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君と僕の出会い

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 転校生の名前は山際やまぎわ 大和やまと

 高身長だけれど、駿よりはちょっとだけ小さいようだ…見た目でわかる僕って…

 それと僕の高校は、ワイシャツに緑色のネクタイ、そして紺色のブレザーだけが義務付けられ、ズボンは紺であれば男女共に自由だったんだ。

 なのに山際くんのネクタイは、ひん曲がってちゃんと締められていない。

 そして、なにより髪の毛だ…まるでハリネズミのようにツンツンと立ち上がり綺麗にセットされた黒髪。

 僕の高校は、そこまで校則が厳しいものではなかったから、髪の毛をセットしたり染めたりしても怒られなかったけれど…

 あれ、毎日セットしてるのかな…?
 セットするの大変そうだなぁ…

 そんなことを考える僕に、駿が僕にだけ聞こえる小声でボソボソと「ありゃ、ハリネズミか?」なんて問いかけてくるから僕も思わず「セット大変そうだね…」なんて本音を零してしまった。

 みんなもなんだか、ソワソワしたような感じで山際くんのことを見つめている…そんな悪い人みたいな感じで見なくてもいいのに…

 そんな中、先生の一声で山際くんが口を開いたんだ。

「山際 大和です…よろしく…」

 め、めっちゃツンケンしている…!なんだろう、初日だから緊張しているだけなのかな?

 いや、それにしても彼から感じるオーラは、周りを引き付けたくないようなものに僕は感じてしまったんだ。

 ツンケンとした自己紹介も終わり、山際くんの席を先生が示したけれど…

 あれ、山際…やま…んっ?!ぼ、僕の前…?!

 そう、僕の前の席が空いていたのは、転校してきた山際くんの席だったからだ。

 わお…ハリネズミさんが僕の前に…僕も僕で酷いやつだ、心で変なあだ名を付けたりして…

 山際くんは周りの目なんて気にせず、僕の方へと…いや、席に向かってきたんだけれど、山際くんが席に座るその前に…僕は山際くんに一瞬だけ見つめられてしまったんだ。

 ぼ、僕の顔になにかついてる…?
 あっ!つ、ついてるね!黒縁眼鏡…!

 そう、山際くんのトレードマークがハリネズミなら、僕のトレードマークはこの黒縁眼鏡だ。

 かけなくても見えないことはないけれど、黒板の字が少しだけ見えづらい。

 そして、名字のおかげで後ろの席になる事が多かったから、眼鏡をかけていたんだけれど…べ、別にそこじゃないよね…?

 でも…一瞬見つめられただけで山際くんの表情はどこか冷たく、そして瞳の奥はどこか寂しげだと僕は何故だか感じてしまった…

 山際くんはそのまま、 プイっと顔を前へ向け僕の前に座り込み、そして僕の目には大きい山際くんの背中とハリネズミの頭だけが映し出されていた。

 背が高いから、背中も僕なんかよりも一際大きい。

 でも、どうしてかな…僕にはこの大きな大きな背中がとてつもなく小さくて寂しげな背中に見えてしまったんだ…
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