111 / 117
第三部 勇者への道
「最極魔法は最強よ」
しおりを挟む
「でもいい機会だよ、僕達がどのくらい通じるかわかるじゃないか」
「ロット前向きじゃない。じゃあちゃちゃっと倒しちゃいましょう」
魔族との対峙は初めてではないロットとケイトだけは前向きな発言をした。これまでの経験から魔族の恐ろしさを知っており、さらに格上とわかった以上自分の剣技では不足していることを悟っている。
なので一気に倒す作戦にし、ケイトと手をつないだ。はたから見れば滑稽な姿もケイトの内部では勇者にも劣らない爆発的な魔力が共有され始めている。
「私を倒す? あーっひゃっひゃっ。身の程を知らなすぎますねえ。お手々をつないで仲良し小好しですか?」
まだそのことに気がついていない男は額に手を当て大笑いしながら見下している。アベンは目配せをしてクリスとトリィと共に男の隙を見て襲いかかった。
「そいつぁどうかな。まずは俺からだい。鉄烈」
「良い攻撃ですが隙だらけです」
素早い動きで横から凪ぐようにふりまわされた爪はいとも簡単にかわされた。がら空きになった脇腹に男の強烈な一撃が襲いかかる。
「堅守剣」
そこにトリィが大剣を盾にして割って入った。衝撃で吹き飛ばされものの、男の一撃を防ぐことに成功する。
攻撃のすきを見逃さずに今度はクリスが背後から拳を振るった。
「打蛇多弾」
多彩な拳の打ち込みは確実に男を捕らえ、一撃入るごとに男の体は宙に浮き、最後の一撃を加えると数メートル後方に吹き飛んだ。
しかし着地の時にふわりと回転して鮮やかに立ち続けた。その姿はダメージが通った様子もなく涼しい顔で3人を見ている。
「守りからの攻撃、連携もなかなかですねぇ。ただ勇者を目指すには弱すぎます」
3人の攻撃はそれぞれ手を抜いたつもりはなかった。それなのにダメージを与えられないという圧倒的な差。
普通は心が折れるというのに男の目の前にいる人間たちはそれでも立ち向かう。
ダメージがほとんどないとはいえ何度も受けるのはうっとおしく、ハエでも払うように反撃をした。軽く振った手からはナイフが飛び出しクリスに向かった。
「させるかよい、鋼鉄裂」
それをアベンが弾き飛ばし、その隙にまたトリィたちが攻撃に転じる。しかし深追いはせず、まるで時間稼ぎをしている印象を与えた。
「なんですか、さっきから。無駄ということが……」
怒気を交えながら男が口を開くが途中で止まった。その視線の先には先ほどまではなかった脅威になりえる魔力の高まりがあった。
男は先程までとは違い焦りを見せてケイトに向かって無数のナイフを飛ばす。
「はぁぁぁぁあ!!!」
トリィの大剣で振り払われ、男は再度同じ行動をした。
「鋼鉄裂!」
今度はアベンの一撃で無効化される。その間にも魔力は膨らんでいる。余裕からか一歩も動いていなかった男だったがたまらず駆けだした。
「打蛇多弾」
「くっ、小賢しい!」
クリスまでもが足止めを果たしついにケイトは準備が整う。
「今更気がついたって遅いよ!」
ロットが勝ち誇ったかのようにそう言った。実際男の距離からではケイトに攻撃を食らわすのはもう間に合わない。
そう判断して踵を返して逃げ出そうとするが、ケイトは自身が持つ最大の威力、つまり最極魔法を放つつもりなので逃げ出すことも不可能に近かった。
「これが私たちの必勝パターンよ。最極魔法風の王者!」
放たれた魔法は凄まじい暴風となり男へ向かう。瞬きをするまもなく男は風に包まれて無数の風に刻まれていく。
「ぐ。ぬぁぁぁああ」
悲鳴をあげながらも抗おうと体を右往左往振り回して男は必死に耐えている。しかし威力は増すばかりでやがて勢いのありすぎる風に視界が潰されてロットたちもなにもみえなくなった。
「す、すげえ威力だな」
「すごいですぅ」
「黄塔の勇者様に引けを取らない魔法だな」
その様子に勝ちを確信したアベン達は嵐が止むのを大人しく待った。
「ほんとに、これだけの魔力を使ってまだまだ余裕があるんだからやんなっちゃうわ」
「へへ、でもケイトこそ最極魔法を使いこなせるようになってきたね」
ロットとケイトも互いをたたえて風がやむのを待った。
「ロット前向きじゃない。じゃあちゃちゃっと倒しちゃいましょう」
魔族との対峙は初めてではないロットとケイトだけは前向きな発言をした。これまでの経験から魔族の恐ろしさを知っており、さらに格上とわかった以上自分の剣技では不足していることを悟っている。
なので一気に倒す作戦にし、ケイトと手をつないだ。はたから見れば滑稽な姿もケイトの内部では勇者にも劣らない爆発的な魔力が共有され始めている。
「私を倒す? あーっひゃっひゃっ。身の程を知らなすぎますねえ。お手々をつないで仲良し小好しですか?」
まだそのことに気がついていない男は額に手を当て大笑いしながら見下している。アベンは目配せをしてクリスとトリィと共に男の隙を見て襲いかかった。
「そいつぁどうかな。まずは俺からだい。鉄烈」
「良い攻撃ですが隙だらけです」
素早い動きで横から凪ぐようにふりまわされた爪はいとも簡単にかわされた。がら空きになった脇腹に男の強烈な一撃が襲いかかる。
「堅守剣」
そこにトリィが大剣を盾にして割って入った。衝撃で吹き飛ばされものの、男の一撃を防ぐことに成功する。
攻撃のすきを見逃さずに今度はクリスが背後から拳を振るった。
「打蛇多弾」
多彩な拳の打ち込みは確実に男を捕らえ、一撃入るごとに男の体は宙に浮き、最後の一撃を加えると数メートル後方に吹き飛んだ。
しかし着地の時にふわりと回転して鮮やかに立ち続けた。その姿はダメージが通った様子もなく涼しい顔で3人を見ている。
「守りからの攻撃、連携もなかなかですねぇ。ただ勇者を目指すには弱すぎます」
3人の攻撃はそれぞれ手を抜いたつもりはなかった。それなのにダメージを与えられないという圧倒的な差。
普通は心が折れるというのに男の目の前にいる人間たちはそれでも立ち向かう。
ダメージがほとんどないとはいえ何度も受けるのはうっとおしく、ハエでも払うように反撃をした。軽く振った手からはナイフが飛び出しクリスに向かった。
「させるかよい、鋼鉄裂」
それをアベンが弾き飛ばし、その隙にまたトリィたちが攻撃に転じる。しかし深追いはせず、まるで時間稼ぎをしている印象を与えた。
「なんですか、さっきから。無駄ということが……」
怒気を交えながら男が口を開くが途中で止まった。その視線の先には先ほどまではなかった脅威になりえる魔力の高まりがあった。
男は先程までとは違い焦りを見せてケイトに向かって無数のナイフを飛ばす。
「はぁぁぁぁあ!!!」
トリィの大剣で振り払われ、男は再度同じ行動をした。
「鋼鉄裂!」
今度はアベンの一撃で無効化される。その間にも魔力は膨らんでいる。余裕からか一歩も動いていなかった男だったがたまらず駆けだした。
「打蛇多弾」
「くっ、小賢しい!」
クリスまでもが足止めを果たしついにケイトは準備が整う。
「今更気がついたって遅いよ!」
ロットが勝ち誇ったかのようにそう言った。実際男の距離からではケイトに攻撃を食らわすのはもう間に合わない。
そう判断して踵を返して逃げ出そうとするが、ケイトは自身が持つ最大の威力、つまり最極魔法を放つつもりなので逃げ出すことも不可能に近かった。
「これが私たちの必勝パターンよ。最極魔法風の王者!」
放たれた魔法は凄まじい暴風となり男へ向かう。瞬きをするまもなく男は風に包まれて無数の風に刻まれていく。
「ぐ。ぬぁぁぁああ」
悲鳴をあげながらも抗おうと体を右往左往振り回して男は必死に耐えている。しかし威力は増すばかりでやがて勢いのありすぎる風に視界が潰されてロットたちもなにもみえなくなった。
「す、すげえ威力だな」
「すごいですぅ」
「黄塔の勇者様に引けを取らない魔法だな」
その様子に勝ちを確信したアベン達は嵐が止むのを大人しく待った。
「ほんとに、これだけの魔力を使ってまだまだ余裕があるんだからやんなっちゃうわ」
「へへ、でもケイトこそ最極魔法を使いこなせるようになってきたね」
ロットとケイトも互いをたたえて風がやむのを待った。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる