生きてる価値を探す日々

湯田川美央

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自殺

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私が通っている学校で、子どもが1人自殺をした。

 その子は、私よりもひどいいじめを受けていた。

 集団りんち。

 男の子だったのだが、10人くらいから毎日のように暴行を受け、心はボロボロになって死んでいった。

 その男の子の担任だった、教師は、仕事を辞めた。

その教師は、集団りんちしてた奴らから、バケツで水を頭からかぶせられた。

その教師もいじめられていたのだ。

授業では、誰も話を聞かず、背中に

「死ね」

と書かれた紙を貼られていたらしい。


 保護者会でも凄い言われようだったらしい。

 死んだのはあなたのせいだ。と。

 でも、死んだのは紛れもなく集団りんちをしていたやつらで、そいつらは、のうのうと生きている。

 許せない。

 周りのみんなは、こう言っていた。

  「死ななくてもいいのにね」

 でも、わたしには、その男の子の気持ちがわかるように気がする。

 死ぬしか選ぶことができなかったのだ。

 きっと、その男の子は、たくさん考えたと思う。

 いっぱい、考えた上で、

「死ねば、何も考えずに済む」

って、思ったのかもしれない。

わたしだって、そう考えたこともある。


 男の子は、苦しかったのだ。誰にも言えないくらい。

私は、親にいじめられていることを相談できなかった。

 なぜか。

 それは、親に心配をかけたくないからだ。

 親のことは大好きだった。

 しかも、わたしは長女。

 妹もいる。

 そんな私がいじめられているなんて知ったら、

悲しむし、心配する。とても。


 だから、どうしても言えなかった。誰にも。

1人で辛い苦しい日々に耐えてきた。

私も自殺した男の子のようになっていたかもしれない。

でも、わたしには男の子のように自殺する勇気はなかった。自殺できなかったのだ。
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