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ブロッキ神国横断中
ピエリス朝から大騒ぎ
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――それにしても、ホントにチビ達の言ってたとおりなんだなぁ……
この国の上層部って、マジ、アタマワリぃ。
んでもって、ネジが色々ぶっ飛んでんだと思う。
でなきゃ、十五歳になる女をみ~んな辺境送りにして、そこで三十になるまでの間、結婚も許さずに旅人のお相手をさせるなんてこと考えつくわきゃない。そうするうちに産まれた子供は、十歳になると男だったら王都でスキルを生かせる職の修行で、女はそのまま辺境で子供を産まされるって――
「あの子らが、やたらと結婚相手について口にするわけだよねぇ……」
加護なしの女にとって、抜け道は『結婚』と『献金』。
誕生月を向かえた瞬間に、兄妹以外の男と婚姻を結びさえすれば辺境ぐらしから逃れることができるらしい。俺にそう教えてくれたねーちゃんは、「アタシはもう、手遅れだけどねぇ」と苦笑してた。
そりゃそうだ。
献金にかかる金額をポンと出せるのは、貴族や豪商くらいなもんだ。平民に生まれついたなら早々に結婚するしか手はないけれど、手頃な相手は排除されてる。実質的には選択肢なんてないも同然だ。
コレで、加護があると男女問わずに種馬・子袋コースまっしぐらって……お先、真っ暗すぎじゃんね。
お国としては、産まれづらくなった加護者をなんとか確保したくって、子供の量産作戦に出たんだろーけど――多分、コレは悪手なんだと思う。
かれこれ五年は旅ぐらしをしているけれど、加護者が多い国ってのは国民を割りと自由にしてるとこが多い。こんな風に人を人として見てないようなトコは、総じて加護者の人数が少なかった。
正直なところ俺としちゃ、生まれ育った国から他の国にチビ達を連れ出すのは、本人たちの希望があったとしても反対だったんだけど――こんな事情があるんじゃ、逃してやるしかないっしょ。
ホントは、この国の中でちゃんと面倒見てくれる養親を見つけてやるのが一番だと思ってたんだけど、しゃーないよね。
可愛いチビ共を、そんな目に合わせるわけにゃいかんって。
日が昇り始めた頃合いに花街を出て宿に戻ると、クリナムが眠そうな顔で扉を開けてくれた。
「おう、おかえり」
「ただ~いまっ……て――うわっ、くっさ!」
どうやらクリナムは夜中に調薬をしていたらしく、部屋の中から漂ってくる臭いに大声を出しそうになった自分の口をふさぐ。
――コイツ、また、換気してないっ!
慌てて中に飛び込んで、部屋中の窓を開けてホッと一息。
「――ってかコレ、チビ達悶絶してないっ!?」
「いや。ずっと私達と一緒だったから気疲れしていたのか、ぐっすり眠っているみたいだ」
「いやいや、ソレはソレでむしろ心配っ」
――あまりの汚臭に睡眠から気絶にモード、切替しちゃってない!?
調薬作業ってやつは割りとひどい匂いがするモンで、慣れないやつにはかな~りキツい。多少離れてる俺だって、今みたいな不意打ち食らうと咳き込むくらいだ。
寝てる間にこんなどぎつい臭いをかがされたチビ達がどんな状態かと想像したら、途端に顔から血の気が引いてく。
「バカっアホっ! クリナムの大うつけっ!!」
呑気な顔で欠伸をしているクリナムを罵り「グーちゃんっ、フェリシアちゃんっ、生きてる……!?」と叫びつつ、チビッコ達の部屋の扉を開けた俺の目に飛び込んできたのは、想定外で最悪な室内の様子。
――チビ達が、いない……!!
「ピエリスっ、部屋を覗くなってグラジオラスが――」
顔色を変えて明後日の方向に文句を言うクリナムを部屋に引き込み、中の様子を見せてやると静かになった。
「クリナム。誰か、来た?」
「いや、誰も来てないし、入れてない」
そりゃそーだ。
調薬中の部屋に忍び込んだやつがいたって、臭いでだいたいダウンする。クリナムが気づかんくても、勝手に自滅すっから……侵入者はいなかったと思っていいはず。
「チビ達、出てった?」
「自分達が出てくるまでドアを開けるなと言って入ったきり、一度も出てきてない」
なんか、コレはチョイ怪しい。
クリナムって、調薬に集中すると話しかけても気づかんし。
「も一度、抜け穴探す。クリナム、ジャマ」
「え、ちょっとひどくないか!?」
なんか、クリナムが文句をいう声が聞こえたけど、それは無視して部屋の中をひっくり返す。
ベッドの上には当然いないし、下にもあるのはホコリだけ。部屋中くまなく床や壁を叩いて歩き、妙な仕掛けや不自然な空洞がないかどうかを確認したけど見つからない。
――やっぱ、クリナムが気づかんうちに本人が出てったんかも……
昨日の夜に聞いた話を思い出すと居ても立っても居られなくって、俺は宿から飛び出した。
この国の上層部って、マジ、アタマワリぃ。
んでもって、ネジが色々ぶっ飛んでんだと思う。
でなきゃ、十五歳になる女をみ~んな辺境送りにして、そこで三十になるまでの間、結婚も許さずに旅人のお相手をさせるなんてこと考えつくわきゃない。そうするうちに産まれた子供は、十歳になると男だったら王都でスキルを生かせる職の修行で、女はそのまま辺境で子供を産まされるって――
「あの子らが、やたらと結婚相手について口にするわけだよねぇ……」
加護なしの女にとって、抜け道は『結婚』と『献金』。
誕生月を向かえた瞬間に、兄妹以外の男と婚姻を結びさえすれば辺境ぐらしから逃れることができるらしい。俺にそう教えてくれたねーちゃんは、「アタシはもう、手遅れだけどねぇ」と苦笑してた。
そりゃそうだ。
献金にかかる金額をポンと出せるのは、貴族や豪商くらいなもんだ。平民に生まれついたなら早々に結婚するしか手はないけれど、手頃な相手は排除されてる。実質的には選択肢なんてないも同然だ。
コレで、加護があると男女問わずに種馬・子袋コースまっしぐらって……お先、真っ暗すぎじゃんね。
お国としては、産まれづらくなった加護者をなんとか確保したくって、子供の量産作戦に出たんだろーけど――多分、コレは悪手なんだと思う。
かれこれ五年は旅ぐらしをしているけれど、加護者が多い国ってのは国民を割りと自由にしてるとこが多い。こんな風に人を人として見てないようなトコは、総じて加護者の人数が少なかった。
正直なところ俺としちゃ、生まれ育った国から他の国にチビ達を連れ出すのは、本人たちの希望があったとしても反対だったんだけど――こんな事情があるんじゃ、逃してやるしかないっしょ。
ホントは、この国の中でちゃんと面倒見てくれる養親を見つけてやるのが一番だと思ってたんだけど、しゃーないよね。
可愛いチビ共を、そんな目に合わせるわけにゃいかんって。
日が昇り始めた頃合いに花街を出て宿に戻ると、クリナムが眠そうな顔で扉を開けてくれた。
「おう、おかえり」
「ただ~いまっ……て――うわっ、くっさ!」
どうやらクリナムは夜中に調薬をしていたらしく、部屋の中から漂ってくる臭いに大声を出しそうになった自分の口をふさぐ。
――コイツ、また、換気してないっ!
慌てて中に飛び込んで、部屋中の窓を開けてホッと一息。
「――ってかコレ、チビ達悶絶してないっ!?」
「いや。ずっと私達と一緒だったから気疲れしていたのか、ぐっすり眠っているみたいだ」
「いやいや、ソレはソレでむしろ心配っ」
――あまりの汚臭に睡眠から気絶にモード、切替しちゃってない!?
調薬作業ってやつは割りとひどい匂いがするモンで、慣れないやつにはかな~りキツい。多少離れてる俺だって、今みたいな不意打ち食らうと咳き込むくらいだ。
寝てる間にこんなどぎつい臭いをかがされたチビ達がどんな状態かと想像したら、途端に顔から血の気が引いてく。
「バカっアホっ! クリナムの大うつけっ!!」
呑気な顔で欠伸をしているクリナムを罵り「グーちゃんっ、フェリシアちゃんっ、生きてる……!?」と叫びつつ、チビッコ達の部屋の扉を開けた俺の目に飛び込んできたのは、想定外で最悪な室内の様子。
――チビ達が、いない……!!
「ピエリスっ、部屋を覗くなってグラジオラスが――」
顔色を変えて明後日の方向に文句を言うクリナムを部屋に引き込み、中の様子を見せてやると静かになった。
「クリナム。誰か、来た?」
「いや、誰も来てないし、入れてない」
そりゃそーだ。
調薬中の部屋に忍び込んだやつがいたって、臭いでだいたいダウンする。クリナムが気づかんくても、勝手に自滅すっから……侵入者はいなかったと思っていいはず。
「チビ達、出てった?」
「自分達が出てくるまでドアを開けるなと言って入ったきり、一度も出てきてない」
なんか、コレはチョイ怪しい。
クリナムって、調薬に集中すると話しかけても気づかんし。
「も一度、抜け穴探す。クリナム、ジャマ」
「え、ちょっとひどくないか!?」
なんか、クリナムが文句をいう声が聞こえたけど、それは無視して部屋の中をひっくり返す。
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