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しおりを挟むそこは以前、前を通り過ぎただけで何となく覚えていたペットショップだった。
店内は明るく奥の方にケージが見える。
仔犬や仔猫が居そうな感じである。
「わあ…」
「さあ…入ろうよ…」
彼女は早速ケージに歩み寄って中の仔犬を観察し始めた。
「可愛い…」
彼女の今日一番の笑顔がまたまた更新された。
その後…うさぎのケージの前に行くと彼女はうさぎのことを色々話してくれた。
「この子…小さくて可愛いでしょう。
ネザーランド・ドワーフって言うんですよ…」
「本当だ…可愛いなぁ…」
楽しそうに話す彼女の横顔を見て…思えば新生活を始めてバタバタしていた数ヶ月、こんなにゆっくりした優しい時間を過ごすのは無かった気がした。
これで今日踏んだ地雷がチャラになったらいいなぁ…
などと、浅ましいことを考えていた僕だったが、彼女の笑顔を見ていると、今日の人生初のデートは楽しいデートになったなぁ…
もしも…これからずっと彼女と一緒にいられたなら…
きっと楽しい毎日になるだろうなぁ…
そんなことを考えていた時に彼女が目の前にひょいと顔を出して、
「私だけ楽しんじゃってすみません。あの…宮田さんに御用があったのでは?」
「いや、僕も仔犬や仔猫が見たくなっただけなんだ…
でも結衣ちゃんが喜んでくれたみたいで良かったよ。」
「そうですか…はい!とっても…あっ!!」
…ピロロロ…
その時彼女のスマホが着信音が鳴って、僕の『どうぞ』という仕草に彼女は軽く会釈してから通話ボタンを押した。
「あっ…お姉ちゃん…今、ちょっと外に出てて…」
電話はどうやらお姉さんからのようだった。
内容は…聞いちゃいけないな…
僕は少し彼女から離れた所で待つ事にした。
「何かお探しですか……?」
背後から声をかけてこられたのは髪を後ろで束ねた落ち着いた印象の女性の店員さんだった。
「ああ…いえ…可愛い動物達を見たくて寄らせてもらったんです…」
僕がそう言うと彼女はニッコリと微笑んで…
「大学生の方ですか…?
実は私もアルバイトなんです…
動物が大好きだから飼いたいんだけどマンションだと飼えないからせめて…」
「分かります……
本当に幸せな気分になりますよね…」
「うん…うん……じゃあ……あっ!!」
楽しそうに女性の店員と話す翔の姿を見て結衣の顔色がみるみるうちに変わっていった…
通話中のスマホを自分のバッグにねじ込むと一目散に翔の元へと走り出した。
そして……
「あっ…結衣ちゃ…ええっ!!」
彼女は僕の手を取ると強く握りしめ、俯き気味に店の出口の方へと向かって駆け出した…
「ちょ…ちょっと…」
突然の彼女の行動に驚いた僕は、それでも遠ざかっていくビックリした表情の店員さんに会釈しながら店を後にした…
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