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待たせてごめんな…
ピリオドと始まり…裕翔、迎えに来たよ-1
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卒業式までの一ヶ月半
俺たちは時間が許す限り二人でデートをしたり、裕翔の家に泊まりに行ったりと、今まで以上に甘くて濃厚な日々を過ごしていた。
俺は裕翔の家に行っては、一人で寂しくならないようにと、俺の匂いが染み付いた私物を沢山置いていくようにしていたんだ。
そのお返しにと、泊まりに行くと裕翔は必ず俺に手料理を振舞ってくれた。
品数は多くなくても、とにかく温かくて味付けも最高で…何より裕翔の思いがたっぷり詰まっている事が嬉しくて…二人で囲む食卓が幸せすぎたんだ。
そして夜の営み…
一度だけバニラな事もあったけれど、それ以上には発展もせず、俺たちは裸を見せ合うことは無かった。
本当なら今すぐ裕翔を俺のものにしてしまいたいと考えていたけれど、こればかりはまだ一線を超えてはいけないちゃんとした理由を俺は持っていたから、裕翔の黒縁眼鏡を離せなかった訳で…
その時までは、まだお預けだ。
それと…この一ヶ月半の中で、大きな出来事が裕翔の気持ちを重苦しくもさせた…
そう…裕翔のお父さんが亡くなったんだ…
裕翔のお父さんもお母さんもΩの性を持っていて、その間に生まれたのが裕翔だった。
お母さんはΩの平均寿命に満たないうちに亡くなっていて、裕翔はお父さんに育てられたらしいんだ。
裕翔が学校でいじめに合い、地元の高校ではなく、離れた高校に入学したいと言った時も父さんは反対なんかもせず、寧ろずっと裕翔に仕送りをしてくれては影ながら支えてくれた。
そんな父さんも、抑制剤の副作用が強く出始め…身体を蝕まれて、そしてとうとう…息を引き取ってしまったんだ…
そう、これがΩの運命…
抗うことの出来ない、残酷な運命…
裕翔は、ひっそりお父さんのお葬式を挙げてあげ、俺も式に参列させてもらった。
父さんとの別れに泣きじゃくる裕翔を俺は隣で慰めてやる事しか出来なくて…ずっとずっと優しく抱きしめる事ぐらいしか出来なくて…
どんな形であれ、覚悟していたとはいえ…
やっぱり、最期の別れは辛いよな…
その後、小さくなった父さんを母さんの眠るお墓に納めてあげて、裕翔はそっと手を合わせ、俺も隣で同じように手を合わせてあげたんだ。
「お父さん、お母さん…今まで本当にありがとう…僕ね、あんな事があったけれど今、凄く幸せなんだ…親友も出来たよ?Ωなんだって言っても、守ってくれるβの駿…」
「それとね?大切な恋人も出来たんだ…今、僕の隣にいる大和…僕ね、ずっとずっと大和の傍にいたい…」
「絶対、お父さんとお母さんより生きてみせる…幸せにもなる…Ωになんて負けない…だから、僕のことずっと上から見守っていてね?」
「…お父さん、お母さん…大好きだよ…」
思いを伝えきった裕翔の目には、大粒の涙がとめどなく溢れ出てしまっていた。
でも、裕翔…もう大丈夫だよ…?
俺とお前はもう、一人なんかじゃないから…
それを示すかのように、俺は隣で裕翔を優しく抱きしめ、頭をポンポンと撫でながら落ち着くまで慰めてやったんだ。
裕翔のお父さん…お母さん…
僕は、僕は裕翔の事をもう離しません。
もう二度と一人になんかしません…
絶対に幸せにしてみせると誓います…
だから僕たちのことをずっとずっと…
見守っていて下さい…
俺たちは時間が許す限り二人でデートをしたり、裕翔の家に泊まりに行ったりと、今まで以上に甘くて濃厚な日々を過ごしていた。
俺は裕翔の家に行っては、一人で寂しくならないようにと、俺の匂いが染み付いた私物を沢山置いていくようにしていたんだ。
そのお返しにと、泊まりに行くと裕翔は必ず俺に手料理を振舞ってくれた。
品数は多くなくても、とにかく温かくて味付けも最高で…何より裕翔の思いがたっぷり詰まっている事が嬉しくて…二人で囲む食卓が幸せすぎたんだ。
そして夜の営み…
一度だけバニラな事もあったけれど、それ以上には発展もせず、俺たちは裸を見せ合うことは無かった。
本当なら今すぐ裕翔を俺のものにしてしまいたいと考えていたけれど、こればかりはまだ一線を超えてはいけないちゃんとした理由を俺は持っていたから、裕翔の黒縁眼鏡を離せなかった訳で…
その時までは、まだお預けだ。
それと…この一ヶ月半の中で、大きな出来事が裕翔の気持ちを重苦しくもさせた…
そう…裕翔のお父さんが亡くなったんだ…
裕翔のお父さんもお母さんもΩの性を持っていて、その間に生まれたのが裕翔だった。
お母さんはΩの平均寿命に満たないうちに亡くなっていて、裕翔はお父さんに育てられたらしいんだ。
裕翔が学校でいじめに合い、地元の高校ではなく、離れた高校に入学したいと言った時も父さんは反対なんかもせず、寧ろずっと裕翔に仕送りをしてくれては影ながら支えてくれた。
そんな父さんも、抑制剤の副作用が強く出始め…身体を蝕まれて、そしてとうとう…息を引き取ってしまったんだ…
そう、これがΩの運命…
抗うことの出来ない、残酷な運命…
裕翔は、ひっそりお父さんのお葬式を挙げてあげ、俺も式に参列させてもらった。
父さんとの別れに泣きじゃくる裕翔を俺は隣で慰めてやる事しか出来なくて…ずっとずっと優しく抱きしめる事ぐらいしか出来なくて…
どんな形であれ、覚悟していたとはいえ…
やっぱり、最期の別れは辛いよな…
その後、小さくなった父さんを母さんの眠るお墓に納めてあげて、裕翔はそっと手を合わせ、俺も隣で同じように手を合わせてあげたんだ。
「お父さん、お母さん…今まで本当にありがとう…僕ね、あんな事があったけれど今、凄く幸せなんだ…親友も出来たよ?Ωなんだって言っても、守ってくれるβの駿…」
「それとね?大切な恋人も出来たんだ…今、僕の隣にいる大和…僕ね、ずっとずっと大和の傍にいたい…」
「絶対、お父さんとお母さんより生きてみせる…幸せにもなる…Ωになんて負けない…だから、僕のことずっと上から見守っていてね?」
「…お父さん、お母さん…大好きだよ…」
思いを伝えきった裕翔の目には、大粒の涙がとめどなく溢れ出てしまっていた。
でも、裕翔…もう大丈夫だよ…?
俺とお前はもう、一人なんかじゃないから…
それを示すかのように、俺は隣で裕翔を優しく抱きしめ、頭をポンポンと撫でながら落ち着くまで慰めてやったんだ。
裕翔のお父さん…お母さん…
僕は、僕は裕翔の事をもう離しません。
もう二度と一人になんかしません…
絶対に幸せにしてみせると誓います…
だから僕たちのことをずっとずっと…
見守っていて下さい…
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