『愛してる』て言わないと、僕は死んでしまいますよ。

ふゆの

文字の大きさ
8 / 10

シハイされる彼氏

しおりを挟む
 春が来た。
 始まりの日。
 俺は、怯えていた。
 それは、毎年起こる、灯にとっては人生最大のイベント。


 クラス替え!


 俺にとっては、人生最悪のイベントでもある。
 なぜなら、一年前、灯とは別のクラスとなり、黒塚と同じクラスなったときの灯は、とても恐ろしかった。
 その生活が慣れるまでは、黒塚も命の危険を感じるほどと後で語ったことから、周りにも多大なご迷惑を掛けていたに違いない。
 実際、俺の目の前でも何度もカムバリスムについて語ったり、黒魔術の本を何冊も山積みにしてあったり、天井からロープがぶら下がったりと、彼の精神がおかしくなっていたのを目の当たりにした。


 本当なら、引く。


 しかし、俺は二年も彼と恋人を続けている。
 それなりに、俺も異常と言うことなのだろうか。灯に好きだとか、愛してるとか言われると嬉しいし、俺も好きだと思ってしまう。


 さて。


 今年は、どうなるのやら。
 ついに俺は、生活の全てを灯に握られている。ここでクラスまで同じなら、俺の学校生活も灯に支配されるのだ。

「お、篠田。三年間一緒だなー」

 声を掛けたのは、黒塚。
 黒塚の言葉に、灯は黒塚を睨み付ける。
 普段は仲が良いように見えるけど、俺のことになると態度がかなり変わるな。
 黒塚も、分かっててやるから、意地が悪い。

「そうかー。灯は?」

「あー、見てなかった」

 笑い。
 黒塚、いつか灯に何かされても俺は知らないからな。

「大丈夫。今年は、一緒だし」

 え?
 自信満々に、灯は言った。
 同じクラスになることが確定しているような口調だ。

「黒塚。僕は、お前の嫌がらせには引っかからないよ。僕と優羽は、永遠に一緒なんだから!」

 永遠を強調。
 黒塚が、必死に笑いを堪えている。

「優羽、僕が見てきてあげるね」

 と、やっぱり心配なのか灯はクラス替えの表を見に行った。
 残された俺と黒塚。
 黒塚は、笑いながら俺に言った。

「ご愁傷様。俺は、楽しませてもらうわ」

 あ。

 その言葉と同時に、満面の笑顔の灯が目に入った。

 俺の全ては灯に掌握され、そして、黒塚という全てを知っているギャラリーもできた。
 俺の生活は、一気に暗闇に落ちて行くのを、俺は理解した。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

偽物勇者は愛を乞う

きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。 六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。 偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜 役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。 お願いそっとしてて下さい。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ 多分短編予定

処理中です...