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親友の証とブレない絆
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──そして、高校生活最後の授業も終わりを迎え、俺たちは自宅学習期間に突入することになった。
「大和、駿、またここで再会しようね?」
「おう!次は卒業式なっ!」
「しっかり、三人で卒業しような!」
俺たちは、卒業式にまたここで再会することを誓って、それぞれの帰路へと就いたんだ。
◇ ◇
──帰り道、裕翔が漕ぐ自転車の後ろへ久々に座ることが出来た俺は、今日は横向きではなく前向きに荷台へ乗り、裕翔の背中を見つめていたんだ。
身体はちっちゃいくせにやっぱり大きくて温かくて…俺の鼻を大好きな匂いまで刺激してくれて…俺は生まれて初めて感じる幸せに包まれていた。
そして、裕翔の首には俺があげたマフラーがしっかりと巻かれ、前のように落とさないようにと裕翔は嬉しそうに巻いてくれていたんだ。
「ねぇ、大和?マフラーがないと寒くない?」
「うん?…そうだな、少し寒い…でもな…?こうすれば…寒くないっ…!」
俺たちは恋人になったんだ。
俺たちはもう、嘘なんかつかずにお互いの気持ちをむき出しにすることが出来る。
なら、ずっとずっと…恋しかった裕翔にギュッとしがみ付くことぐらい罪じゃないよなっ?
「おわっ!や、大和っ…!」
裕翔は俺にギュッとされたことで、どこか慌てながらも自転車のバランスを崩さないよう必死になっていたけれど、俺は「ふふっ!」と笑いながら裕翔を抱きしめて離してやらなかった。
そんな俺の行為に、裕翔も自然と笑みと声を零してくれてんだ。
うん…やっと、止まっていた俺たちの時間が動き始めたんだな…?
「あ、そうだ…!大和のミサンガは、なんでまだ切れないんだろうね??」
「まぁ、まだ願いも叶ってないからな…でもさ、近く叶ってくれる事を俺は信じてるんだ…」
「へぇ…てっきり僕と一緒にいたいとか願ってくれてると思ったのになぁ?」
「ふふっ…!もっと大きなお願いが俺にはあるんだよっ!」
俺も裕翔とずっと一緒にいたい…
それは当たり前のことなんだ。
でも、でもな…?俺の一緒にいたいは、もっともっと深い意味を持っているんだ。
もう少し…もう少しだから、俺から離れずに待っててくれよ…?
◇ ◇
そして楽しく甘い時間は、あっという間に駅へ着く事で終わりを迎えてしまう。
「大和…ほんとに今日はありがとう…」
「俺こそ…裕翔とちゃんと話せてよかった…ほんとにありがとな…」
本当ならもう少し一緒にいたいのに、わがままは言えない…俺の恋人になってくれて、好きでいさせてくれるだけで俺は幸せだからさ…?
「…大和、じゃあまたね…?」
でもやっぱり寂しい…寂しいよ…
『またね』と言われたけれど、裕翔の背中が今だけすごく小さく見えちまって…俺は、背を向けた裕翔を優しく抱きしめてやったんだ。
「愛してる…これからもずっと…ずっと…」
そんな俺の寂しさ混じりの『愛してる』の一言に、裕翔も俺の手にそっと手を添えてくれて
「僕も愛してるよ…これからもずっと…」
恋人とのひと時の別れは、親友との別れより苦しいものなんだと俺はこの時、初めて知った。
そして…俺たちはもう一度向き合い、人目を憚らずに…しっかりとバイバイのキスを交わしあったんだ。
「大和、駿、またここで再会しようね?」
「おう!次は卒業式なっ!」
「しっかり、三人で卒業しような!」
俺たちは、卒業式にまたここで再会することを誓って、それぞれの帰路へと就いたんだ。
◇ ◇
──帰り道、裕翔が漕ぐ自転車の後ろへ久々に座ることが出来た俺は、今日は横向きではなく前向きに荷台へ乗り、裕翔の背中を見つめていたんだ。
身体はちっちゃいくせにやっぱり大きくて温かくて…俺の鼻を大好きな匂いまで刺激してくれて…俺は生まれて初めて感じる幸せに包まれていた。
そして、裕翔の首には俺があげたマフラーがしっかりと巻かれ、前のように落とさないようにと裕翔は嬉しそうに巻いてくれていたんだ。
「ねぇ、大和?マフラーがないと寒くない?」
「うん?…そうだな、少し寒い…でもな…?こうすれば…寒くないっ…!」
俺たちは恋人になったんだ。
俺たちはもう、嘘なんかつかずにお互いの気持ちをむき出しにすることが出来る。
なら、ずっとずっと…恋しかった裕翔にギュッとしがみ付くことぐらい罪じゃないよなっ?
「おわっ!や、大和っ…!」
裕翔は俺にギュッとされたことで、どこか慌てながらも自転車のバランスを崩さないよう必死になっていたけれど、俺は「ふふっ!」と笑いながら裕翔を抱きしめて離してやらなかった。
そんな俺の行為に、裕翔も自然と笑みと声を零してくれてんだ。
うん…やっと、止まっていた俺たちの時間が動き始めたんだな…?
「あ、そうだ…!大和のミサンガは、なんでまだ切れないんだろうね??」
「まぁ、まだ願いも叶ってないからな…でもさ、近く叶ってくれる事を俺は信じてるんだ…」
「へぇ…てっきり僕と一緒にいたいとか願ってくれてると思ったのになぁ?」
「ふふっ…!もっと大きなお願いが俺にはあるんだよっ!」
俺も裕翔とずっと一緒にいたい…
それは当たり前のことなんだ。
でも、でもな…?俺の一緒にいたいは、もっともっと深い意味を持っているんだ。
もう少し…もう少しだから、俺から離れずに待っててくれよ…?
◇ ◇
そして楽しく甘い時間は、あっという間に駅へ着く事で終わりを迎えてしまう。
「大和…ほんとに今日はありがとう…」
「俺こそ…裕翔とちゃんと話せてよかった…ほんとにありがとな…」
本当ならもう少し一緒にいたいのに、わがままは言えない…俺の恋人になってくれて、好きでいさせてくれるだけで俺は幸せだからさ…?
「…大和、じゃあまたね…?」
でもやっぱり寂しい…寂しいよ…
『またね』と言われたけれど、裕翔の背中が今だけすごく小さく見えちまって…俺は、背を向けた裕翔を優しく抱きしめてやったんだ。
「愛してる…これからもずっと…ずっと…」
そんな俺の寂しさ混じりの『愛してる』の一言に、裕翔も俺の手にそっと手を添えてくれて
「僕も愛してるよ…これからもずっと…」
恋人とのひと時の別れは、親友との別れより苦しいものなんだと俺はこの時、初めて知った。
そして…俺たちはもう一度向き合い、人目を憚らずに…しっかりとバイバイのキスを交わしあったんだ。
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