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トレルリ神民国~『普通』を体験してみよう~
常設依頼に挑戦しようっ その1
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モニャモニャウニュニュと悩みつつ連れて行かれた場所には、黒く塗られた大きな板に白墨で書かれた、魔獣の名前と買取価格を覚えようとしている人達で黒山の人だかりが出来ていた。
「アソコに書かれてんのが、『常設依頼』ってヤツ。一応、買い取り上限数はあんだケド、たくさん持ち込まれすぎた場合、翌日の値段が下がるだけってことが多い」
「じゃ、あっちは?」
「あっちは――」
黒い板の横の木札が下がっている場所にあるのは、『指定依頼』。
なにを・いくつ・いつまでに納品しなくてはいけないと言うもので、誰かが依頼を引き受けたら他の人が受注することができなくなる。ただ、たま~に依頼を達成できなくて姿をくらます人もいるらしい。
「まぁ、何回か常設依頼をやってないと引き受けんのはムリっしょ」
どうやら、木札の依頼はヒョイとやって来た流れ者には任せてもらえないものみたいだ。
――たしかに、どこの誰とも分からない人に期日のあるお仕事は頼みづらいかも。
「そしたら、木札の依頼はどんな人が引き受けられるの?」
同じことを疑問に思ったにぃにが訊ねると「斡旋所に登録した狩人なら引き受けられるっぽい」というお返事が返ってきた。この返事と立ち入り許可証を発行してもらった時に聞いたことも併せて考えるなら、斡旋所に登録した人は町の仮住民的な扱いになるんだろう。
なにはともあれ、常設依頼からG・Fランクの魔獣を対象にしたものや、近くで採れる野草や薬草を覚えてから町を出る。
わたしが『普通』について気にしてたのを耳ざとく聞きつけていたピエリスさんの提案で、使っちゃいけないスキルの内容が変更になった。大多数の人は神々のご加護は授からず、属性精霊の加護だけ。『普通』がどんなものかを経験してみるなら、わたしが授かっている過度なご加護を使わないのがイチバンだと言われると返す言葉がない。
変更内容はこんなかんじ。
『従魔禁止』→『ガルゥ 一頭のみ』。
普通は十歳だと、Gランクのガルゥを一頭を従えるのがせいぜいだというのが理由だったので、にぃにのガルゥを一時的に借りることにした。
かわりに追加されたのは『魔法』と『マジックバッグ』の二つを禁止するってこと。
たしかに、わたしに力を貸してくれる精霊さん達は優秀すぎるし、村育ちの子供がマジックバッグなんてもってるわけがない。なるほど納得だ。
あと、ピエリスさんとクリナムさんはついてくるけど、お手伝いはしてくれない。
半年前にはにぃにだって、村が見える場所で採集作業はしていたし(わたしは大概寝込んでた)、村がなくなったあとには二人きりで森をうろついてた。
「「問題ないね」」
と頷いて、『普通』っぽい食肉調達のお仕事にとりかかる。
わたしも、にぃにの邪魔にならないようにするのがお役目です。
護身術と回避術は覚えたけれど、下手に手を出すとにぃにの足を引っ張ることになるので……かわりに、採集系のお仕事はわたしの分担。
お仕事は、適材適所がイチバンだよね。
「解体は、しちゃだめだけど、血抜きは必要」
「薬草は、採ったらすぐに袋に入れる」
「食用の野草は、お口の中に、入れちゃダメ」
「っ!? 入れないよっ!?」
久々のお外に興奮気味のガルゥの後ろを歩き出しながら、にぃにが、やっちゃダメなことを口に出し始めたから、真似して後に続いたら、三つ目でとつぜん妙なことを言い出した。
「フェリシアは、ちゃんと料理してから食べるだろう」
なんて、クリナムさんが生真面目な顔でフォロー(?)にならないフォローをしようとしたもんだから、そっぽを向いて震えてたピエリスさんがブハッと吹き出ししゃがみ込む。よっぽどツボに入ったのか、ヒーヒー言いながら地面を叩いてる。
――息、苦しそうなんだけど、大丈夫かな……?
まあ、笑っているだけだから平気ってことにして、にぃにに向かって口をとがらす。
「お仕事で集めるものを食べたりなんかしないよ」
「そう? 『どんな味するのかな?』なんて言いつつ、味見する姿しか思い浮かばないんだけど」
「むむむ……そういうのは、ちゃんと別で確保すればいいでしょ?」
「やっぱり食べる気満々じゃない」
「じゃあ、その時はにぃにの分はなしってことで」
わたしの言い分を鼻で笑うもんだから、憎まれ口を返してやると「ええ~っ!?」と抗議の声が返ってくる。
「クリナムさんは食べるよね」
「喜んで」
穏やかにうなずくクリナムさんの後ろで、やっと笑いの発作から立ち直ったピエリスさんが「俺のはっ?!」とわめくのに「ピエリスさんにも食べさせたげる」と請け合う。にぃにがほっぺを膨らませてるのは見ないふり。
――ほんとに食べさせないとかはしないしね。
美味しいものは、みんなで食べるから美味しいのです。
「アソコに書かれてんのが、『常設依頼』ってヤツ。一応、買い取り上限数はあんだケド、たくさん持ち込まれすぎた場合、翌日の値段が下がるだけってことが多い」
「じゃ、あっちは?」
「あっちは――」
黒い板の横の木札が下がっている場所にあるのは、『指定依頼』。
なにを・いくつ・いつまでに納品しなくてはいけないと言うもので、誰かが依頼を引き受けたら他の人が受注することができなくなる。ただ、たま~に依頼を達成できなくて姿をくらます人もいるらしい。
「まぁ、何回か常設依頼をやってないと引き受けんのはムリっしょ」
どうやら、木札の依頼はヒョイとやって来た流れ者には任せてもらえないものみたいだ。
――たしかに、どこの誰とも分からない人に期日のあるお仕事は頼みづらいかも。
「そしたら、木札の依頼はどんな人が引き受けられるの?」
同じことを疑問に思ったにぃにが訊ねると「斡旋所に登録した狩人なら引き受けられるっぽい」というお返事が返ってきた。この返事と立ち入り許可証を発行してもらった時に聞いたことも併せて考えるなら、斡旋所に登録した人は町の仮住民的な扱いになるんだろう。
なにはともあれ、常設依頼からG・Fランクの魔獣を対象にしたものや、近くで採れる野草や薬草を覚えてから町を出る。
わたしが『普通』について気にしてたのを耳ざとく聞きつけていたピエリスさんの提案で、使っちゃいけないスキルの内容が変更になった。大多数の人は神々のご加護は授からず、属性精霊の加護だけ。『普通』がどんなものかを経験してみるなら、わたしが授かっている過度なご加護を使わないのがイチバンだと言われると返す言葉がない。
変更内容はこんなかんじ。
『従魔禁止』→『ガルゥ 一頭のみ』。
普通は十歳だと、Gランクのガルゥを一頭を従えるのがせいぜいだというのが理由だったので、にぃにのガルゥを一時的に借りることにした。
かわりに追加されたのは『魔法』と『マジックバッグ』の二つを禁止するってこと。
たしかに、わたしに力を貸してくれる精霊さん達は優秀すぎるし、村育ちの子供がマジックバッグなんてもってるわけがない。なるほど納得だ。
あと、ピエリスさんとクリナムさんはついてくるけど、お手伝いはしてくれない。
半年前にはにぃにだって、村が見える場所で採集作業はしていたし(わたしは大概寝込んでた)、村がなくなったあとには二人きりで森をうろついてた。
「「問題ないね」」
と頷いて、『普通』っぽい食肉調達のお仕事にとりかかる。
わたしも、にぃにの邪魔にならないようにするのがお役目です。
護身術と回避術は覚えたけれど、下手に手を出すとにぃにの足を引っ張ることになるので……かわりに、採集系のお仕事はわたしの分担。
お仕事は、適材適所がイチバンだよね。
「解体は、しちゃだめだけど、血抜きは必要」
「薬草は、採ったらすぐに袋に入れる」
「食用の野草は、お口の中に、入れちゃダメ」
「っ!? 入れないよっ!?」
久々のお外に興奮気味のガルゥの後ろを歩き出しながら、にぃにが、やっちゃダメなことを口に出し始めたから、真似して後に続いたら、三つ目でとつぜん妙なことを言い出した。
「フェリシアは、ちゃんと料理してから食べるだろう」
なんて、クリナムさんが生真面目な顔でフォロー(?)にならないフォローをしようとしたもんだから、そっぽを向いて震えてたピエリスさんがブハッと吹き出ししゃがみ込む。よっぽどツボに入ったのか、ヒーヒー言いながら地面を叩いてる。
――息、苦しそうなんだけど、大丈夫かな……?
まあ、笑っているだけだから平気ってことにして、にぃにに向かって口をとがらす。
「お仕事で集めるものを食べたりなんかしないよ」
「そう? 『どんな味するのかな?』なんて言いつつ、味見する姿しか思い浮かばないんだけど」
「むむむ……そういうのは、ちゃんと別で確保すればいいでしょ?」
「やっぱり食べる気満々じゃない」
「じゃあ、その時はにぃにの分はなしってことで」
わたしの言い分を鼻で笑うもんだから、憎まれ口を返してやると「ええ~っ!?」と抗議の声が返ってくる。
「クリナムさんは食べるよね」
「喜んで」
穏やかにうなずくクリナムさんの後ろで、やっと笑いの発作から立ち直ったピエリスさんが「俺のはっ?!」とわめくのに「ピエリスさんにも食べさせたげる」と請け合う。にぃにがほっぺを膨らませてるのは見ないふり。
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