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再出発
運命、とは?
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――さてさて、困った。
魔神様は『弟子入り』だなんて気軽におっしゃったけど、初対面の相手にそんなことを申し出る気にはとてもなれない。なにせ、わたしが弟子入りするとしたら薬師のクリナムさんの方が有力候補だ。
ミントの陰から顔を出して様子を伺うと、彼は口論をはじめたピエリスさんとにぃにの仲裁に入るところだった。
「やめろ、ピエリス」
「いやいや、そうはいってもこの子らヤバいっしょ。子供だけで国境に向かってるってことは、逃げる気満々なんだろうけど――」
わたし達の年齢でフォレルーポを使役しているってことは、獣神様もしくはその上位神か眷属神の寵愛を受けているのが確定事項になるらしい。
そのうえこの国は、今、加護者不足に陥っている。
愛し子なり寵児だと思われる存在を、他の国に逃がすわけがないというのが彼の言い分。
――加護を授かったら神殿に入らなきゃいけないっていうのは、そのせいか。
加護者が少なくなってるという話は、誰かから聞いたような気もする。けど、そこまで深刻だとは思ってなかった。なんせ、ウチの村みたいなハズレと呼ばれる場所が存続させてたくらいだもの。
「大方、グーちゃんのかばってる妹ちゃんが寵児っしょ? 逃げそこねて捕まったら、監禁されて子供産ませる道具にされんのがオチだよっ」
「こど……っ!?」
――ソレは、嫌すぎ。
ソレは、わたし達が巫女様から逃げようとしてる理由そのものだ。
村の維持・存続のために、流れの狩人との間に少しでも多くの子供を産み落とすのが女のいちばん大事なお役目。わたしはソレが嫌だから、村から出る気満々だった。
まさか、ご寵愛を賜ったことで妙な付加価値が発生するだなんて思いもしなかったけど、なんにせよ、この国でソレがバレるのは、ヤバすぎ。
「加護者どうしの子供もそうだが、寵児や愛し子が産んだ子供は加護を授かりやすい。逃げて捕まろうが、自ら名乗り出ようが扱いは大差ないだろう」
「なんで、フェリシアが寵児だと決めつけてるの?」
「フォレルーポって、Sランクの魔獣だかんね。俺、十年近く獣魔師やってんけど、まだBランクなんよ」
凡才だから、Aランクまでしか上がんないとは言え――加護の儀を終えたかどうかって年齢の子供が、Sランクの魔獣を従えてるのは異常の一言だと言って、ピエリスさんは顔をしかめる。
言われてみると、村の大人にもDランクのサルトラーニョを使役できる人は居なかった。ご寵愛のお陰で一足飛びにAランクになってたから気づかなかったけど、実は、Bランクでも、結構すごいのでは?
「そうでなくとも、子供だけでの旅路は危険しかない」
ソレは、まぁ、そうかも。
だからこそ、魔神様達はわたし達に聖域をくれたんだし。
「だからこそ、薬神様からの神託が下されたんだと思う」
「え……あ! お前が探してたのって、この子ら?!」
「そうだ」
「えっ、うっそ!?」
と言うピエリスさんの叫びに続く言葉から、どうやらこの二人組がわたし達の村まで行ってきたらしいことが分かった。分かったのはいいんだけど――
「え……僕たちの村ってハズレ村って名前だったの?」
「知らなかったねぇ……」
なんというか、ハズレ村が正式名称だったことのほうが衝撃的。
ただ、なんの取り柄もない村だというのをあげつらってるだけだとばかり思ってたよ。
「グラジオラス殿、フェリシア嬢」
「うにゃ?」
にぃにと小声で囁き合ってたところに、突然あらたまった口調で呼ばれてシッポがピンと伸びる。
クリナムさんは、いつのまにかわたし達の前にひざまずいた姿勢でこっちを見上げてた。
「私は神託を授かって、君たちを保護するために村へと向かったが会うことが叶わず、自らの判断の誤りを思わぬ日はなかった」
「コイツ、神託を受けたあとの道中で医者の真似事をしてせいで会えんかった~ってグチグチグチグチずーっと嘆いてたん」
クリナムさんの足りない分の言葉、ピエリスさんが補足する。
「だが、こうして相まみえることができたばかりでなく――君たちが、逆に私達を救ってくれた」
「ソレは、まあ……声が聞こえちゃったし――ねぇ?」
にぃにに同意を求められて、コクコクと頷いた。やる気満々のにぃにを止める気はなかったし、聞こえなかったふりはしづらかったんだけど……
「これは、運命だ」
「「うん、めい……」」
「そう、運命だ。迫りくる危難から、命を賭して君たちを守る。いや、守らせて欲しい」
「「???」」
ピエリスさんの要約によると、神託を受けたあとに捕まえ損なったわたし達に命を救われたのが『運命』ってやつで、だからこそ命を賭けてでも守りますということらしい。
「どうしよう、にぃに……?」
「え、僕に振られても困るんだけど」
困惑しつつにぃにを頼ると、困った顔して首を振られた。
「ん~……とりあえず、この国を無事に出るまで付き合ってくれれば満足するかも」
なんだか断るとめんどくさそうなので、とりあえず、しばらくは一緒に行動してもらうことにしようと思います。
魔神様は『弟子入り』だなんて気軽におっしゃったけど、初対面の相手にそんなことを申し出る気にはとてもなれない。なにせ、わたしが弟子入りするとしたら薬師のクリナムさんの方が有力候補だ。
ミントの陰から顔を出して様子を伺うと、彼は口論をはじめたピエリスさんとにぃにの仲裁に入るところだった。
「やめろ、ピエリス」
「いやいや、そうはいってもこの子らヤバいっしょ。子供だけで国境に向かってるってことは、逃げる気満々なんだろうけど――」
わたし達の年齢でフォレルーポを使役しているってことは、獣神様もしくはその上位神か眷属神の寵愛を受けているのが確定事項になるらしい。
そのうえこの国は、今、加護者不足に陥っている。
愛し子なり寵児だと思われる存在を、他の国に逃がすわけがないというのが彼の言い分。
――加護を授かったら神殿に入らなきゃいけないっていうのは、そのせいか。
加護者が少なくなってるという話は、誰かから聞いたような気もする。けど、そこまで深刻だとは思ってなかった。なんせ、ウチの村みたいなハズレと呼ばれる場所が存続させてたくらいだもの。
「大方、グーちゃんのかばってる妹ちゃんが寵児っしょ? 逃げそこねて捕まったら、監禁されて子供産ませる道具にされんのがオチだよっ」
「こど……っ!?」
――ソレは、嫌すぎ。
ソレは、わたし達が巫女様から逃げようとしてる理由そのものだ。
村の維持・存続のために、流れの狩人との間に少しでも多くの子供を産み落とすのが女のいちばん大事なお役目。わたしはソレが嫌だから、村から出る気満々だった。
まさか、ご寵愛を賜ったことで妙な付加価値が発生するだなんて思いもしなかったけど、なんにせよ、この国でソレがバレるのは、ヤバすぎ。
「加護者どうしの子供もそうだが、寵児や愛し子が産んだ子供は加護を授かりやすい。逃げて捕まろうが、自ら名乗り出ようが扱いは大差ないだろう」
「なんで、フェリシアが寵児だと決めつけてるの?」
「フォレルーポって、Sランクの魔獣だかんね。俺、十年近く獣魔師やってんけど、まだBランクなんよ」
凡才だから、Aランクまでしか上がんないとは言え――加護の儀を終えたかどうかって年齢の子供が、Sランクの魔獣を従えてるのは異常の一言だと言って、ピエリスさんは顔をしかめる。
言われてみると、村の大人にもDランクのサルトラーニョを使役できる人は居なかった。ご寵愛のお陰で一足飛びにAランクになってたから気づかなかったけど、実は、Bランクでも、結構すごいのでは?
「そうでなくとも、子供だけでの旅路は危険しかない」
ソレは、まぁ、そうかも。
だからこそ、魔神様達はわたし達に聖域をくれたんだし。
「だからこそ、薬神様からの神託が下されたんだと思う」
「え……あ! お前が探してたのって、この子ら?!」
「そうだ」
「えっ、うっそ!?」
と言うピエリスさんの叫びに続く言葉から、どうやらこの二人組がわたし達の村まで行ってきたらしいことが分かった。分かったのはいいんだけど――
「え……僕たちの村ってハズレ村って名前だったの?」
「知らなかったねぇ……」
なんというか、ハズレ村が正式名称だったことのほうが衝撃的。
ただ、なんの取り柄もない村だというのをあげつらってるだけだとばかり思ってたよ。
「グラジオラス殿、フェリシア嬢」
「うにゃ?」
にぃにと小声で囁き合ってたところに、突然あらたまった口調で呼ばれてシッポがピンと伸びる。
クリナムさんは、いつのまにかわたし達の前にひざまずいた姿勢でこっちを見上げてた。
「私は神託を授かって、君たちを保護するために村へと向かったが会うことが叶わず、自らの判断の誤りを思わぬ日はなかった」
「コイツ、神託を受けたあとの道中で医者の真似事をしてせいで会えんかった~ってグチグチグチグチずーっと嘆いてたん」
クリナムさんの足りない分の言葉、ピエリスさんが補足する。
「だが、こうして相まみえることができたばかりでなく――君たちが、逆に私達を救ってくれた」
「ソレは、まあ……声が聞こえちゃったし――ねぇ?」
にぃにに同意を求められて、コクコクと頷いた。やる気満々のにぃにを止める気はなかったし、聞こえなかったふりはしづらかったんだけど……
「これは、運命だ」
「「うん、めい……」」
「そう、運命だ。迫りくる危難から、命を賭して君たちを守る。いや、守らせて欲しい」
「「???」」
ピエリスさんの要約によると、神託を受けたあとに捕まえ損なったわたし達に命を救われたのが『運命』ってやつで、だからこそ命を賭けてでも守りますということらしい。
「どうしよう、にぃに……?」
「え、僕に振られても困るんだけど」
困惑しつつにぃにを頼ると、困った顔して首を振られた。
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