『愛してる』て言わないと、僕は死んでしまいますよ。

ふゆの

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アイされる彼氏 その一

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「なぁ、何で俺のことをすきになったんだ?」
 とある週末の帰り道。
 俺は、ふとした疑問を灯に漏らす。
 恋人繋ぎしていた俺の手に、何やら力がこもる。
「おい、」
 答えたくないなら、答えなくてもいいと言おうとした。
 しかし、こちらを向いたヤツの目はキラキラと輝いていた。
「それって、なれそめとか振り返るヤツですか?そんでもって、愛を深めよう的な!?」
「え、いや」


 そう言うわけじゃないけど。


 週末から日曜にかけては、ほぼ灯のアパートに泊まることが強制的に決まっている。
 灯にとっては、週末のお楽しみの時間であり、恋人との愛を深めるためのもの。
 それを、俺から提案したのだ。
 喜ばれるに決まっている。
「今日は、優羽との始めての放課後デートした記念日だし、それから、それから」
 色々な記念日が重なっている。
 始めて俺の手料理を食べたとか、何回目のキスとか、ケンカとか。挙げ句には、始めて灯の家のトイレを使った記念日とかあるから、正直嫌だ。
 灯の脳内は、俺との記念日が満杯らしい。
「今日は、二人のなれそめ記念日も追加しとくね」
 と手帳に記入。
 追加しなくていいよ。と、言っても灯には無駄なことを俺は、知っている。
「じゃあ、お家に帰ってからにしようよ!」
「あ、あぁ」
 灯の認識では、もう二人の家のようだ。
 この間は、おしおきと称され、帰り道に拉致られる。
 俺の自由は完全に奪われ、執拗に黒塚とのことを攻められた。


 内容は、振り返りたくない。


 そんな嫌な思い出のある灯のアパートに着く。
「今日は、楽しい夜になりそうだね!」
「あ、うん」


 お前にとってな。


 と、心の中で呟いた。







 さて、アパートに着くと、灯の行動は更にエスカレートする。
 ずっと、密着状態なのだ。
 離してくれるのは、トイレの時だけで、そのトイレも入口の前で待っている。
 聞き耳を立てているのが分かって、俺は女子みたいに流しながら用をたす。
 しかも、前までは、
『トイレも付いていく!好きな人のことは、何でも知りたいんだもん』
 なんて言って、トイレの中まで来た。
 挙げ句、興奮した灯。
 初めてが、トイレの中なんて最悪だった。
 それが、元でケンカになったことは、今でも覚えている。
「全く」
 トイレの中にしか俺の居場所がない。
 それほどまでに、灯が俺に執着する理由を俺は知りたかった。
 だって、俺は他の男子とも変わらない、平凡な男子だし。
 いつ飽きられてもおかしくない、て思ってる。


 俺も、ちゃんと灯のこと、好きなんだなぁ。


 なんて、思ったりして。
 俺にフラれたら死ぬと言っていた灯。
 あの日の屋上のフェンス越しの告白を思い出す。




『貴方が、僕を好きって言ってくれなきゃ、死にますよ!』






 そう言って、必死に叫んだ灯のことを今でも鮮明に思い出す。
「優羽!まだぁ?」
 トイレの外で灯が痺れを切らして声を出す。
 まだ、と言ってやりたいが、灯の言うなれそめを聴こうではないか。
 そして、俺はトイレを後にした。

 
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