にいにと一緒に世界をめぐる~奉納スキルでアイテムゲット☆彡~

霧ちゃん→霧聖羅

文字の大きさ
59 / 123
再出発

運命、とは?

しおりを挟む
――さてさて、困った。

 魔神様は『弟子入り』だなんて気軽におっしゃったけど、初対面の相手にそんなことを申し出る気にはとてもなれない。なにせ、わたしが弟子入りするとしたら薬師のクリナムさんの方が有力候補だ。
ミントの陰から顔を出して様子を伺うと、彼は口論をはじめたピエリスさんとにぃに・・・の仲裁に入るところだった。


「やめろ、ピエリス」

「いやいや、そうはいってもこの子らヤバいっしょ。子供だけで国境に向かってるってことは、逃げる気満々なんだろうけど――」


 わたし達の年齢でフォレルーポを使役しているってことは、獣神様もしくはその上位神か眷属神の寵愛を受けているのが確定事項になるらしい。
そのうえこの国は、今、加護者不足に陥っている。
愛し子なり寵児だと思われる存在を、他の国に逃がすわけがないというのが彼の言い分。

――加護を授かったら神殿に入らなきゃいけないっていうのは、そのせいか。

 加護者が少なくなってるという話は、誰かから聞いたような気もする。けど、そこまで深刻だとは思ってなかった。なんせ、ウチの村みたいなハズレと呼ばれる場所が存続させてたくらいだもの。

「大方、グーちゃんのかばってる妹ちゃんが寵児っしょ? 逃げそこねて捕まったら、監禁されて子供産ませる道具にされんのがオチだよっ」

「こど……っ!?」


――ソレは、嫌すぎ。

 ソレは、わたし達が巫女様から逃げようとしてる理由そのものだ。
村の維持・存続のために、流れの狩人との間に少しでも多くの子供を産み落とすのが女のいちばん大事なお役目。わたしはソレが嫌だから、村から出る気満々だった。
 まさか、ご寵愛を賜ったことで妙な付加価値が発生するだなんて思いもしなかったけど、なんにせよ、この国でソレがバレるのは、ヤバすぎ。


「加護者どうしの子供もそうだが、寵児や愛し子が産んだ子供は加護を授かりやすい。逃げて捕まろうが、自ら名乗り出ようが扱いは大差ないだろう」

「なんで、フェリシアが寵児だと決めつけてるの?」

「フォレルーポって、Sランクの魔獣だかんね。俺、十年近く獣魔師やってんけど、まだBランクなんよ」


 凡才だから、Aランクまでしか上がんないとは言え――加護の儀を終えたかどうかって年齢の子供が、Sランクの魔獣を従えてるのは異常の一言だと言って、ピエリスさんは顔をしかめる。
言われてみると、村の大人にもDランクのサルトラーニョ仕立てグモを使役できる人は居なかった。ご寵愛のお陰で一足飛びにAランクになってたから気づかなかったけど、実は、Bランクでも、結構すごいのでは?


「そうでなくとも、子供だけでの旅路は危険しかない」


 ソレは、まぁ、そうかも。
だからこそ、魔神様達はわたし達に聖域をくれたんだし。


「だからこそ、薬神様からの神託が下されたんだと思う」

「え……あ! お前が探してたのって、この子ら?!」

「そうだ」

「えっ、うっそ!?」


 と言うピエリスさんの叫びに続く言葉から、どうやらこの二人組がわたし達の村まで行ってきたらしいことが分かった。分かったのはいいんだけど――


「え……僕たちの村ってハズレ村って名前だったの?」

「知らなかったねぇ……」


 なんというか、ハズレ村ソレが正式名称だったことのほうが衝撃的。
ただ、なんの取り柄もない村だというのをあげつらってるだけだとばかり思ってたよ。


「グラジオラス殿、フェリシア嬢」

「うにゃ?」


 にぃに・・・と小声で囁き合ってたところに、突然あらたまった口調で呼ばれてシッポがピンと伸びる。
クリナムさんは、いつのまにかわたし達の前にひざまずいた姿勢でこっちを見上げてた。


「私は神託を授かって、君たちを保護するために村へと向かったが会うことが叶わず、自らの判断の誤りを思わぬ日はなかった」

「コイツ、神託を受けたあとの道中で医者の真似事をしてせいで会えんかった~ってグチグチグチグチずーっと嘆いてたん」


 クリナムさんの足りない分の言葉、ピエリスさんが補足する。


「だが、こうして相まみえることができたばかりでなく――君たちが、逆に私達を救ってくれた」

「ソレは、まあ……声が聞こえちゃったし――ねぇ?」


 にぃに・・・に同意を求められて、コクコクと頷いた。やる気満々のにぃに・・・を止める気はなかったし、聞こえなかったふりはしづらかったんだけど……


「これは、運命だ」

「「うん、めい……」」

「そう、運命だ。迫りくる危難から、命を賭して君たちを守る。いや、守らせて欲しい」

「「???」」


 ピエリスさんの要約によると、神託を受けたあとに捕まえ損なったわたし達に命を救われたのが『運命』ってやつで、だからこそ命を賭けてでも守りますということらしい。


「どうしよう、にぃに・・・……?」

「え、僕に振られても困るんだけど」


 困惑しつつにぃに・・・を頼ると、困った顔して首を振られた。


「ん~……とりあえず、この国を無事に出るまで付き合ってくれれば満足するかも」


 なんだか断るとめんどくさそうなので、とりあえず、しばらくは一緒に行動してもらうことにしようと思います。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...