『愛してる』て言わないと、僕は死んでしまいますよ。

ふゆの

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カワいい彼氏

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「逃げ場、ないな」
 黒塚が、憐れむように言った。
 いや、少し楽しそうだ。
「あぁ、俺は、もう灯から離れらんねーよ」
「そうだな。離れたら、お前を殺しそうだし」


 いや、それならまだいいかもしれない。


 逆だ。
 逆に灯は、俺の目の前で死ぬだろう。
 自分が命を落とす、その瞬間を俺に刻みつけるだろう。


 それが、灯だ。


「ま、俺はいいけど。アイツが練習に来てくれるし」
 そう。
 試合も近いこともあり、灯は毎日練習に参加していた。
 そして、俺は何故かマネージャーとして勝手に入部させられていた。
「篠田は、真面目だし、面倒見もいいから頼りになるしな」
 何故だろう。
 素直に喜べないのは、コイツが嫌みを込めた言い方だからか。
 それとも、面白がっているのが、丸わかりだからか。
「とりあえず、沼原は任せた!」
 頷くことしか出来ない。
 そして、その様子をまた、凝視する灯なね恐怖しか感じない。





「黒塚と何、話してたの?」
 帰り道。
 やっぱり、これだ。
 毎日毎日、誰と何を話してたの?とか、クラスでは、他の子と仲良くしてない?とか携帯見せてとか。
 俺へのチェックが厳しくなっていく。


 どうにかしなければ。


 灯のこれは、不安からなのか、そう言う性質なのか、判断が難しい。
 多分、どちらもだと思うけど。
「何、て。灯の話だよ」
「僕の話、してたの?」
 少し、驚いた顔をする。
「あぁ。お前が毎日練習してるから、良かった、て」
 ふーん、と興味なさそうにする。
 黒塚の評価は、どうでも良いみたいだ。
「そう言えば、灯は何でバスケ部に入ったんだ?」
 灯は運動神経はいいが、バスケを昔からしていた訳じゃない。灯曰く、どっちかというと文系らしい。
 小さい頃から書道とかやっていて、むしろそっちが彼の趣味であり、好きなことだ。
「だってさ、優羽がカッコいい!て、褒めてくれたから」
「え?」
 灯の顔が赤らんでいる。
 珍しく、照れているようだ。
「それだけ?」
「そ、それだけだよ!悪い?」
 釣られて照れる。
 外から見たら、変な光景だと思う。
 人通りの多い道で男子高校生の二人が顔を赤らめているのだ。


 そう、思うと、恥ずかしい。


 俺は、居たたまれなくて灯の手を引っ張る。
 何だか、可愛いと思ってしまったのだ。


 誰もいない公園に来ると、俺は周りに誰もいないことを何度も確認した。
 それから、


 灯の唇に俺の唇を重ねた。


 本当に、急にしたくなったのだ。自分でも信じられないくらいに。
 驚いた灯。
 何だか、その顔も可愛く見えた。


「優羽からのキス。初めてだ。嬉しい!そんな可愛いことされると、ますます離したくなくなっちゃった!」


 あれ?


 ギュッと抱きしめられる。
 そして、力が強い。
 抵抗することが、出来ない。
 何だか、茂みに連れて行かれている。


 そして、下半身に妙な感覚を感じる。
 これは・・・。


「責任、取ってね。俺の可愛い彼氏さん」



 前言撤回。
 可愛くなんてない。
 やっぱり、俺には手に負えない生き物のようです。
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