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捕らわれた友人
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俺は今、非常に危機的な状況に陥っていると思っている。
なぜなら、誰もが関わりたくないと思っている篠田優羽に捕まってしまったからだ。
「なぁ、鐘崎」
見た目は、俺と変わりない彼。
入学当初は野球部の期待の星とか言われていたけれど、なんか怪我か何かで退部したとか聞いたことがあった。
それから、とあるヤツに『異常に好かれている』と聞いていたが、それが沼原とは知らなかった。いや、なんとなく分かっていたが、気づかぬようにしていたのかもしれない。
あの、隣の席になっただけで殺す事件が起きるまでは。
あの後が大変だったのだ。
なぜだか分からないが、謎の呪文の明らかに不吉な手紙やらが届いたりしたのだ。しかも、その効果は絶大で俺の周りで不幸が起きた。
そして、それはまだ継続中なのである。
その原因が、何故か俺に話しかけて来た。しかも、妙に神妙で。
「お前さ、1年の塚本、て知ってる?」
「あ、あぁ、塚本な。アイツいい奴だよな。何でも一生懸命で」
「そ、そうか」
「なんだ?篠田は塚本の知り合いなのか?」
俺に聞かれ、篠田は挙動不審になる。
前はこんな風な雰囲気ではなかったのにな。
中学時代を知っているせいか、俺にはどうも今の篠田が慣れない。
今は、何というか。昔より柔らかくなったけど、コイツの側にいるモノが恐い。
「うん。ちょっとな。その、塚本のこと、お前、どう思ってる?」
「いい後輩だけど」
それ以外に何があるのだろうか。
確かに、塚本 明はいい後輩だ。俺によく懐いてるし、時々、変なことしてるけれど、それを除いてもいい奴だ。
「何だよ。そんなこと聞きに呼び出したのかよ」
「いや、お前さ、知ってるかなって」
ん?
知ってるかな?とは、何のことだ。
「中学からの知り合いだし、一応、忠告というか、なんというか」
歯切れの悪い。
何を言うのだろう。
「塚本、灯の従兄弟なんだよ。灯と良くも悪くも似てるというかさ、だから・・・」
沼原の従兄弟?
良くも悪くも似てる?
「灯がお前に何したか知らないけど、それで明と喧嘩してさ。お前も気を付けろよ、明に」
え?
「あー先輩!ここにいたんだな!迎えに来たのに教室にいねぇんだもん!探したよ」
「あー優羽!またコイツといたの?俺と一緒に帰るって約束したのに」
聞き覚えにある声と聞きたくない声。
その二つが重なったとき、俺は声のした方を振り向いた。
そこには、クラスメートの沼原と後輩の塚本の姿が並んでいた。
顔は、似ていない。
沼原が爽やか系のイケメンであれば、塚本は、切れ目の少し強面のイケメンだ。
でも、
「灯さん、もう余計な事しないでよ。あれ、俺のになるんだから」
「余計なこと?優羽に関わるモノは全て排除するのは当たり前でしょ?それにアイツ、俺の知らない優羽を沢山知ってるから嫌いだし」
なんだろう。
この不安感は。
「よく似てるんだよ、中身が。俺は、それだけ言いたかっただけだから」
そう言って肩を叩き笑った篠田の顔は、あの頃の顔に戻っていた。
俺は、何故か安堵する。
中学時代の彼を知っていたからかもしれない。怪我のことや退部のこと、事情を知っているからこその安堵だ。
「良かった。お前、楽しそうだな」
「あ?楽しくねぇよ。とんでもないヤツに捕まったんだぞ、俺は。人生全てアイツにもっていかれるんだぞ」
「あ、いや、そう言う意味では」
「お前もだからな」
「俺?」
そう言われた瞬間、俺の腕を塚本が強く掴んでいた。
彼は、悪戯に笑って、こう言った。
『つかまえた』
お前も、捕らわれたんだからな。
厄介な人間に、人生全てを持って行かれる。
その瞬間、俺も理解した。
俺の人生全て、彼から逃れられないのかもしれないと。
なぜなら、誰もが関わりたくないと思っている篠田優羽に捕まってしまったからだ。
「なぁ、鐘崎」
見た目は、俺と変わりない彼。
入学当初は野球部の期待の星とか言われていたけれど、なんか怪我か何かで退部したとか聞いたことがあった。
それから、とあるヤツに『異常に好かれている』と聞いていたが、それが沼原とは知らなかった。いや、なんとなく分かっていたが、気づかぬようにしていたのかもしれない。
あの、隣の席になっただけで殺す事件が起きるまでは。
あの後が大変だったのだ。
なぜだか分からないが、謎の呪文の明らかに不吉な手紙やらが届いたりしたのだ。しかも、その効果は絶大で俺の周りで不幸が起きた。
そして、それはまだ継続中なのである。
その原因が、何故か俺に話しかけて来た。しかも、妙に神妙で。
「お前さ、1年の塚本、て知ってる?」
「あ、あぁ、塚本な。アイツいい奴だよな。何でも一生懸命で」
「そ、そうか」
「なんだ?篠田は塚本の知り合いなのか?」
俺に聞かれ、篠田は挙動不審になる。
前はこんな風な雰囲気ではなかったのにな。
中学時代を知っているせいか、俺にはどうも今の篠田が慣れない。
今は、何というか。昔より柔らかくなったけど、コイツの側にいるモノが恐い。
「うん。ちょっとな。その、塚本のこと、お前、どう思ってる?」
「いい後輩だけど」
それ以外に何があるのだろうか。
確かに、塚本 明はいい後輩だ。俺によく懐いてるし、時々、変なことしてるけれど、それを除いてもいい奴だ。
「何だよ。そんなこと聞きに呼び出したのかよ」
「いや、お前さ、知ってるかなって」
ん?
知ってるかな?とは、何のことだ。
「中学からの知り合いだし、一応、忠告というか、なんというか」
歯切れの悪い。
何を言うのだろう。
「塚本、灯の従兄弟なんだよ。灯と良くも悪くも似てるというかさ、だから・・・」
沼原の従兄弟?
良くも悪くも似てる?
「灯がお前に何したか知らないけど、それで明と喧嘩してさ。お前も気を付けろよ、明に」
え?
「あー先輩!ここにいたんだな!迎えに来たのに教室にいねぇんだもん!探したよ」
「あー優羽!またコイツといたの?俺と一緒に帰るって約束したのに」
聞き覚えにある声と聞きたくない声。
その二つが重なったとき、俺は声のした方を振り向いた。
そこには、クラスメートの沼原と後輩の塚本の姿が並んでいた。
顔は、似ていない。
沼原が爽やか系のイケメンであれば、塚本は、切れ目の少し強面のイケメンだ。
でも、
「灯さん、もう余計な事しないでよ。あれ、俺のになるんだから」
「余計なこと?優羽に関わるモノは全て排除するのは当たり前でしょ?それにアイツ、俺の知らない優羽を沢山知ってるから嫌いだし」
なんだろう。
この不安感は。
「よく似てるんだよ、中身が。俺は、それだけ言いたかっただけだから」
そう言って肩を叩き笑った篠田の顔は、あの頃の顔に戻っていた。
俺は、何故か安堵する。
中学時代の彼を知っていたからかもしれない。怪我のことや退部のこと、事情を知っているからこその安堵だ。
「良かった。お前、楽しそうだな」
「あ?楽しくねぇよ。とんでもないヤツに捕まったんだぞ、俺は。人生全てアイツにもっていかれるんだぞ」
「あ、いや、そう言う意味では」
「お前もだからな」
「俺?」
そう言われた瞬間、俺の腕を塚本が強く掴んでいた。
彼は、悪戯に笑って、こう言った。
『つかまえた』
お前も、捕らわれたんだからな。
厄介な人間に、人生全てを持って行かれる。
その瞬間、俺も理解した。
俺の人生全て、彼から逃れられないのかもしれないと。
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