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待たせてごめんな…
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──そして、卒業式の数日前
授業という授業はなかったものの、卒業式の予行練習を行う為に、俺たちは教室に集められていた。
裕翔と駿に会えるからそれはそれでいいけれど、卒業式の練習っているのか…?
そんな事を思っていた俺に、可愛い裕翔が言葉を紡ぎ出したんだ。
「そういえば、卒業式で卒業証書を受け取る人って決まってるのかなぁ?」
全校生徒一人一人が卒業証書を受け取るとなると、考えただけでも日が暮れちまいそうだ。
そこで、各クラス代表者が受け取る事になってるみたいなんだけれど、俺らのクラスは一体、誰が受け取るんだ…?
誰が受け取るかを俺も含め、裕翔も駿も知らない様子だったんだ。
「駿は、きっと選ばれないねっ!」
「ぬぁっ!?なんでだよぉ!?俺様なら完璧にこなしてやるのによぉ!?」
「体育祭の選手宣誓でヘマこいてるから、きっと駿は選ばれないよぉ?」
裕翔の言葉にムキーッとする駿を見て、俺たちはまた、自然と笑顔が溢れ合う。
この楽しい空間も残りわずかなんだな…
もうすぐここを俺たちは旅立つんだ…
そんな楽しくも少し切なさが俺の心を襲っていたその時だ。
教室に入ってきた先公が「山際、ちょっといいか」と手招きと共に俺を呼び付けてきたんだ。
「え、大和…なにか悪いことでもしたの…?」
「んなっ!何もしてねぇよっ!…な、なんで俺が呼ばれるんだ…?」
「とりあえず行ってこいや~い!」
呼ばれた理由が分からないまま俺は腰を上げ、先公と共に廊下で立ち話をする事になったんだ。
「楽しんでるところ、急に呼び出してすまんな」
「まぁ、大丈夫だけど…?」
廊下で話す俺と先公…
視界には入ってこなかったものの、クラスの入口から裕翔と駿がひょこっと顔を出しては、俺らの話を見つめているのを俺は背中に感じていた。
「山際、お前に折り入って頼みがあるんだ」
た、頼み…!?
め、めんどくせぇ事はごめんだぜ…!?
「はぁ…た、頼み事…?」
「ああ、卒業式なんだが、テストの成績を一年間、学年一位を守り抜いたお前に卒業証書を受け取って貰おうと考えていたんだが…お願いしてもいいか?」
…ん…?…えっ…?
はぁあぁあぁ!?
お、俺が卒業証書を受け取るぅぅ!?
さっき三人で話していた事が俺に降り掛かってくるなんて、思ってもみなかった…
「嫌だっ!なんで俺がっ!」
「お前が適任だと思って、俺だって頼んでるんだ!頼む!引き受けてくれっ!!」
その言葉と共に頭を下げる先公。
俺は受け入れるかどうか…いや、受け入れざるを得ない状況になっちまって…
だって、そっと後ろを振り返ってみると、裕翔と駿がニコニコしながら『頑張れっ!』と握りこぶしを作って、俺に気持ち送ってくれているのが分かったから…
「と、とりあえず…考えておく…ま、また返事するからっ…!」
そうとだけ先公に伝えたのに、先公は頭を上げ満面の笑みで「頼んだぞっ!」って返してきやがって…
俺、まだやるって言ってないのに…
はぁ…もうこれ、断れねぇやつじゃん…
こうして、こんな事になるなんて考えてもいなかった俺は、卒業式で大役を任されちまったわけだ。
授業という授業はなかったものの、卒業式の予行練習を行う為に、俺たちは教室に集められていた。
裕翔と駿に会えるからそれはそれでいいけれど、卒業式の練習っているのか…?
そんな事を思っていた俺に、可愛い裕翔が言葉を紡ぎ出したんだ。
「そういえば、卒業式で卒業証書を受け取る人って決まってるのかなぁ?」
全校生徒一人一人が卒業証書を受け取るとなると、考えただけでも日が暮れちまいそうだ。
そこで、各クラス代表者が受け取る事になってるみたいなんだけれど、俺らのクラスは一体、誰が受け取るんだ…?
誰が受け取るかを俺も含め、裕翔も駿も知らない様子だったんだ。
「駿は、きっと選ばれないねっ!」
「ぬぁっ!?なんでだよぉ!?俺様なら完璧にこなしてやるのによぉ!?」
「体育祭の選手宣誓でヘマこいてるから、きっと駿は選ばれないよぉ?」
裕翔の言葉にムキーッとする駿を見て、俺たちはまた、自然と笑顔が溢れ合う。
この楽しい空間も残りわずかなんだな…
もうすぐここを俺たちは旅立つんだ…
そんな楽しくも少し切なさが俺の心を襲っていたその時だ。
教室に入ってきた先公が「山際、ちょっといいか」と手招きと共に俺を呼び付けてきたんだ。
「え、大和…なにか悪いことでもしたの…?」
「んなっ!何もしてねぇよっ!…な、なんで俺が呼ばれるんだ…?」
「とりあえず行ってこいや~い!」
呼ばれた理由が分からないまま俺は腰を上げ、先公と共に廊下で立ち話をする事になったんだ。
「楽しんでるところ、急に呼び出してすまんな」
「まぁ、大丈夫だけど…?」
廊下で話す俺と先公…
視界には入ってこなかったものの、クラスの入口から裕翔と駿がひょこっと顔を出しては、俺らの話を見つめているのを俺は背中に感じていた。
「山際、お前に折り入って頼みがあるんだ」
た、頼み…!?
め、めんどくせぇ事はごめんだぜ…!?
「はぁ…た、頼み事…?」
「ああ、卒業式なんだが、テストの成績を一年間、学年一位を守り抜いたお前に卒業証書を受け取って貰おうと考えていたんだが…お願いしてもいいか?」
…ん…?…えっ…?
はぁあぁあぁ!?
お、俺が卒業証書を受け取るぅぅ!?
さっき三人で話していた事が俺に降り掛かってくるなんて、思ってもみなかった…
「嫌だっ!なんで俺がっ!」
「お前が適任だと思って、俺だって頼んでるんだ!頼む!引き受けてくれっ!!」
その言葉と共に頭を下げる先公。
俺は受け入れるかどうか…いや、受け入れざるを得ない状況になっちまって…
だって、そっと後ろを振り返ってみると、裕翔と駿がニコニコしながら『頑張れっ!』と握りこぶしを作って、俺に気持ち送ってくれているのが分かったから…
「と、とりあえず…考えておく…ま、また返事するからっ…!」
そうとだけ先公に伝えたのに、先公は頭を上げ満面の笑みで「頼んだぞっ!」って返してきやがって…
俺、まだやるって言ってないのに…
はぁ…もうこれ、断れねぇやつじゃん…
こうして、こんな事になるなんて考えてもいなかった俺は、卒業式で大役を任されちまったわけだ。
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