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再出発
動く的
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幸いなことに移動中に凶暴な魔獣に出くわすこともなく、今日も旅路は順調だ。
ただ今日は、にぃにがミントに、鳥やウサギの群れを見つけるたびに立ち止まるようにお願いしてる。
ミントがいるお陰でオオカミ系の魔獣には遭遇しないけど、鳥やウサギの姿は今までも遠目に見ることはあった。だから、問題なく見つけることはできるだろうけど、何で急にそんなことをいうんだろう?
不思議に思って首を傾げていると、にぃにはなんとなくきまり悪げに視線をそらしてモゴモゴと理由を口にする。
「その……武神様から、そろそろ動く的を相手にするようにって言われたんだ。まずは、弓で」
「なるほろ。それじゃ、新鮮なお肉に期待しますっ」
ここのところ、塩漬け肉に燻製肉。腸詰めに干し肉三昧だったから、生肉が手に入るならとってもありがたい。冬になると、どうしても保存のきくこの四種類がメイン食材になるんだけど、まだ晩秋だからね。本来だったら、生肉だって食べられる時期だ。
「ステーキもいいし、薄切りにしたのを炒め物にしても美味しいよね」
どうやって食べようかと、取らぬウサギの皮算用をしていたら、にぃにのお腹が小さく鳴いた。
「……頑張る」
――お昼ごはん、足りなかったかな?
ミントが最初に見つけた獲物は、『カヴォジャーノ』。
淡い緑の羽毛に全身を覆われた鳥系魔獣で、羽は火を通すと葉野菜のように食べられる。
別名・葉鳥さん。
鳥肉とお野菜(もどき)が同時に手に入る、とってもオトクな鳥さんだ。
情報神様の教育の賜物なのか、そつなく風下のカヴォジャーノを狙いやすそうな位置に陣取ったミントが視線を向けると、にぃには小さくうなずき弓に矢をつがえる。
ヒュッと風を切る音が連続して六回――獲物と同じ数だけ聞こえて、甲高い声が二つ響く。その直後に、慌てて飛び立つ羽の音。
「――やっぱり、半分もあたらないね」
翼を射抜かれてジタバタしていた二羽にとどめを刺して回収してきたにぃには、ため息交じりにそう言うけれど……充分すごいと思います。
「二羽も仕留められるなんて、すごいねっ! にぃに!」
「武神様なら、一羽も逃さないよ」
「比べる相手が間違ってるっ」
むしろ、比べるのもおこがましい相手じゃないっ。
「目指す高みが高すぎるっ」
「……目指すのはいいんだ?」
「低いとこを目指しても仕方ないもの。高い分にはいいのでは?」
「ん。精進します」
その後も、二回ほどミントのお膳立てでにぃには狩りのお勉強。
最初のカヴォジャーノにわたしが喜んでいたのを感じ取ったのか、二度目の獲物もカヴォジャーノの群れで、にぃには四羽を仕留めることに成功した。
本人は「最初よりも成果が……」と落ち込んでいた。でもね? 矢が刺さったまま飛んでいったのもいたんだもの。命中率的には、最初と変わらなかったんじゃないかと思う。
――でも、にぃにのテンションがちょっと上がってきたかも。
新鮮なお肉が手に入る上に、にぃにの機嫌が良くなるなんて、なんて素晴らしい……!
「ミント、次は鳥さん以外でお願いね」
「わふっ」
ミントの接待ハント・第三弾はウニピョン。
ウサギ系の好戦的な魔獣で、目が一つしかないのが特徴だ。ついでに、デカい。
ちょうど折りよくもぐもぐタイムで、ヴェルリーニョを掘り上げるのに忙しそう。
――六匹もいるから、一匹は確実にゲットだねっ!
ウニピョンの旨みたっぷりの肉の味を思い出してニヨニヨしている間に、弓弦のなる音とウニピョンの悲鳴が連続してあたりに響く。四匹の体に矢が突き刺さり、一斉に殺意のこもった六つの目がこちらに向けられた。
「ひぅっ」
怖さのあまり息を呑むと、背中からぬくもりがフッと消え、ウニピョンたちとわたしの間ににぃにの背中が現れる。
「バカ犬、さばき切れない分はお願いっ」
そう言い捨ててウニピョンの群れに突っ込むにぃにの姿に、思わず叫ぶ。
「ぎゃぁああああああ! にぃにが死んじゃうっ!!」
「縁起でもないこと言わないでっ!!」
――悪態が返ってくるなら、案外、平気?
頭の中の冷静な部分がそう呟いたけど、にぃにが危なくなるたびに上がる悲鳴は止められなかった。
ただ今日は、にぃにがミントに、鳥やウサギの群れを見つけるたびに立ち止まるようにお願いしてる。
ミントがいるお陰でオオカミ系の魔獣には遭遇しないけど、鳥やウサギの姿は今までも遠目に見ることはあった。だから、問題なく見つけることはできるだろうけど、何で急にそんなことをいうんだろう?
不思議に思って首を傾げていると、にぃにはなんとなくきまり悪げに視線をそらしてモゴモゴと理由を口にする。
「その……武神様から、そろそろ動く的を相手にするようにって言われたんだ。まずは、弓で」
「なるほろ。それじゃ、新鮮なお肉に期待しますっ」
ここのところ、塩漬け肉に燻製肉。腸詰めに干し肉三昧だったから、生肉が手に入るならとってもありがたい。冬になると、どうしても保存のきくこの四種類がメイン食材になるんだけど、まだ晩秋だからね。本来だったら、生肉だって食べられる時期だ。
「ステーキもいいし、薄切りにしたのを炒め物にしても美味しいよね」
どうやって食べようかと、取らぬウサギの皮算用をしていたら、にぃにのお腹が小さく鳴いた。
「……頑張る」
――お昼ごはん、足りなかったかな?
ミントが最初に見つけた獲物は、『カヴォジャーノ』。
淡い緑の羽毛に全身を覆われた鳥系魔獣で、羽は火を通すと葉野菜のように食べられる。
別名・葉鳥さん。
鳥肉とお野菜(もどき)が同時に手に入る、とってもオトクな鳥さんだ。
情報神様の教育の賜物なのか、そつなく風下のカヴォジャーノを狙いやすそうな位置に陣取ったミントが視線を向けると、にぃには小さくうなずき弓に矢をつがえる。
ヒュッと風を切る音が連続して六回――獲物と同じ数だけ聞こえて、甲高い声が二つ響く。その直後に、慌てて飛び立つ羽の音。
「――やっぱり、半分もあたらないね」
翼を射抜かれてジタバタしていた二羽にとどめを刺して回収してきたにぃには、ため息交じりにそう言うけれど……充分すごいと思います。
「二羽も仕留められるなんて、すごいねっ! にぃに!」
「武神様なら、一羽も逃さないよ」
「比べる相手が間違ってるっ」
むしろ、比べるのもおこがましい相手じゃないっ。
「目指す高みが高すぎるっ」
「……目指すのはいいんだ?」
「低いとこを目指しても仕方ないもの。高い分にはいいのでは?」
「ん。精進します」
その後も、二回ほどミントのお膳立てでにぃには狩りのお勉強。
最初のカヴォジャーノにわたしが喜んでいたのを感じ取ったのか、二度目の獲物もカヴォジャーノの群れで、にぃには四羽を仕留めることに成功した。
本人は「最初よりも成果が……」と落ち込んでいた。でもね? 矢が刺さったまま飛んでいったのもいたんだもの。命中率的には、最初と変わらなかったんじゃないかと思う。
――でも、にぃにのテンションがちょっと上がってきたかも。
新鮮なお肉が手に入る上に、にぃにの機嫌が良くなるなんて、なんて素晴らしい……!
「ミント、次は鳥さん以外でお願いね」
「わふっ」
ミントの接待ハント・第三弾はウニピョン。
ウサギ系の好戦的な魔獣で、目が一つしかないのが特徴だ。ついでに、デカい。
ちょうど折りよくもぐもぐタイムで、ヴェルリーニョを掘り上げるのに忙しそう。
――六匹もいるから、一匹は確実にゲットだねっ!
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「ひぅっ」
怖さのあまり息を呑むと、背中からぬくもりがフッと消え、ウニピョンたちとわたしの間ににぃにの背中が現れる。
「バカ犬、さばき切れない分はお願いっ」
そう言い捨ててウニピョンの群れに突っ込むにぃにの姿に、思わず叫ぶ。
「ぎゃぁああああああ! にぃにが死んじゃうっ!!」
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