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初めての野宿
夜ふかしさん
たくさん焼いた包みパンをにぃにが葉っぱに包んでいる間に、わたしは寝床の準備に取り掛かる。準備と言っても、ミルギューたちのご飯を詰めた大きな麻袋を地面において、シーツ代わりに毛皮を被せ、上掛け用の毛皮を二枚取り出すだけの簡単なお仕事です。
「ひと足お先に、寝心地を確認させてもらいま~すっ」
「え、なんかずるいっ」
ボスンと上掛けの上へと飛び乗って、そのままゴロリと半回転。そうすると、張り出した枝の隙間から、すっかり暗くなったお空が見えた。
「ご飯食べ始める頃はまだ明るかったのに、もう、すっかり夜になってるねぇ」
「どうりで冷えてきたなと思った」
「上掛け、もう一枚増やそっか?」
焚き火のおかげで気づかなったけど、空気が大分冷えてきてる。あったかスープをたくさん飲んだおかげで今は体もポカポカしてるけど、これは一時的なものだもの。
「そうだね。せっかく元気になったのに、また熱でも出したら大変だ」
にぃにも同じことを考えたらしく、あっさり同意したので追加で一枚ずつ出して重ねとく。
「寝床の用意が終わったなら、フェリシアは先に寝てていいよ」
「にぃには?」
「僕は、武神様に出された宿題に少し挑戦してから寝るつもり。眠くなったら寝るよ」
どうやらにぃには、武神様から武器作成スキルに挑戦するように言われているらしい。
「わたしもまだ眠くないし……筆の練習でもしようっと」
一人で先に眠るのはなんだかいやで、わたしは焚き火のそばに戻って、マジックバッグから練習道具をとりだした。
パチパチと薪の弾ける音に混じって虫の声が聞こえる中、ただ黙々と筆を動かす。
「やっぱ、まっすぐに同じ太さの線を引くのって難しい~」
練習用の板モドキにいっぱいになるまで線を引き終え、出来上がりを確認しながら思わず呟く。思わず漏らした大きなため息に、何かをコネコネしていたにぃにが顔を上げて首を傾げた。
「フェリシアのソレは、なにやってんの?」
「真っ直ぐな線を引く練習っ」
練習していた板モドキを向けて成果を見せると、にぃにの口がへの字に曲がる。
「どう見ても曲がってるし。線だって、太かったり細かったりかすれてたりで、真っ直ぐっぽいやつも歪んで見えるじゃない」
「にぃにの感想が真っ直ぐすぎて、つらいっ」
わたしも、同じこと思ったけどさ~……もうちょっと、優しい言い方してくれてもいいと思う。ほっぺを膨らませて、練習を再開。黙って集中しても歪むんだからと、今度は口も動かすことにした。
「そういうにぃには、何をやってんの?」
「僕? 村で回収してきたお鍋を使って、矢じりづくり」
見せてくれた矢じりは、なんだかデコボコしていて不格好。
「にぃにも、わたしのこと言えないじゃない」
「こんなん、初めて挑戦するんだから仕方ないよ」
「わたしも同じだし」
口をとがらして視線をそらすにぃにを真似しつつ、線を引いていく作業を続ける。
「ホントは、矢じりなんかじゃなくってちゃんとした武器っぽいのを作りたかったんだけど、武神様が『小さいもので慣れてから』って言うんだ」
「ほーほー、なるほどなるほど」
「フェリシアのは?」
「これはね、お札を作る練習。きちんと思ったとおりに書けるようにならないと、はみ出しちゃう」
「なんか、ソッチのほうが難しそう……」
ウゲッと声を上げ、しかめっ面で上を見上げたにぃにが「わぁっ」と呟いて、お口をパッカン。つられて見上げたお空には、お星さまがたくさんピカピカ光ってた。
「キレイだねぇ」
「ん……」
夜のお空を見るのは、実は初めてだ。
そんな、初めて見る夜空にはすぐそばにある焚き火に負けず、お星さまがたくさんたくさんピカピカキラキラと輝いていて、とってもとても、キレイだった。
「ひと足お先に、寝心地を確認させてもらいま~すっ」
「え、なんかずるいっ」
ボスンと上掛けの上へと飛び乗って、そのままゴロリと半回転。そうすると、張り出した枝の隙間から、すっかり暗くなったお空が見えた。
「ご飯食べ始める頃はまだ明るかったのに、もう、すっかり夜になってるねぇ」
「どうりで冷えてきたなと思った」
「上掛け、もう一枚増やそっか?」
焚き火のおかげで気づかなったけど、空気が大分冷えてきてる。あったかスープをたくさん飲んだおかげで今は体もポカポカしてるけど、これは一時的なものだもの。
「そうだね。せっかく元気になったのに、また熱でも出したら大変だ」
にぃにも同じことを考えたらしく、あっさり同意したので追加で一枚ずつ出して重ねとく。
「寝床の用意が終わったなら、フェリシアは先に寝てていいよ」
「にぃには?」
「僕は、武神様に出された宿題に少し挑戦してから寝るつもり。眠くなったら寝るよ」
どうやらにぃには、武神様から武器作成スキルに挑戦するように言われているらしい。
「わたしもまだ眠くないし……筆の練習でもしようっと」
一人で先に眠るのはなんだかいやで、わたしは焚き火のそばに戻って、マジックバッグから練習道具をとりだした。
パチパチと薪の弾ける音に混じって虫の声が聞こえる中、ただ黙々と筆を動かす。
「やっぱ、まっすぐに同じ太さの線を引くのって難しい~」
練習用の板モドキにいっぱいになるまで線を引き終え、出来上がりを確認しながら思わず呟く。思わず漏らした大きなため息に、何かをコネコネしていたにぃにが顔を上げて首を傾げた。
「フェリシアのソレは、なにやってんの?」
「真っ直ぐな線を引く練習っ」
練習していた板モドキを向けて成果を見せると、にぃにの口がへの字に曲がる。
「どう見ても曲がってるし。線だって、太かったり細かったりかすれてたりで、真っ直ぐっぽいやつも歪んで見えるじゃない」
「にぃにの感想が真っ直ぐすぎて、つらいっ」
わたしも、同じこと思ったけどさ~……もうちょっと、優しい言い方してくれてもいいと思う。ほっぺを膨らませて、練習を再開。黙って集中しても歪むんだからと、今度は口も動かすことにした。
「そういうにぃには、何をやってんの?」
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「にぃにも、わたしのこと言えないじゃない」
「こんなん、初めて挑戦するんだから仕方ないよ」
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「ホントは、矢じりなんかじゃなくってちゃんとした武器っぽいのを作りたかったんだけど、武神様が『小さいもので慣れてから』って言うんだ」
「ほーほー、なるほどなるほど」
「フェリシアのは?」
「これはね、お札を作る練習。きちんと思ったとおりに書けるようにならないと、はみ出しちゃう」
「なんか、ソッチのほうが難しそう……」
ウゲッと声を上げ、しかめっ面で上を見上げたにぃにが「わぁっ」と呟いて、お口をパッカン。つられて見上げたお空には、お星さまがたくさんピカピカ光ってた。
「キレイだねぇ」
「ん……」
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