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甘酸っぱい思い出と隠してた真実
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──伝えたい思いを違う形で吐き出した俺は、その後身体を綺麗に洗い、裕翔と同じシャンプーとボディーソープの匂いに包まれながら浴室を後にしたんだ。
脱衣場に置かれたバスタオルで髪の毛や身体に付いた水気を拭き取り、裕翔が用意してくれた家着を手に取ってみたけれど…
ははっ…やっぱりちっちぇよ…
身体はちっちゃくて、華奢で…簡単に壊れてしまいそうなのに、心は大きくて温かい。
そんな裕翔の優しさをひしひしと受け止めながら、俺はもう一度、自分の甚平に身を通していったんだ。
そして居間に戻ると、ソファーの上で変わらず可愛く寝息を立てては、スヤスヤと裕翔が眠ている。
可愛くて仕方ない…
でも、そろそろ起こしてやらないとダメか…?
お腹空いてきたし…
普通に起こせばいいものの、俺は寝ている裕翔に触れたくなってしまって…そして、いつものイタズラ心も働いてしまって…
俺は裕翔の傍に座り込み、頬っぺをつんつんっと何回かつついてみたんだ。
裕翔の頬っぺた、柔らかい…
うわっ…俺、触っちゃったよ…
イタズラをしているくせに嬉しくて堪らない俺…そりゃそうだろ、大好きなヤツのモチモチ頬っぺをつんつんしてるなんて、最高かよ…
何度かモチモチな肌をつついていると、裕翔がゆっくりと目を開き、顔を真っ赤にしながらムクっと起き上がったんだ。
「やっと起きた、裕翔、おはよ」
「や、大和っ!お、おはよっ…!」
「…裕翔の頬っぺ、めちゃくちゃ柔らかいんだな、うん、モチモチだったわ」
触れた事が嬉しかったことと、裕翔が顔を真っ赤にしながら慌てる姿がどうしても可愛すぎて…俺はニコッと微笑みを返してやったんだ。
それと合わせて、俺は裕翔に謝らなきゃいけない事がある。
前なら、なかなか言えなかった『ありがとう』や『ごめん』という一言をちゃんと伝えなきゃいけないと思ったんだ。
「昨日、先に寝ちゃってたみたいでごめんな、もう体調は大丈夫か?」
「うん!見ての通り、元気だよっ?大和、心配してくれてありがとね?」
裕翔の言葉に俺は、恥ずかしさからいつも通り髪をわしゃわしゃさせちまったけれど…
いつもとどこか違う俺に気付いた裕翔が言葉を紡いできた。
「大和、髪の毛…」
「ああ、お風呂の用意してくれてたんだな、だからさっきシャワー借りたよ?」
「あははっ!僕、大和の髪っていつでもハリネズミさんなのかと思ってたよ!」
「は、ハリネズミ…!?」
お、俺の髪の毛…
おおぅ…は、ハリネズミ…!?
な、なんだそりゃ!?
そんなにツンツン…!?…ええっ!?
ハリネズミと言った裕翔もヤバいと思ったのか、なんだかアワアワとしてるし…
「あわわっ…な、なん…「へぇ…俺の事、そういう風に思ってたのか…そんなやつには、お仕置が必要だなっ…!」
俺は裕翔の話に聞く耳なんか立てず、お仕置と言って裕翔の脇腹をこちょこちょと何度も何度もくすぐってやったんだ…コノヤロウっ!
「ひゃははっ!や、大和、くすぐったい!や、やめてっ!!」
「ごめんなさいって言うまで許してやらん!」
「ご、ごめんなさああぁぁあいっ!!!」
裕翔は俺のペースに付き合ってくれながら、その後も楽しく笑い合いながら過ごしていたけれど…その分、楽しい時間はあっという間に駆け足で過ぎていき、俺はいつものように裕翔の運転で駅まで送って貰う事にしたんだ。
◇ ◇
──いつものように裕翔は自転車に跨り、俺は荷台に座り込む。
夕方前なのにまだまだ外は暑い…
そんな暑い中、裕翔は俺のために一生懸命ペダルを漕いでくれたんだ。
「なぁ、裕翔?」
「大和、なぁに?」
「……また、遊びに行っても…泊まりに行ってもいいか…?」
タオルケットに付けた俺の匂いの真相を確かめたくて…いや、それ以外に裕翔の家にまた来たい…とても居心地の良くて幸せな空間にさ…?
自転車を漕ぐ裕翔にバレないように、俺はハリネズミ?をわしゃわしゃとさせながら思いを告げたんだ。
「…もちろんだよ!僕の家で良ければ…いつでも遊びに来て?」
俺のお願いに裕翔もどことなく恥ずかしがりながら、いつでも来ていいよと言ってくれたことが俺も嬉しくて嬉しくて…本当に堪らなかった。
そして、俺は嬉しさと裕翔の隣にいれる幸せを噛み締めながら、セットされていないハリネズミをそっと…裕翔の背中へと添えて、顔が綻んでしまっていたんだ。
◇ ◇
「じゃあ…またな?」
「うん、また…」
駅まで俺を送り届けてもらい、また連絡取り合う約束を俺たちは交わし、俺の楽しくも胸が苦しくなる夏祭りが幕を下ろした。
ただ、電車に乗り、数時間もかかる自宅までの道中、俺は居ても立ってもいられないほどの空虚感に苛まれていた。
裕翔と過ごしたこの二日間が濃厚すぎて…
裕翔と離れた事が今まで以上に寂しくて…
ずっと一緒にいれたらいいのに…
裕翔、俺の傍にずっといてくれよっ…!!
好きというまでまだまだ時間がかかりそうなのに…俺は裕翔の事が好きすぎて、目を閉じる度に楽しかった思い出や頬を赤らめる裕翔の可愛くて愛くるしい姿が浮かび上がってくる。
誰もいない電車の中で、弱虫な俺は涙を流しながら…ずっと裕翔との思い出に慕っていたんだ…
脱衣場に置かれたバスタオルで髪の毛や身体に付いた水気を拭き取り、裕翔が用意してくれた家着を手に取ってみたけれど…
ははっ…やっぱりちっちぇよ…
身体はちっちゃくて、華奢で…簡単に壊れてしまいそうなのに、心は大きくて温かい。
そんな裕翔の優しさをひしひしと受け止めながら、俺はもう一度、自分の甚平に身を通していったんだ。
そして居間に戻ると、ソファーの上で変わらず可愛く寝息を立てては、スヤスヤと裕翔が眠ている。
可愛くて仕方ない…
でも、そろそろ起こしてやらないとダメか…?
お腹空いてきたし…
普通に起こせばいいものの、俺は寝ている裕翔に触れたくなってしまって…そして、いつものイタズラ心も働いてしまって…
俺は裕翔の傍に座り込み、頬っぺをつんつんっと何回かつついてみたんだ。
裕翔の頬っぺた、柔らかい…
うわっ…俺、触っちゃったよ…
イタズラをしているくせに嬉しくて堪らない俺…そりゃそうだろ、大好きなヤツのモチモチ頬っぺをつんつんしてるなんて、最高かよ…
何度かモチモチな肌をつついていると、裕翔がゆっくりと目を開き、顔を真っ赤にしながらムクっと起き上がったんだ。
「やっと起きた、裕翔、おはよ」
「や、大和っ!お、おはよっ…!」
「…裕翔の頬っぺ、めちゃくちゃ柔らかいんだな、うん、モチモチだったわ」
触れた事が嬉しかったことと、裕翔が顔を真っ赤にしながら慌てる姿がどうしても可愛すぎて…俺はニコッと微笑みを返してやったんだ。
それと合わせて、俺は裕翔に謝らなきゃいけない事がある。
前なら、なかなか言えなかった『ありがとう』や『ごめん』という一言をちゃんと伝えなきゃいけないと思ったんだ。
「昨日、先に寝ちゃってたみたいでごめんな、もう体調は大丈夫か?」
「うん!見ての通り、元気だよっ?大和、心配してくれてありがとね?」
裕翔の言葉に俺は、恥ずかしさからいつも通り髪をわしゃわしゃさせちまったけれど…
いつもとどこか違う俺に気付いた裕翔が言葉を紡いできた。
「大和、髪の毛…」
「ああ、お風呂の用意してくれてたんだな、だからさっきシャワー借りたよ?」
「あははっ!僕、大和の髪っていつでもハリネズミさんなのかと思ってたよ!」
「は、ハリネズミ…!?」
お、俺の髪の毛…
おおぅ…は、ハリネズミ…!?
な、なんだそりゃ!?
そんなにツンツン…!?…ええっ!?
ハリネズミと言った裕翔もヤバいと思ったのか、なんだかアワアワとしてるし…
「あわわっ…な、なん…「へぇ…俺の事、そういう風に思ってたのか…そんなやつには、お仕置が必要だなっ…!」
俺は裕翔の話に聞く耳なんか立てず、お仕置と言って裕翔の脇腹をこちょこちょと何度も何度もくすぐってやったんだ…コノヤロウっ!
「ひゃははっ!や、大和、くすぐったい!や、やめてっ!!」
「ごめんなさいって言うまで許してやらん!」
「ご、ごめんなさああぁぁあいっ!!!」
裕翔は俺のペースに付き合ってくれながら、その後も楽しく笑い合いながら過ごしていたけれど…その分、楽しい時間はあっという間に駆け足で過ぎていき、俺はいつものように裕翔の運転で駅まで送って貰う事にしたんだ。
◇ ◇
──いつものように裕翔は自転車に跨り、俺は荷台に座り込む。
夕方前なのにまだまだ外は暑い…
そんな暑い中、裕翔は俺のために一生懸命ペダルを漕いでくれたんだ。
「なぁ、裕翔?」
「大和、なぁに?」
「……また、遊びに行っても…泊まりに行ってもいいか…?」
タオルケットに付けた俺の匂いの真相を確かめたくて…いや、それ以外に裕翔の家にまた来たい…とても居心地の良くて幸せな空間にさ…?
自転車を漕ぐ裕翔にバレないように、俺はハリネズミ?をわしゃわしゃとさせながら思いを告げたんだ。
「…もちろんだよ!僕の家で良ければ…いつでも遊びに来て?」
俺のお願いに裕翔もどことなく恥ずかしがりながら、いつでも来ていいよと言ってくれたことが俺も嬉しくて嬉しくて…本当に堪らなかった。
そして、俺は嬉しさと裕翔の隣にいれる幸せを噛み締めながら、セットされていないハリネズミをそっと…裕翔の背中へと添えて、顔が綻んでしまっていたんだ。
◇ ◇
「じゃあ…またな?」
「うん、また…」
駅まで俺を送り届けてもらい、また連絡取り合う約束を俺たちは交わし、俺の楽しくも胸が苦しくなる夏祭りが幕を下ろした。
ただ、電車に乗り、数時間もかかる自宅までの道中、俺は居ても立ってもいられないほどの空虚感に苛まれていた。
裕翔と過ごしたこの二日間が濃厚すぎて…
裕翔と離れた事が今まで以上に寂しくて…
ずっと一緒にいれたらいいのに…
裕翔、俺の傍にずっといてくれよっ…!!
好きというまでまだまだ時間がかかりそうなのに…俺は裕翔の事が好きすぎて、目を閉じる度に楽しかった思い出や頬を赤らめる裕翔の可愛くて愛くるしい姿が浮かび上がってくる。
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