お前のものは俺のもの-ハリネズミα男子と黒縁眼鏡のΩ男子-side:αY

翔(カケル)

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黒縁眼鏡のΩ男子

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 黒縁眼鏡を掛けた、可愛らしいΩ野郎…
 な、なんで俺は、こんなにドキドキしてんだよ…!

 静かに平凡に過ごせたらいいと考えていただけなのに、俺は初っ端から心を掻き乱されてしまった。

 しかも、あの可愛さは罪レベルだ…
 振り向いてアイツの顔なんか見ちまったら…
 恥ずかしくて堪んねぇよ…

 ただ、いいんだ…どちらにせよ、俺は一人でいたいから、可愛くても何がどうであっても、振り返ることはしない…

 振り向かなきゃいいことなんだ…

 改めて自分の心にそう言い聞かせ、俺は何事も無かったかのようにホームルームを過ごそうとしていたそんな時だ、先公が数十枚にもなるプリントを配り出し、前から後ろに回せと言い出しだんた。

 おい、ふざけんなよっ…
 俺、ぜってぇ振り向かねぇからな…!

 俺は前のやつからプリントを受け取り、後ろのアイツへ振り返らずに、ただ自分の右腕を肩上から回して、ヒラヒラとしてやったんだ。

 ヒラヒラすりゃ、取れって分かるよな…?

 そんな俺の最悪な行為でも、アイツはしっかりとプリントを俺から受け取ってくれて、それが数十回続いたわけだ。

 すまねぇなっ…
 こっちにも色々理由があんだよ…

 そんなこんなでホームルームも終わり、普通に授業が始まったけれど、俺は授業なんか聞かず、空へと目を向けていた。

 ああ、雲はいいよな…
 雲のように…自由になれたらいいのにな…

 とにかく空に浮かぶ雲を眺めながら、俺はその場を過ごしていたんだ。

 ◇ ◇

 ──外を眺めて過ごしていると、気付けば休み時間になり、みんな各々で楽しそうな時間を過ごしていたけれど、俺には関係の無いこと。

 誰とも関わりたくないから、自分でこうしているだけだ。

 そして、後ろのΩも隣のヤツと教室を後にしたようだ。

 はぁ…少しだけ落ち着けるか…
 いやいや、俺は落ち着いてるだろうよ…!

 アイツが居なくなって、ちょっとホッとしている俺。

 そりゃそうだ…
 Ωなんていられちゃ俺だって困るんだよ…
 そして、なんでか胸がドキドキすんだよ…

 色んな気持ちが入り混じる中、俺はその後も空を見続けていた。

 ずっとこのままでいいから…

 この時、これから俺は…そしてΩのアイツも…どんどんお互いが愛おしくなっていく事になるなんて、これっぽっちも考えてなんかいなかったから…
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