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魔獣領域から隣国へ
疲れが溜まって熱が出た
にぃにが急がなくて良いと言い出した翌日、熱が出た。
どうやら疲れが溜まっていたっぽい。
「そもそも、三日も寝続けた翌日から休み無しにフォレチェルの背に揺られて、朝昼晩の食事の用意に従魔のお世話。たとえ成人していても、普通に倒れるタイムスケジュールで行動していたからね」
「うにゃ……」
ほっぺを優しく撫でる魔神さまの手が、冷たくって気持ちいい。
「お兄ちゃんのために頑張るのもいいけれど、自分のことも大事にしないと……」
みんなのご飯を作らなくっちゃと思うけど、優しくポンポンおなかを叩かれているとどんどんまぶたが重くなる。
「武神に料理を仕込むように頼んどいたから、心配しなくても大丈夫」
――武神さまって、お料理できるんだ?
「魔神が武神で、武神は魔神だからね。分岐前に習得していたことなら、どちらも同じことができる」
なんか、むずかしいことを言っている気がしたけれど、武神さまがお料理できるなら安心してネンコできる。なんだかすごく、小さいさんになったみたいで不思議な感じ。
ふわふわ気分で、ニヨニヨうふふとなってしまう。
それに、かかさまが一緒にいてくれるんだもの。安心して眠ってしまえるね。
わたしは大きなあくびを一つして、さっさと意識を手放した。
☆★☆★☆★☆★
結局、わたしは二日ほどお布団の中でゴロゴロ寝て過ごした。
その間は他の三人が従魔の面倒を見たり、鍛冶をやって過ごしたらしい。
お熱を出した翌日には平熱になっていたから、ちょっと自分の仕事をサボったみたいで落ち着かない気分です。
「あやや?」
「おはよう、フェリシア」
三日目の朝、今日こそは朝ご飯を作るぞと気合を入れて【鍛冶場】に行ったら、土間でにぃにがお料理してた。
「ソレは、わたしのお仕事ですよ?」
「僕のお出かけが解禁になるまで、朝と昼のご飯は作らせてもらおうと思って……」
なんか、今回わたしが熱を出したことでお話し合いをしたらしい。
そんでもって決まったのが、『朝ご飯とお昼ごはんはお留守番組が作る』ことと、『自分の洗濯、自分でやろう』ってこと。それから『移動は朝ご飯のあとからお昼まで』だそう。
「正直、味付けとか微妙だから、最期に調整してもらえると嬉しいな」
「うにゃうにゃ。そしたらついでに魔素の調整もしちゃうね」
どうやら武神さまから教えてもらったのは煮物っぽい。
大きさが不揃いの野菜やお肉がゴロゴロとたくさん入ってる。
「ごはんはわたしが炊くね」
「……っ!! ごはん、めちゃくちゃ嬉しいっ……!」
「俺らがやると、食える部分がほとんど残らないからなぁ……」
――どんだけ銀麦を無駄にしたんだろう?
生産者の立場で考えてしまうから、メチャクチャ悲しい。
グレントを育てるのだって、けっこう大変なんだから。
とりあえず、朝のうちにたくさん炊いて出かけるようにしよう。夜は、あらためてあったかいご飯を炊けば良いからね。
「そういえば、わたし、午後はなにすればいいの? 食材採集とか?」
「お夕飯作ってもらえるなら、あとは好きにしてもらって構わないよ」
「ナント……」
――自由時間、長すぎでは?
村での生活ではあり得なかったフリータイムに、困惑を隠せない。
戸惑っているのがわかったのだろう、にぃにも不思議そうな顔して首を傾げた。
「……んと、にぃにはお留守番中ってなにしてるの?」
しばらく考えてひねりだしたのは、にぃにがおそらく暇を持て余しているであろう時間の使い方を聞いてみること。なんというか、朝とお昼のご飯を用意しなくて良いのなら、その時間を使って溜まった洗濯物や野草の処理はできてしまうのだ。
ここにさらなる自由時間を追加されると、正直何をしたら良いのか途方に暮れる。
「何って……フェリシアたちが出かけたら、まずは神楽のお稽古でしょ。それからロイと一緒に、剣術・弓術・体術の訓練をして――最近は、フェリシアに頼まれてるナベや調理器具の作成くらいだね」
――思ったより忙しそうだな。
正直、お留守番中はロイさんと二人してゴロゴロしてるんだとばかり思ってた。それか、【鍛冶場】で武具を作りちらしてるとか?
とにかくヒマで仕方ないから、外に出たいんだとばかり思ってたんだけど違うっぽい。
「そしたらわたしも何かの練習したほうがいいのかな……?」
――でも、何を?
神楽は習い始めたところだから、きちんと振りを覚えてない自身がある。指導役がいない状態で練習しても身につかないし、間違って覚える羽目になるのが目に見えてるから、むしろ練習は逆効果だ。
「神楽の練習したいって言えば、きっと魔神さまが喜んでみてくれると思うけど……」
「え、ホントに?」
「でも、フェリシアはしばらくの間で良いからお昼寝するようにしたほうがいいよ」
「えええ」
「とりあえず、僕が外を出歩けるようになるまでは、さ」
「むぅ……」
――たしかに、フォレチェルでの移動は結構疲れるよね。
実際問題、疲れがたまりすぎて熱を出したばっかりだ。
ここは言うことを聞いといたほうが良いのかも。まぁ……実際に動かずにいられるかは別問題なんだけど。
どうやら疲れが溜まっていたっぽい。
「そもそも、三日も寝続けた翌日から休み無しにフォレチェルの背に揺られて、朝昼晩の食事の用意に従魔のお世話。たとえ成人していても、普通に倒れるタイムスケジュールで行動していたからね」
「うにゃ……」
ほっぺを優しく撫でる魔神さまの手が、冷たくって気持ちいい。
「お兄ちゃんのために頑張るのもいいけれど、自分のことも大事にしないと……」
みんなのご飯を作らなくっちゃと思うけど、優しくポンポンおなかを叩かれているとどんどんまぶたが重くなる。
「武神に料理を仕込むように頼んどいたから、心配しなくても大丈夫」
――武神さまって、お料理できるんだ?
「魔神が武神で、武神は魔神だからね。分岐前に習得していたことなら、どちらも同じことができる」
なんか、むずかしいことを言っている気がしたけれど、武神さまがお料理できるなら安心してネンコできる。なんだかすごく、小さいさんになったみたいで不思議な感じ。
ふわふわ気分で、ニヨニヨうふふとなってしまう。
それに、かかさまが一緒にいてくれるんだもの。安心して眠ってしまえるね。
わたしは大きなあくびを一つして、さっさと意識を手放した。
☆★☆★☆★☆★
結局、わたしは二日ほどお布団の中でゴロゴロ寝て過ごした。
その間は他の三人が従魔の面倒を見たり、鍛冶をやって過ごしたらしい。
お熱を出した翌日には平熱になっていたから、ちょっと自分の仕事をサボったみたいで落ち着かない気分です。
「あやや?」
「おはよう、フェリシア」
三日目の朝、今日こそは朝ご飯を作るぞと気合を入れて【鍛冶場】に行ったら、土間でにぃにがお料理してた。
「ソレは、わたしのお仕事ですよ?」
「僕のお出かけが解禁になるまで、朝と昼のご飯は作らせてもらおうと思って……」
なんか、今回わたしが熱を出したことでお話し合いをしたらしい。
そんでもって決まったのが、『朝ご飯とお昼ごはんはお留守番組が作る』ことと、『自分の洗濯、自分でやろう』ってこと。それから『移動は朝ご飯のあとからお昼まで』だそう。
「正直、味付けとか微妙だから、最期に調整してもらえると嬉しいな」
「うにゃうにゃ。そしたらついでに魔素の調整もしちゃうね」
どうやら武神さまから教えてもらったのは煮物っぽい。
大きさが不揃いの野菜やお肉がゴロゴロとたくさん入ってる。
「ごはんはわたしが炊くね」
「……っ!! ごはん、めちゃくちゃ嬉しいっ……!」
「俺らがやると、食える部分がほとんど残らないからなぁ……」
――どんだけ銀麦を無駄にしたんだろう?
生産者の立場で考えてしまうから、メチャクチャ悲しい。
グレントを育てるのだって、けっこう大変なんだから。
とりあえず、朝のうちにたくさん炊いて出かけるようにしよう。夜は、あらためてあったかいご飯を炊けば良いからね。
「そういえば、わたし、午後はなにすればいいの? 食材採集とか?」
「お夕飯作ってもらえるなら、あとは好きにしてもらって構わないよ」
「ナント……」
――自由時間、長すぎでは?
村での生活ではあり得なかったフリータイムに、困惑を隠せない。
戸惑っているのがわかったのだろう、にぃにも不思議そうな顔して首を傾げた。
「……んと、にぃにはお留守番中ってなにしてるの?」
しばらく考えてひねりだしたのは、にぃにがおそらく暇を持て余しているであろう時間の使い方を聞いてみること。なんというか、朝とお昼のご飯を用意しなくて良いのなら、その時間を使って溜まった洗濯物や野草の処理はできてしまうのだ。
ここにさらなる自由時間を追加されると、正直何をしたら良いのか途方に暮れる。
「何って……フェリシアたちが出かけたら、まずは神楽のお稽古でしょ。それからロイと一緒に、剣術・弓術・体術の訓練をして――最近は、フェリシアに頼まれてるナベや調理器具の作成くらいだね」
――思ったより忙しそうだな。
正直、お留守番中はロイさんと二人してゴロゴロしてるんだとばかり思ってた。それか、【鍛冶場】で武具を作りちらしてるとか?
とにかくヒマで仕方ないから、外に出たいんだとばかり思ってたんだけど違うっぽい。
「そしたらわたしも何かの練習したほうがいいのかな……?」
――でも、何を?
神楽は習い始めたところだから、きちんと振りを覚えてない自身がある。指導役がいない状態で練習しても身につかないし、間違って覚える羽目になるのが目に見えてるから、むしろ練習は逆効果だ。
「神楽の練習したいって言えば、きっと魔神さまが喜んでみてくれると思うけど……」
「え、ホントに?」
「でも、フェリシアはしばらくの間で良いからお昼寝するようにしたほうがいいよ」
「えええ」
「とりあえず、僕が外を出歩けるようになるまでは、さ」
「むぅ……」
――たしかに、フォレチェルでの移動は結構疲れるよね。
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