『愛してる』て言わないと、僕は死んでしまいますよ。

ふゆの

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ホンキな彼氏

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 クラスが一緒になった件について。
 俺は、灯に詰め寄ったりはしなかった。なぜなら、恐ろしかったからだ。

 俺は、確かに灯のことが好きだ。
 友達とかそんなんじゃなく、恋愛感情としてと、俺は認識している。

 しかし、

 灯の異常な行動は、今に始まった事じゃない。むしろ、エスカレートしている。

 そう、今、この時も。

「本当?その席、譲ってくれるの?君って優しいなぁ」

 俺の席の隣。
 4月は出席番号順に座るのが当たり前だが、ヤツにはそんなことは通用しない。
 灯の席は、俺の隣。
 それが、灯の常識。
 灯の世界は、俺と灯を中心に廻っていて、俺がそこから出て行くのを許さない。例え、俺の灯への愛情がなくなっても、それは同じ。
 俺は、檻に閉じ込められているのと同じだ。

「よ、良かったよ。お、俺も前の方が良かったんだ。目が悪いし」

 何を言っている。
 鐘崎は視力はいいじゃないか。
 鐘崎 涼弥かねざき りょうやは、テニス部のキャプテンであり、それなりに強い。
 いつか『俺、目には自信があるんだぜ!』と自慢気に語っていたことを、俺は覚えている。
 しかし、そんなヤツも灯には敵わないらしい。

「そうなんだー良かった。断られたら、どうしようかと思ったよー」

 なんて、笑顔。
 その裏の感情が読めない。
 断ったら、どうするつもりだったのか、俺には想像できない。

「同じクラスに隣の席。僕たちはついてるね、優羽」
「そうだなー」

 と、作り笑顔。

 このままだと、俺の全ての生活が、コイツに吞まれてしまう。
 自由という言葉が、確実に遠ざかっていく。

「ねぇ、優羽」

 俺の肘を、ちょんちょんとつつく。
 俺が、それに気づいて振り向くと、ヤツはこの上なく嬉しそうに笑顔で言った。

「これで24時間、ずーっと一緒にいられるかもしれないねぇ」

 24時間。
 灯が言うと冗談には聞こえない。

「本当はね、閉じ込めて、誰にも見せたり、触れあったり、楽しいこととか全部、俺以外として欲しくないんだよ?でもさ、優羽もまだ未成年だから、それなりに社会の常識とか知識とか必要でしょ?だから、それが整うまでは、許してあげるよ」

「え?」

 何か、すごい事を言われているような気がする。

「だからさ、優羽が成人するまでは、我慢するからね」

 クラスが静まる。
 当たり前だ。灯は、わざとクラスメートに聞こえるように言ったのだ。

「もし、優羽に何かあったら、全部俺が助けてあげる。邪魔なヤツとか、馬鹿にしてくるヤツとか、ウザいのとか、うるさいのとか、全部、排除してあげるからね」

 これは、この新しいクラスメートたちのことだ。
 つまり『俺たちの邪魔をするな。俺たちの中に入って来たヤツ、馬鹿にするヤツ、とりあえず、全てを殺してやる』的な敵意。
 そして、コイツは、確実に殺る。

「わ、分かったよ。灯」

 灯にそう返すと、灯は嬉しそうに笑う。
 俺は、どうして灯のことが好きなのか。そして、こうやって全てを支配されるのも悪くないとか思っているのもおかしい。
 俺も、知らずのうちに灯に毒されているのだと、改めて思うのだった。
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