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どんな事があっても、お前は俺のもの

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 ──乗り慣れない高級車に裕翔は、どうも気持ちが落ち着かない様子だ。

 そして、俺からちゃんと話も聞かされていなかったから、尚更落ち着かなかったんだと思う。

 そんな落ち着かない裕翔に、俺は最後の事実を伝える為に優しく声を掛けてやったんだ。

「裕翔?びっくりしたろっ?」

「び、びっくりしたどころか…や、大和…君は…い、一体何者なんだいっ!?」

 裕翔の改まった言葉に、真面目な話をしなきゃいけないのに俺はつい、吹き出してしまったんだ…

 大丈夫、ちゃんとお前には伝えるよ…?

「裕翔だから…裕翔にだけは、ちゃんと知っておいて欲しかったから…俺たちは今、こうして実家に向かっている……俺な…?実は、春になったら社長になるんだよ?」

 俺の言葉に裕翔は驚きすぎて、開いた口が塞がらなくなってしまっていた…

「ど、どど、どうしてそんな大事なこと隠してたの!?」

「だって…は、恥ずかしかったし…なんか俺、お金持ちなんだぜって言うのも嫌だったし…ゆ、裕翔に言うのもこれでも悩んだんだぜ…?で、でも…お前はもう……俺の大切な人だから…」

 またハリネズミをわしゃわしゃとさせ、頬を赤らめながら話す俺…

 ハリネズミよ…
 ごめんな、今日だけは我慢してくれよ…?

「そ、それでもちゃんと言ってくれないと…だ、だ、だってさ、ぼ、僕…しゃ、社長の大切な人…ええっ…!?」

 そうなっちゃうよな…逆の立場なら、こいつ何言ってんだよ…ってなるもんな…

 裕翔、隠しちまってて本当にごめん…!

「金持ちだとか、社長だとかは、ど~でもいいのっ!!裕翔は俺のものだし、これからもずっと隣で幸せに笑ってくれてりゃい~の!!」

「バ、バカぁ!ど、どうでもよくな~いっ!!」

 裕翔は俺の事をポカポカと何回も叩き、その度に俺も「いててっ!」と反応してしまう…

 そんな俺たちのやり取りを聞きながら、ボディーガードの笑い声が俺の耳に聞こえてきては、ボディーガードが言葉を紡いだんだ。

「大和様がこんなに無邪気に笑って楽しそうなのは、嬉しいものだな」

「ああ、幸せそうで何よりだ」

「裕翔様が傍におられて、本当に良かった」

 そんな彼らの話を俺が聞き逃すわけが無い…
 俺は睨みを利かせながら一言発した。

「お、お前らぁ!あ、後で覚えておけよっ!……い、いててっ!!」

「大和!そんな口利いちゃダメっ!そして、僕との話しをそらさないのっ!!」

 じゃれ合う俺たちを笑顔で見守ってくれるボディーガード。

 チッ…!今日だけは許してや…いてててっ!!

 それでも…こんな大切な事実を伝えたとしても、裕翔は変わらなかった…

 どんな事実が突きつけられても俺の隣にいたんだと、俺にそっと伝えてくれたんだから…
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