が定まらないためメイドを追いかけようとケイトが一歩踏み出すも脱兎の如くメイドの群れに戻っていった。メイドがメイドを隠して、読み上げた人はあっという間に紛れてしまう。

「それで、ジュリ君はどこに向かったんですかね?心当たりは?」

ロットが話題を変えようと質問する。屋敷にいる他のメイドたちも皆一様に首をかしげる。どうやら誰もジュリの行き先を予測できていない様子だ。

その時、セリーナが涙に濡れた声で、何とか言葉を紡ぎ出した。

「ばばの、お仕事場に行ったのかも…3歳の頃、よく行ってたのよぉ…」

ガラガラ声で聞き取りにくかったがエレナはしっかりと解読した。

「お仕事場とは?」

エレナが優しく尋ねると、メイドが代わりに答えた。

「ライリス商会でございます。普段は外交で街を離れておりますが、本日は商会内で会議があるため、街に戻られているかと」

「さすが、いいとこで働いてるわね」

ケイトが感心したように言う。もうメイドに当たるつもりはなかったが、ケイトが口を開くだけでメイドの集団がビクリと震えた。

ライリス商会はこの街でも一番の規模を誇り、武器や食材など、様々な商品を取り扱っている。あれだけ立派な屋敷に住んでいるのだから、ジュリの父親が商会で相当な地位にいることは間違いなかった。

「急ぎましょう。ジュリ君が何かしでかす前に見つけないと」

三人はセリーナを残し、急いでライリス商会へ向かった。




ライリス商会ベウコ支部の前に立つロットたち。目の前に広がる光景に圧倒されていた。ロットがあちこちへと泳いでいる。建物の屋根に黄金に輝く巨大な魚の像が鎮座していた。

「おっきい魚だなあ…」と、ロットはしみじみと呟いた。

「この魚、金運が良くなるからライリス商会のマスコットてき飾りなのよ。だからどこの支部でも飾ってる」

ケイトは別の商会で聞いた話を思い出し、ロットに教えてやった。

「はえー、人間は面白いっすね」

と、エレナも興味津々にその像を眺めていた。ロットとエレナがこのように熱心に見入っている姿に、ケイトは田舎者丸出しだなと思いつつ、実は自分も最初に見たときにはしばらくその場から動けなかったことを思い出して、少し待ってやった。

「で、どうする?」

満足げに魚を見終えたロットがケイトに尋ねた。

「受付でジュリが来ていないか確認してもらいましょう」

内に入ると、広々としたエントランスには、整然とした雰囲気が漂っていた。人々が忙しそうに荷物を運んだり、商談を行ったりしている姿が目に飛び込んでくる。

エントランスの正面には広々としたカウンターがあり、上品な木材で作られたそのカウンターは光沢がある。見事な曲線を描くガラス製の受付窓が飾られていた。受付嬢たちは深い紺色の制服に身を包み、その姿は非常に洗練されていた。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でございますか?」

受付嬢は礼儀正しく、にこやかな笑みを浮かべて訪問理由を尋ねてきた。

「えーっと、ジュリっていう男の子がここに来なかったかしら?お父さんに会いに来たんだと思うんだけど」

ケイトが聞くと、受付嬢は来客名簿をちらりと確認した後、軽く首を振った。

「申し訳ございませんが、本日はそのようなお子様はお見えになっておりません」

「おかしいわね…。何か間違っているのかしら?」

思惑が外れたのか、ケイトは思案しながら、さらに質問を続けた。

「ちなみに、お父さんの名前はグレイソンさんだったはずよ」

その言葉に、受付嬢の顔色が変わり、驚きが表情に表れた。

「えっ!?」

営業スマイルの彼女の表情が崩れた。そのことでケイトたちは反応に驚き、自分たちが何か間違ったことを言ったのかと不安になった。

「グレイソン様と申されますと、ライリス商会ベウコ支部の商会長でございますが?」

受付嬢は信じられないという表情で、グレイソンの名前を繰り返した。

「商会長?」

3人は顔を見合わせた。グレイソンがベウコ支部の商会長であると知り、驚きを隠せなかった。依頼人がただの裕福な家の主でなく、この街でも有数の権力者であることが明らかになったのだ。

「そりゃあ、あんな大きな家に住んでるわけだわ」

納得したケイトは小声で呟いた。しかしそれなら話は早いと再度受付に申し込む。

「それなら、グレイソンさんにお会いできるかしら?」

「申し訳ございませんが、グレイソン様は多忙のため、事前に予約をいただかないとお会いすることができません」

受付嬢は申し訳なさそうに答えた。

「どれくらい待たないといけないの?」

「おそらく、1週間後の面会が最も早いお時間となります」

「1週間!?そんなに待てないわ!」

ケイトの声には焦りが滲んでいた。1週間も待っていては、ジュリを見つけるどころか、父親に事態を知らせることすらできなくなる。

「どうしよう」

ロット達が途方に暮れていると、背後から落ち着いた声が響いた。
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