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第三部 勇者への道
「試験!?」
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男は背が高く、スラリとしていた。しかし袖から見える腕は筋肉が引き締まっており、軟弱な身体ではないことを示していた。ロットと比べると、たしかにこんな子どもがと思ってしまうのは仕方がない。
「だれですか?」
ロットが問いかけると先ほどと同じように驚いた仕草をした。いちいち鼻につくが、それをやってのける程度には実力に自信があるのだろう。
「なんだその目は。俺っちは緑塔の勇者を継ぐもの、その名もアベン様だい」
まだ誰が勇者か今出ていないのに勝手に継がないでほしい。ていうか誰だよ。そう口にすると面倒くさそうなのでロットは喉元まで出かかったが自己紹介にねじかえた。
「はぁ、僕はロットです」
「まだ何も決まってないわよ」
とケイト。
「早とちりっすね。ていうか誰っす?」
とエレナ。
「自分のこと様付けはだせえ」
とパンチ。
せっかくロットが我慢したというのに残り3人は口々に言いたい放題だ。言われっぱなしのアベンはワナワナと震え
「てめぇら聞こえてるぜい!オレっちの偉大な功績を知らないってことは田舎者だな?」
と叫んだ。列の10人先くらいまでが何事かと振り返った。その視線にアベンが静かにしろと言いロットはあからさまに眉をひそめた。大声を上げたのアベンだが、突っ込むとまた騒がしくなるのでスルーした。
「アベンだって僕達のこと知らないじゃないか」
「いや、そうだけどよ。って知るわけ無いだろい!オレっちは都市のコロシアム今年度のチャンピオンだぜい!」
切り返すロットにたじろぐアベンだが、自分の功績を知らせて有名であることを伝えた。都市のコロシアムは年に一度開かれると冒険者の大会で、優勝者は勇者の次に強き者として認められる。
緑塔があるこの大陸にいる者にとってはかなり有名な大会なのだが、何しろロット達は海を渡って日が浅く知らないのは当然である。
「へー、コロシアムって世界中から猛者が集まる有名な大会よね?それが本当なら確かに実力者だわ」
ケイトのみがそれを知っていたが、優勝者までは把握していないらしく、疑いの目を向けた。
「ちっ、信じてねぇなぁ。まあいい、ロット。中途半端な実力だと怪我するだけだからガキはお家でねんねしてな。姉ちゃんもお守りで来たんだろうけど、ここはあぶねぇぞ」
あくまでロットを子供扱いし、帰らせようとする。相手の心配をしてのことなので意外といいやつかもしれない。そう思ったもののロットも真剣にここへ挑んでいるし、ケイトがお守り代わりと言われるのは不服だった。
「ガキじゃないって!僕も勇者を目指してここに来たんだよおじさん?」
さすがにおじさんには見えないが子供扱いの仕返しとばかりにそう言った。今度はアベンが古くな顔を作った。
「あぁ?誰がおじさんだ。オレっちは16だぜい」
190はあろう身長にガタイの良い体つき。おおよそ未成年にさえ見えないアベンがそう言うとエレナが思わず「えぇ?」と声を漏らした。
さらにはアベンの前の人もそれを聞いて振り向き驚愕していた。
「ほら、僕と2つしか変わらないよ!」
ロットはと言うと、思った以上年齢が近く急に親近感が湧いていた。
「かっかっか、一つ違えばガキだぜ」
アベンもそれほど変わらない歳の差にちょうどよい兄貴感を感じていたが
「ならあたしは17だからあなたもガキね?」
すかさずケイトがそう言った。まっすぐと見つめる瞳にアベンも思わず目を逸らした。さっきのロットへの態度と打って変わりえらくよそよそしい。
「……ともかく勇者にはオレっちがなるからな!」
女性慣れしていないのかそれ以降目を合わせることはなかった。ロットも自分が子どもであることは重々承知はしてきていたので気を取り直して並び続けた。
気がつけば後ろにも列ができており、冒険者たちの勇者への憧れがよくわかる光景だった。受付を済ませると、青塔の勇者は終始落ち着いた口調で受験者の名前を書いていく。
一度馬鹿な受験者がなぜここで受付をしないといけないのか納得がいかないとごねたが青の勇者によって片手でねじ伏せられていた。
自分よりも大きな相手に腕力で圧倒した青の勇者に流石だなと言う視線が向けられ、それ以降は滞りなく終えた。
そして塔の入口に人々は集まっていた。かなりの大人数であり青塔の勇者がすべて受け付けたと思うとその苦労がとても良くわかる。
「皆さん、よくお集まりくださいました。本日は緑塔の勇者様亡きあとに、新たな勇者を迎え入れるために集まっていただきました。
本来ならば皆さんはこのまま緑塔に潜り、塔を無事突破した者こそが勇者となります。ただ挑戦者も大勢いますし、余りにも力が無い人は塔に入っても無駄死にするだけですので私たち勇者より試験を一つ設けます」
サラリと死ぬかもしれない発言にロットは改めて気を引き締めた。
受付を終えた青の勇者が司会のようなことをしている。他の勇者もいるがそばで立っているだけで基本は青の勇者がするようだ。
「だれですか?」
ロットが問いかけると先ほどと同じように驚いた仕草をした。いちいち鼻につくが、それをやってのける程度には実力に自信があるのだろう。
「なんだその目は。俺っちは緑塔の勇者を継ぐもの、その名もアベン様だい」
まだ誰が勇者か今出ていないのに勝手に継がないでほしい。ていうか誰だよ。そう口にすると面倒くさそうなのでロットは喉元まで出かかったが自己紹介にねじかえた。
「はぁ、僕はロットです」
「まだ何も決まってないわよ」
とケイト。
「早とちりっすね。ていうか誰っす?」
とエレナ。
「自分のこと様付けはだせえ」
とパンチ。
せっかくロットが我慢したというのに残り3人は口々に言いたい放題だ。言われっぱなしのアベンはワナワナと震え
「てめぇら聞こえてるぜい!オレっちの偉大な功績を知らないってことは田舎者だな?」
と叫んだ。列の10人先くらいまでが何事かと振り返った。その視線にアベンが静かにしろと言いロットはあからさまに眉をひそめた。大声を上げたのアベンだが、突っ込むとまた騒がしくなるのでスルーした。
「アベンだって僕達のこと知らないじゃないか」
「いや、そうだけどよ。って知るわけ無いだろい!オレっちは都市のコロシアム今年度のチャンピオンだぜい!」
切り返すロットにたじろぐアベンだが、自分の功績を知らせて有名であることを伝えた。都市のコロシアムは年に一度開かれると冒険者の大会で、優勝者は勇者の次に強き者として認められる。
緑塔があるこの大陸にいる者にとってはかなり有名な大会なのだが、何しろロット達は海を渡って日が浅く知らないのは当然である。
「へー、コロシアムって世界中から猛者が集まる有名な大会よね?それが本当なら確かに実力者だわ」
ケイトのみがそれを知っていたが、優勝者までは把握していないらしく、疑いの目を向けた。
「ちっ、信じてねぇなぁ。まあいい、ロット。中途半端な実力だと怪我するだけだからガキはお家でねんねしてな。姉ちゃんもお守りで来たんだろうけど、ここはあぶねぇぞ」
あくまでロットを子供扱いし、帰らせようとする。相手の心配をしてのことなので意外といいやつかもしれない。そう思ったもののロットも真剣にここへ挑んでいるし、ケイトがお守り代わりと言われるのは不服だった。
「ガキじゃないって!僕も勇者を目指してここに来たんだよおじさん?」
さすがにおじさんには見えないが子供扱いの仕返しとばかりにそう言った。今度はアベンが古くな顔を作った。
「あぁ?誰がおじさんだ。オレっちは16だぜい」
190はあろう身長にガタイの良い体つき。おおよそ未成年にさえ見えないアベンがそう言うとエレナが思わず「えぇ?」と声を漏らした。
さらにはアベンの前の人もそれを聞いて振り向き驚愕していた。
「ほら、僕と2つしか変わらないよ!」
ロットはと言うと、思った以上年齢が近く急に親近感が湧いていた。
「かっかっか、一つ違えばガキだぜ」
アベンもそれほど変わらない歳の差にちょうどよい兄貴感を感じていたが
「ならあたしは17だからあなたもガキね?」
すかさずケイトがそう言った。まっすぐと見つめる瞳にアベンも思わず目を逸らした。さっきのロットへの態度と打って変わりえらくよそよそしい。
「……ともかく勇者にはオレっちがなるからな!」
女性慣れしていないのかそれ以降目を合わせることはなかった。ロットも自分が子どもであることは重々承知はしてきていたので気を取り直して並び続けた。
気がつけば後ろにも列ができており、冒険者たちの勇者への憧れがよくわかる光景だった。受付を済ませると、青塔の勇者は終始落ち着いた口調で受験者の名前を書いていく。
一度馬鹿な受験者がなぜここで受付をしないといけないのか納得がいかないとごねたが青の勇者によって片手でねじ伏せられていた。
自分よりも大きな相手に腕力で圧倒した青の勇者に流石だなと言う視線が向けられ、それ以降は滞りなく終えた。
そして塔の入口に人々は集まっていた。かなりの大人数であり青塔の勇者がすべて受け付けたと思うとその苦労がとても良くわかる。
「皆さん、よくお集まりくださいました。本日は緑塔の勇者様亡きあとに、新たな勇者を迎え入れるために集まっていただきました。
本来ならば皆さんはこのまま緑塔に潜り、塔を無事突破した者こそが勇者となります。ただ挑戦者も大勢いますし、余りにも力が無い人は塔に入っても無駄死にするだけですので私たち勇者より試験を一つ設けます」
サラリと死ぬかもしれない発言にロットは改めて気を引き締めた。
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