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初めての野宿
乳製品貯金
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「うわっ! ミルクスープがなんか変なんだけどっ!?」
壺のフタを取ったにぃにが、中でゆるりと渦を巻くスープを見て目を剥いた。精霊さん、今もせっせと撹拌中。水の子は壺の中をクルクル楽しそうに泳ぎ回ってるし、火の子は渦の真ん中で頭だけ出して難しいお顔をしてる。楽しそうで、なにより。
「焦げ付いたり生煮えだったりしないように、精霊さんにお願いして混ぜ混ぜしてもらってるからねぇ」
「えぇえ……」
何か言いたいけど、言うことが思いつかないって表情でスープとわたしの顔を交互に見たにぃには、諦めた表情で首を振ってからお椀にスープを装いよそい始めた。
わたしたちの分と、魔神様たちへおすそ分け用で、お椀は6つ。にぃにがスープを用意する間に、わたしの方も包みパンを大きめの木皿に4つ取り分ける。
準備を終えたら、二人並んで目を閉じ、手を合わす。
「それじゃあ、魔神様。お供え物をおおさめください」
『ありがとう、フェリシアちゃん。みんなと分けて食べるね』
目を開けると、お皿とお椀の中身だけが綺麗サッパリ消えていた。いつものことながら、どうやってるんだろう?
それはそれとして、魔神様から『ありがとう』って返ってくるのが、わたしはいつも不思議です。
だって、神様なのに。
本人(本神?)いわく、供物を捧げた人(魔獣も含む)全員に言ってるらしい。
いやでも、神様なのに(二回目)。
『神々だけじゃ、この世界は成り立たないからね。人の子も獣の子も等しく私達の庇護対象であり、また、共存関係でもある。だから、互いにお礼を言い合うのはおかしくないんだよ』
……難しくて、良く分かんないな。
分かんないけど、でも、魔神様にとっては、おかしくないことらしいのだけは理解できた……気がする。
「ん……おかんの味」
わたしが魔神様とおしゃべりしてる間に、にぃにはさっさと食べ始めてた。『おかんの味』だと言ったときに、ウルッとしてたのは見ないふり。
でも、わたしもスープを口に入れた瞬間、ウルッときた。
――ほんとにおかんの味がする……
というか、よく考えたら当たり前だ。
これは、我が家の冬の定番料理だもの。ここ数年、おかんと一緒に何度も何度も作ってた。ただ、わたしだけで作ると、どうしてもおかんと同じ味にならなかったんだけど――お料理スキルの差だったんだろうか?
「包みパンも、端にあるのは食べれるからね」
目を伏せて黙々と口を動かしているにぃにに伝えて、焼き上がったものを隅に寄せる。直火が当たらなから端っこは、焦げづらいのだ。
新しいものを焼き始めつつ、自分の分を皿に取る。半月型の包みパンは、中に汁気のある具が入っているからムチッとした噛みごたえ。
「トマトとチーズの組み合わせって、どうしてこんなに美味しいんだろうねぇ」
大きく口を開けてガブリとかじりつつ独りごちる。
にぃには――しばらく、お話できそうにないみたい。
『バジルの香りが混ざると、もっと美味しくなるよ』
『バジル……?』
『香草の一種なんだけど、あとで少し分けてあげる』
『特別サービスね』と言って笑う声に苦笑する。
だってね、魔神様って特別サービスが多いんだもの。ありがたいんだけど、全然、『今回だけ』じゃないよ?
それからしばらくの間、魔神様とおしゃべりをしながら食事を進め、にぃにが気持ちを立て直したところでミルクを奉納することについての相談を持ち出した。
「一頭分でも持て余すはずだから、奉納しようよ。何を悩むことがあるの?」
「えー、だって。わたしの従魔から採れたものも、家族の資産だもの」
なので、勝手にどうするかを決めるわけにはいかないのだ。
「妙なところで律儀だよね、フェリシアは」
そう呟いてから、視線を上に向けてにぃには悩み始めた。
「ところで、乳製品ってチーズとバター以外にもあるの?」
「……さぁ?」
言われてみると、わたし、魔神様のいうところ『乳製品』が分からない。困惑しつつ魔神様に尋ねてみると、チーズやバターもわたしが作れるもの以外に何種類もあるらしい。その上、よーぐるとだとかみるくけーきだとか、まるで別の食べ物になるんだとか。
「フェリシア――」
「だって、にぃに……」
魔神様からどんな食べ物なのかを聞いてるうちに、口の端からヨダレが……目の前の呆れ顔から目をそらしつつ、慌てて拳で拭う。するとにぃには、大きなため息ついて額を抑えた。
――仕方ないじゃない。
魔神様の説明が、美味しそすぎるんだものっ!
「武神様が、明日からお昼ごはん代わりに魔神様の挙げたものを、順繰りに試食していくのはどうかって言ってるんだけど……」
「順繰りに試食っ」
なんか、心躍る響きだ。
「んじゃ、それで♪」
『なら、お昼時に一頭分のミルクと交換で、残りは乳製品貯金でいいのかな』
今日のところはにぃにが武神様に一頭分、わたしが魔神様に二頭分を奉納して、お楽しみは明日のお昼に持ち越し。
明日のお昼からの乳製品三昧が、今からとっても楽しみですっ。
壺のフタを取ったにぃにが、中でゆるりと渦を巻くスープを見て目を剥いた。精霊さん、今もせっせと撹拌中。水の子は壺の中をクルクル楽しそうに泳ぎ回ってるし、火の子は渦の真ん中で頭だけ出して難しいお顔をしてる。楽しそうで、なにより。
「焦げ付いたり生煮えだったりしないように、精霊さんにお願いして混ぜ混ぜしてもらってるからねぇ」
「えぇえ……」
何か言いたいけど、言うことが思いつかないって表情でスープとわたしの顔を交互に見たにぃには、諦めた表情で首を振ってからお椀にスープを装いよそい始めた。
わたしたちの分と、魔神様たちへおすそ分け用で、お椀は6つ。にぃにがスープを用意する間に、わたしの方も包みパンを大きめの木皿に4つ取り分ける。
準備を終えたら、二人並んで目を閉じ、手を合わす。
「それじゃあ、魔神様。お供え物をおおさめください」
『ありがとう、フェリシアちゃん。みんなと分けて食べるね』
目を開けると、お皿とお椀の中身だけが綺麗サッパリ消えていた。いつものことながら、どうやってるんだろう?
それはそれとして、魔神様から『ありがとう』って返ってくるのが、わたしはいつも不思議です。
だって、神様なのに。
本人(本神?)いわく、供物を捧げた人(魔獣も含む)全員に言ってるらしい。
いやでも、神様なのに(二回目)。
『神々だけじゃ、この世界は成り立たないからね。人の子も獣の子も等しく私達の庇護対象であり、また、共存関係でもある。だから、互いにお礼を言い合うのはおかしくないんだよ』
……難しくて、良く分かんないな。
分かんないけど、でも、魔神様にとっては、おかしくないことらしいのだけは理解できた……気がする。
「ん……おかんの味」
わたしが魔神様とおしゃべりしてる間に、にぃにはさっさと食べ始めてた。『おかんの味』だと言ったときに、ウルッとしてたのは見ないふり。
でも、わたしもスープを口に入れた瞬間、ウルッときた。
――ほんとにおかんの味がする……
というか、よく考えたら当たり前だ。
これは、我が家の冬の定番料理だもの。ここ数年、おかんと一緒に何度も何度も作ってた。ただ、わたしだけで作ると、どうしてもおかんと同じ味にならなかったんだけど――お料理スキルの差だったんだろうか?
「包みパンも、端にあるのは食べれるからね」
目を伏せて黙々と口を動かしているにぃにに伝えて、焼き上がったものを隅に寄せる。直火が当たらなから端っこは、焦げづらいのだ。
新しいものを焼き始めつつ、自分の分を皿に取る。半月型の包みパンは、中に汁気のある具が入っているからムチッとした噛みごたえ。
「トマトとチーズの組み合わせって、どうしてこんなに美味しいんだろうねぇ」
大きく口を開けてガブリとかじりつつ独りごちる。
にぃには――しばらく、お話できそうにないみたい。
『バジルの香りが混ざると、もっと美味しくなるよ』
『バジル……?』
『香草の一種なんだけど、あとで少し分けてあげる』
『特別サービスね』と言って笑う声に苦笑する。
だってね、魔神様って特別サービスが多いんだもの。ありがたいんだけど、全然、『今回だけ』じゃないよ?
それからしばらくの間、魔神様とおしゃべりをしながら食事を進め、にぃにが気持ちを立て直したところでミルクを奉納することについての相談を持ち出した。
「一頭分でも持て余すはずだから、奉納しようよ。何を悩むことがあるの?」
「えー、だって。わたしの従魔から採れたものも、家族の資産だもの」
なので、勝手にどうするかを決めるわけにはいかないのだ。
「妙なところで律儀だよね、フェリシアは」
そう呟いてから、視線を上に向けてにぃには悩み始めた。
「ところで、乳製品ってチーズとバター以外にもあるの?」
「……さぁ?」
言われてみると、わたし、魔神様のいうところ『乳製品』が分からない。困惑しつつ魔神様に尋ねてみると、チーズやバターもわたしが作れるもの以外に何種類もあるらしい。その上、よーぐるとだとかみるくけーきだとか、まるで別の食べ物になるんだとか。
「フェリシア――」
「だって、にぃに……」
魔神様からどんな食べ物なのかを聞いてるうちに、口の端からヨダレが……目の前の呆れ顔から目をそらしつつ、慌てて拳で拭う。するとにぃには、大きなため息ついて額を抑えた。
――仕方ないじゃない。
魔神様の説明が、美味しそすぎるんだものっ!
「武神様が、明日からお昼ごはん代わりに魔神様の挙げたものを、順繰りに試食していくのはどうかって言ってるんだけど……」
「順繰りに試食っ」
なんか、心躍る響きだ。
「んじゃ、それで♪」
『なら、お昼時に一頭分のミルクと交換で、残りは乳製品貯金でいいのかな』
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