3 / 84
黒縁眼鏡のΩ男子
俺とお前の出会い-1
しおりを挟む
職員室に着いた俺は担任の先公と軽く挨拶を交し、ホームルームが始まる時間まで待合室で待たされることになったんだ。
編入する前に説明は受けていたが、この高校にはβの生徒とβの先公しかいない。
そう、とある理由でαの性を隠す俺にはもってこいの条件だった。
Ωなんていたもんなら俺は俺を隠しきれなくなっちまうし、その瞬間に周りに嘘がバレちまうかもしれない…
なんでβの学校にαがいるんだよ…
なんだαだからって冷やかしか?
エリートはエリートの高校にいりゃいいだろ…
言われてみればその通りの内容だとしても、俺には俺で色んな悩みがあるわけだ。
分かって欲しいとも思わない…分かってもらったところで寂しさや苦しさが増すだけだ…
だから、何事もなく嘘をついてでも静かに過ごせれば、俺としては万々歳なわけなんだ。
はぁ…やっぱりめんどくせぇな…
そんな事を思っていたけれど、気付けばホームルームの時間も近付いていて、俺は先公に連れられ、今年一年を過ごすことになる三年二組の扉の前で、またまた待たされることになったんだ。
◇ ◇
「おう、入れっ」
先公の声が聞こえる……
入れだ?扉ぐらい開けとけよ……
俺は「はぁ…」とため息をひとつ零し、扉を開け、教壇の前へと足を運んでいった。
みんな俺の姿を見るなり、ソワソワしやがって…悪者みたいな顔で見てきやがる…
まぁ無理もねぇよな…俺がそうしたいと、一人でいたいからと取ってる態度なわけだしな…
先公に名前を紹介され、とりあえず軽めの挨拶だけを発してみたんだ。
「山際 大和です…よろしく…」
こんなもんでいいだろ…
俺のことはほっといてくれれば、それだけでいいから…誰も俺に関わらなくていいから…
ザワつくクラスメイトを他所に、先公は俺の座る席を指さし、俺は周りを気にもせず席に向かっていった。
そして、席に着こうとしたその時だった…
お、おおおおっ…おい…な、なんで…
なんでここにΩがいるんだよっ…!
し、しかも…っ!く、くそ…くそっ!!
そう…俺の目に飛び込んできたのは、俺の後ろの席に座る黒縁眼鏡をかけた男子。
αの俺はΩが発する特有の香りを察知することが出来る。
この学校には、βの性を持つやつしかいないって聞いてきたんだぞ…!?
でも…確かにこれは、フェロモンだ…
ただ、ここで反応してしまっては…!
一瞬、黒縁眼鏡のΩと目が合ったけれど…
俺は咄嗟に目を逸らし、背を向けて席に座り込んだんだ。
だぁっ…!もう、訳わかんねぇよっ…!
αという事を隠して生活を送りたかったのにΩがいるのは予想外だ…
俺は、静かに過ごすことが出来るんだろうか…
ただ、そんな思いとは裏腹に、俺は違う気持ちにも胸をギュッと締め付けられていたんだ。
黒縁眼鏡…俺より小さい…
透き通った眼鏡の奥の瞳…
くそっ…可愛い…
可愛すぎんだよ…バカヤロウ…
編入する前に説明は受けていたが、この高校にはβの生徒とβの先公しかいない。
そう、とある理由でαの性を隠す俺にはもってこいの条件だった。
Ωなんていたもんなら俺は俺を隠しきれなくなっちまうし、その瞬間に周りに嘘がバレちまうかもしれない…
なんでβの学校にαがいるんだよ…
なんだαだからって冷やかしか?
エリートはエリートの高校にいりゃいいだろ…
言われてみればその通りの内容だとしても、俺には俺で色んな悩みがあるわけだ。
分かって欲しいとも思わない…分かってもらったところで寂しさや苦しさが増すだけだ…
だから、何事もなく嘘をついてでも静かに過ごせれば、俺としては万々歳なわけなんだ。
はぁ…やっぱりめんどくせぇな…
そんな事を思っていたけれど、気付けばホームルームの時間も近付いていて、俺は先公に連れられ、今年一年を過ごすことになる三年二組の扉の前で、またまた待たされることになったんだ。
◇ ◇
「おう、入れっ」
先公の声が聞こえる……
入れだ?扉ぐらい開けとけよ……
俺は「はぁ…」とため息をひとつ零し、扉を開け、教壇の前へと足を運んでいった。
みんな俺の姿を見るなり、ソワソワしやがって…悪者みたいな顔で見てきやがる…
まぁ無理もねぇよな…俺がそうしたいと、一人でいたいからと取ってる態度なわけだしな…
先公に名前を紹介され、とりあえず軽めの挨拶だけを発してみたんだ。
「山際 大和です…よろしく…」
こんなもんでいいだろ…
俺のことはほっといてくれれば、それだけでいいから…誰も俺に関わらなくていいから…
ザワつくクラスメイトを他所に、先公は俺の座る席を指さし、俺は周りを気にもせず席に向かっていった。
そして、席に着こうとしたその時だった…
お、おおおおっ…おい…な、なんで…
なんでここにΩがいるんだよっ…!
し、しかも…っ!く、くそ…くそっ!!
そう…俺の目に飛び込んできたのは、俺の後ろの席に座る黒縁眼鏡をかけた男子。
αの俺はΩが発する特有の香りを察知することが出来る。
この学校には、βの性を持つやつしかいないって聞いてきたんだぞ…!?
でも…確かにこれは、フェロモンだ…
ただ、ここで反応してしまっては…!
一瞬、黒縁眼鏡のΩと目が合ったけれど…
俺は咄嗟に目を逸らし、背を向けて席に座り込んだんだ。
だぁっ…!もう、訳わかんねぇよっ…!
αという事を隠して生活を送りたかったのにΩがいるのは予想外だ…
俺は、静かに過ごすことが出来るんだろうか…
ただ、そんな思いとは裏腹に、俺は違う気持ちにも胸をギュッと締め付けられていたんだ。
黒縁眼鏡…俺より小さい…
透き通った眼鏡の奥の瞳…
くそっ…可愛い…
可愛すぎんだよ…バカヤロウ…
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】
大波小波
BL
梅ヶ谷 早紀(うめがや さき)は、18歳のオメガ少年だ。
愛らしい抜群のルックスに加え、素直で朗らか。
大人に背伸びしたがる、ちょっぴり生意気な一面も持っている。
裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく育った彼は、学園の人気者だった。
ある日、早紀は友人たちと気まぐれに入った『カフェ・メビウス』で、マスターの弓月 衛(ゆづき まもる)と出会う。
32歳と、早紀より一回り以上も年上の衛は、落ち着いた雰囲気を持つ大人のアルファ男性だ。
どこかミステリアスな彼をもっと知りたい早紀は、それから毎日のようにメビウスに通うようになった。
ところが早紀の父・紀明(のりあき)が、重役たちの背信により取締役の座から降ろされてしまう。
高額の借金まで背負わされた父は、借金取りの手から早紀を隠すため、彼を衛に託した。
『私は、早紀を信頼のおける人間に、預けたいのです。隠しておきたいのです』
『再びお会いした時には、早紀くんの淹れたコーヒーが出せるようにしておきます』
あの笑顔を、失くしたくない。
伸びやかなあの心を、壊したくない。
衛は、その一心で覚悟を決めたのだ。
ひとつ屋根の下に住むことになった、アルファの衛とオメガの早紀。
波乱含みの同棲生活が、有無を言わさず始まった……!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる