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お前のものは俺のもの
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──それからの事だ。
すっかり駿とも仲良くなれた俺は、気付けば三人で過ごす時間が多くなっていったんだ。
また一人、大事な友達が出来たし、笑い合える時間が多くなった。
どれもこれも裕翔のおかげだ…
裕翔を守ると約束した俺と駿は、今日も購買争奪戦争に繰り出し、俺は裕翔の喜ぶ顔を想像していた。
「駿、お前はいちごオレな」
「はいよ、じゃあ大和は、あのトンカツサンド三つな!」
「二人とも!よろしくねっ?」
「ああ、任せとけ!」
掛け声までハモる俺たちの姿を見て、ニコッと嬉しそうな顔を見せる裕翔。
はぁ…可愛すぎて本当に困るわ…
そして、今日も購買争奪戦争に見事勝利した俺たちは、その後も一緒にお昼ご飯を食べながら楽しい時間を過ごしていったんだ。
「誰だよぉ?昼ご飯は食べませ~んとか言ったやつはよっ?」
「誰だ?誰かそんなこと言ったか?」
「僕、そんな事、聞いた事ないよぉ?」
「ぬあっ!?裕翔っ!裏切ったな!」
ギャーギャー言い合いながらも、俺が憧れていた最高に楽しい日々が今日も流れていく。
それと同時に裕翔に対する【お前のものは俺のもの】は今でも続いている。
続けないとなんで眼鏡だけ?って悟られてしまっても困るし、むしろ裕翔のものが俺のものになった時、好きなやつのものが俺のものになった時の嬉しさと来たら…もう、上手く表せねぇよ…!
そして、裕翔も裕翔で俺から何かを取られたとしても満更でもない様子だし…
ホントなら嫌じゃないのか…?とそこだけは裕翔の気持ちが読めなかったんだ。
この間は【ダッカールピン】を髪に付けるのが男子の中で地味に流行っていて、裕翔も可愛らしく、ちょこんと前髪に付けていたんだ。
眼鏡を俺のものにして九十%ぐらいにしておいたのに、これはこれで可愛すぎてダメだ…
パーセンテージが上がっちまう…
俺は徐に裕翔へ振り返り、裕翔のダッカールピンをひょいっと奪い取ってやったんだ。
「ちょ!大和!な、なにするのさ…!」
「へぇ…このピンが流行ってるんだ…」
「か、返してよ…!」
そのまま奪い取ったダッカールピンを俺は前髪に装着して一言。
「お前のものは俺のもの…な?」
「ううっ…もうっ…いいけどさっ!」
いいけどさっ!って言いながらプクッと頬を膨らませる裕翔。
その仕草すら愛おしくて、堪らないよ?
そしてある日の昼時間には、裕翔が頬張っていた焼きそばパンを見つめては、一口くれなんて言わずに俺はニコッと微笑んでみたんだ。
ほら、よく言うだろ?好きな子にはちょっかいを出したくなるって…
お前のものは俺のものとか言いながらも、裕翔の可愛い反応を見たいが故に、ついつい俺のイタズラ心が働いてしまうんだ。
口いっぱいに焼きそばパンを頬張る裕翔は『ブンブンっ!』と首を横に振ったけれど…
俺は、あの一言と共にヒョイっと焼きそばパンを裕翔から頂くことにしたんだ。
さ、さすがにちょっと可哀想か…
焼きそばパンをもらった代わりに、俺が食べていたウィンナーパンを差し出して上げたら、ちょっとムッとしながらも俺が口つけたところから頬張る裕翔。
そんな俺たちのやり取りを見て、駿は「お前ら、恋人か?」なんてニヤニヤしながら茶化してきやがって…
バ、バカっ!な、何言ってやがるんだ…!
一気に頬が赤くなる俺の横で、何故か裕翔まで気が動転していて…俺があげたウィンナーパンの美味しいところを床に落としてしまっていたんだ。
裕翔…?どうしてお前も少し頬が赤いんだ…?
まさか…いやいや、ないないっ!
裕翔のことが好きであっても、好きとは言えない、いや、俺は言わないと決めたんだ。
最後までお互いの嘘を守り通そう…
好きな気持ちが溢れ出してしまって、お互いの嘘がバレないようにするために…
ちょっとした甘酸っぱい気持ちと隠し通さなければいけない嘘が俺らにはあったけれど、それ以上に楽しく、賑やかしい日々は流れ続け、気付けば季節は夏の準備を始める六月になっていた。
すっかり駿とも仲良くなれた俺は、気付けば三人で過ごす時間が多くなっていったんだ。
また一人、大事な友達が出来たし、笑い合える時間が多くなった。
どれもこれも裕翔のおかげだ…
裕翔を守ると約束した俺と駿は、今日も購買争奪戦争に繰り出し、俺は裕翔の喜ぶ顔を想像していた。
「駿、お前はいちごオレな」
「はいよ、じゃあ大和は、あのトンカツサンド三つな!」
「二人とも!よろしくねっ?」
「ああ、任せとけ!」
掛け声までハモる俺たちの姿を見て、ニコッと嬉しそうな顔を見せる裕翔。
はぁ…可愛すぎて本当に困るわ…
そして、今日も購買争奪戦争に見事勝利した俺たちは、その後も一緒にお昼ご飯を食べながら楽しい時間を過ごしていったんだ。
「誰だよぉ?昼ご飯は食べませ~んとか言ったやつはよっ?」
「誰だ?誰かそんなこと言ったか?」
「僕、そんな事、聞いた事ないよぉ?」
「ぬあっ!?裕翔っ!裏切ったな!」
ギャーギャー言い合いながらも、俺が憧れていた最高に楽しい日々が今日も流れていく。
それと同時に裕翔に対する【お前のものは俺のもの】は今でも続いている。
続けないとなんで眼鏡だけ?って悟られてしまっても困るし、むしろ裕翔のものが俺のものになった時、好きなやつのものが俺のものになった時の嬉しさと来たら…もう、上手く表せねぇよ…!
そして、裕翔も裕翔で俺から何かを取られたとしても満更でもない様子だし…
ホントなら嫌じゃないのか…?とそこだけは裕翔の気持ちが読めなかったんだ。
この間は【ダッカールピン】を髪に付けるのが男子の中で地味に流行っていて、裕翔も可愛らしく、ちょこんと前髪に付けていたんだ。
眼鏡を俺のものにして九十%ぐらいにしておいたのに、これはこれで可愛すぎてダメだ…
パーセンテージが上がっちまう…
俺は徐に裕翔へ振り返り、裕翔のダッカールピンをひょいっと奪い取ってやったんだ。
「ちょ!大和!な、なにするのさ…!」
「へぇ…このピンが流行ってるんだ…」
「か、返してよ…!」
そのまま奪い取ったダッカールピンを俺は前髪に装着して一言。
「お前のものは俺のもの…な?」
「ううっ…もうっ…いいけどさっ!」
いいけどさっ!って言いながらプクッと頬を膨らませる裕翔。
その仕草すら愛おしくて、堪らないよ?
そしてある日の昼時間には、裕翔が頬張っていた焼きそばパンを見つめては、一口くれなんて言わずに俺はニコッと微笑んでみたんだ。
ほら、よく言うだろ?好きな子にはちょっかいを出したくなるって…
お前のものは俺のものとか言いながらも、裕翔の可愛い反応を見たいが故に、ついつい俺のイタズラ心が働いてしまうんだ。
口いっぱいに焼きそばパンを頬張る裕翔は『ブンブンっ!』と首を横に振ったけれど…
俺は、あの一言と共にヒョイっと焼きそばパンを裕翔から頂くことにしたんだ。
さ、さすがにちょっと可哀想か…
焼きそばパンをもらった代わりに、俺が食べていたウィンナーパンを差し出して上げたら、ちょっとムッとしながらも俺が口つけたところから頬張る裕翔。
そんな俺たちのやり取りを見て、駿は「お前ら、恋人か?」なんてニヤニヤしながら茶化してきやがって…
バ、バカっ!な、何言ってやがるんだ…!
一気に頬が赤くなる俺の横で、何故か裕翔まで気が動転していて…俺があげたウィンナーパンの美味しいところを床に落としてしまっていたんだ。
裕翔…?どうしてお前も少し頬が赤いんだ…?
まさか…いやいや、ないないっ!
裕翔のことが好きであっても、好きとは言えない、いや、俺は言わないと決めたんだ。
最後までお互いの嘘を守り通そう…
好きな気持ちが溢れ出してしまって、お互いの嘘がバレないようにするために…
ちょっとした甘酸っぱい気持ちと隠し通さなければいけない嘘が俺らにはあったけれど、それ以上に楽しく、賑やかしい日々は流れ続け、気付けば季節は夏の準備を始める六月になっていた。
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