まともじゃない2人だけの関係。

メトロノーム

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勝負

無題

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目を開けると、俺はベッドの上にいた。
ふかふかで、何となくだけど、花のような、甘い匂いが部屋中に充満していた。

再び目を瞑ればすぐ夢の中に入れ込めちゃうぐらい心地いいベッド。だけど。


「ん?は!?ここどこ!」


ガバっと起き上がると、隣で蠢く何か。
おいおいおいまさかな?
そろっと覗き込むとさっきまでぺちゃくちゃ話し合っていた佐藤玲がぐっすり寝てるし意味わかんねぇ。

「おい…お前起きろよなあ!」

声をあげると佐藤玲の睫毛がピクンと動くけど、すぐにまた眠りについちまうし、人ん家の気配どころか、ラブホみたいな雰囲気を漂わせているしで頭がパニックだ。

「今何時だ!?」

ベッドの横に立てられていた時計を目にすると深夜の3時を回っていた。

居酒屋での記憶が殆どなく、どうやってここまで辿り着いたのかさえわからない。
全ては佐藤玲の思惑だろうけど。

「あれ、もう起きたの」

隣で軽く微笑みながら俺を見つめる佐藤玲はきっとさっきからずっと起きていたんだろう。
気怠そうに体を起こすと冷蔵庫から水を取り出した。

「飲む?」

「いや…いい。てゆーかここどこだよ」
「近くのラブホ」
「なんでラブホなんだよ」
「どこだっていーだろ」
「よくねえよ。てゆーか。まてよ。おい。なんで俺、裸なんだよ」

「あと、何で俺」

馬鹿だ俺。こいつを少しでも話がわかるいい奴だなんて1ミリでも思ってしまったことが馬鹿だった。




「何で俺縛られてんだよ」





俺の両腕は縄できつく縛られていた。








「おい…これお前がやったのか?」
「まーね。」
「なんで、こんな事すんだよ。外せよ」
「バカ。んなことしたら縛った意味ねーだろ」

いやいやいや何言ってんだよこいつさっきから。
ガチガチに腕ぐらいまで締め上げちまってさ。
脚は何もされてねーけど、腕がこんなんじゃ殆ど役に立たねーよ。

「なあ。お前さっきからずっと起きてたんだろ」
「そーだけど」
「その間…寝てる俺にこんな事してたのかよ」
「そーだけど」


明らかに平和な雰囲気じゃない。
あたりを見渡せば、俺の服どころか、大学で使っていたリュックさえ見当たらない。
まさか、俺に逃げられない為?

ポケットに入れていたはずの携帯もねーし。

「なあ、これ外せよ」
「あんたバカだね。俺がはいそうしますって言うと思ってんの」
「こんなことされる覚えはねーって言ってんだよ!」

その瞬間頬を殴られた。
ジワジワと伝わる痛み。
中学生の頃一回町で問題児と恐れられたガキ大将とやり合った以来の痛みだ。
佐藤玲に殴られた。
俺はそれだけで、自分はこれから何をされるのか安易に予想がついたのだ。


「か、金ならねーよ」
「は?」
「さ、さっきお前に奢れよって言っただろ?最近バイトも課題のせいでろくにしてねーしよ。遊びに使い放題で、それこそ貯金すらねーし。だいたい「あんたさっきから何言ってんの笑」

「俺が金目当てにお前拉致ってると思った?」

「は、はあ?違うのかよ…」

「あんたやっぱ頭弱いね。あいつの事と良い。良いカモにでもなりそーだけど」


俺に近づくと、左ポケットから何かを取り出した。

「な、んだよそれ」
「睡眠薬」
「な!?何でそんなもん…」
「だからあんたに興味あるって言っただろ」


殴られたせいで口の端から血が滲み出す。
佐藤玲はその傷口に親指をあてがった。

「…っい!」

グリッと抉るように傷口に指を押し当てられ、俺はすかさず腰を丸くした。

「あと一発殴ったらさ。ここ。完全に裂けちゃうかもね」

正直ゾッとした。
こいつの顔、まるでこれからターゲットを思う存分痛ぶって、飽きたら何事もなかったように殺すようなそんな顔。

「なあ、俺と勝負しない?」
「え…は?」
「俺に勝てばこれからはもう何もしない。話しかけもしねーし。お前の前から居なくなる。けど俺が勝ったらさ、







「アナルセックスさせてよ」









意味わかんねえ。意味わかんねえ。
何言ってんだよこいつ。

「は…誰がそんな話乗るかよ!てゆーかてめえキモいんだよ!舞と付き合ってるくせに、本当はゲイだったのかよ!」



「…で、どーすんの?」
「は!?」
「俺と勝負すんの?」
「んなことするかよ!誰がテメェなんかと」
「じゃあこればら撒いちまって良いわけね」

ひらひらと携帯を俺の前に見せつけると、そこには眠りにつく俺の全裸の写真が写っていた。

心臓の鼓動が早い。
冷や汗が一気に頭のてっぺんから吹き出す。

「は…な、んで」

「こればら撒いてもいーってんなら縄解いて解放してあげる。」

「そんなん…いやに決まって」


「ま!安心しろよ。男のもんなんて物好きしか集まんねーって。ヤりたいやついたら会ってみんのも「いやに決まってんだろ!?お前頭おかしいよ!」

その瞬間大きな手で顎を掴まれる。
グイッと佐藤玲の顔まで近づくと、不敵な笑みで俺を見下ろした。


「ばーか。最初からテメェに拒否権なんてねーってこと気づけよ」



こいつの瞳から目が離せない。
震えが止まらない。
俺はこれからこいつに一体何をされるんだ?
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