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トレルリ神民国~魔道具師のたまご~
魔道具講師 六日目 ~サロ君とお買い物~
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昨日の露店売上は、わたしが銅貨百八十六枚でにぃにが大銅貨十三枚に銅貨三枚。
やっぱり、お札はほとんど残らなかった。
――嬉しいんだけど、嬉しくない。
微妙な気分です。
「んで、今日はなんで外に出てるんだ?」
「魔道具を作るのに必要な道具を見に行くためですっ」
にぃにはジャン君と弓や槍を作る作業に取り掛かり、クリナムさんはお薬作りに没頭してる。必然的にお暇になったピエリスさんが、お買い物に着いてきてくれることになった。
「じゃあ、なんでウサミミ兄さんがくっついてくんの?」
「フェリシアちゃんがうっかり拐われでもしたら、クリナムは号泣すんだろ~し、グーちゃんが大暴れしそうだかんね。ウチ、過保護なんよ」
「拐うって……そんなんするヤツ、いないだろ」
「一個前の国が、加護の儀前の子供を親から取り上げるようなトコだったかんね。しゃーないっしょ」
「んな国、あってたまっか!」
ヘラヘラと笑いながら答えるピエリスさんに、ムッとした表情で言い捨てて、サロ君はわたしの手を取り歩き出す。
この反応からすると、ウチの国ってだいぶおかしかったんだと納得するしかないね。
残念なことに、そういう国が実在してたんですよ。サロ君。
「魔道具屋?」
「行きつけのお店があるなら、そこから行ってみよっか」
「なら、コッチだ」
スタスタと早足に進んでいくサロ君だけど、わたしの足はそんなに長くない。ついていけずに転びかけると、ピエリスさんがサッとサロ君とは反対側の手を取りバランスをとってくれた。
「ありがと、ピエリスさん」
「ど~いたま~」
わたしが転びかけたことでサロ君も歩調を緩めてくれて、テクテク歩きながら細い路地に並ぶお店の説明をしはじめる。いままでは大通り沿いの店しか覗いてこなかったから、ちょっと新鮮だ。
「ここが、ウチ――っていうか、このへんに住んでるヤツがよく使う札屋」
サロ君が足を止めたのは、路地裏にある小さなお店。
お札専門店らしく、扉には『ご要望のお札、作ります』という板が掛けられている。
「いらっしゃい……お使いかい?」
扉の開く音に顔を上げたのは、カウンターで書き物をしていた年嵩の女性だ。
彼女の後ろにある棚にはケースが山積みになっているから、きっとその中に商品のお札が入っているんだろう。
「えっと――」
「あのね、おばさんっ。わたし達、加護の儀でね、魔道具作成スキルを授かったのっ」
「おやおや、それはすごいね」
「でねでね、ウチでは子供がお札に触っちゃダメって言われちゃうから、本物のお札が見たくって……」
モジモジしながら上目遣いに見上げて、愛想笑いを浮かべ、小さく首をかしげて見せる。
「触らないから、ちょっとだけ見せてもらうことって出来ないかなぁ……?」
「……仕方ないねぇ。ちょっとだけだよ」
おばさんは思ったよりもアッサリと何種類も見せてくれた上に、キチンと作られたお札の見分け方だけでなく、自分の店でいつも使っているという仕入先まで教えてくれて――なんだか、申し訳なかったかも。
お札屋さんを出てしばらくしたところで、ピエリスさんが「ちょっと待って、俺、もう限界っ」と言って道の端っこにうずくまった。
「うにゅ?」
もしや、まだ体調が怪しいのかとドキビクしながら、肩を震わすピエリスさんの顔を覗き込むと……声を出さずに笑ってる。しかも、笑いの発作を堪らえきれてないのか、涙目だ。
「何故にっ!?」
「いや……さっきのブリっ子キャラがツボに入ったんだろ……。俺はドン引きしたけど」
「ひどっ!? どこにドン引く要素が!?」
「普段とのギャップがひどすぎ。キモい」
あんまりと言えばあんまりな言い方だ。
普段とのギャップがあるのは間違いないけど、そんな言い方をしなくてもいいと思いますっ。
「わたし、顔は可愛いよね?」
「自分で言うな、アホ」
「えええええっ!? ソレしか取り柄がないのにっ」
にぃにと似てるはずなので、顔だけはいいはずだと主張すると、サロ君は深いふか~いため息を付いてピエリスさんを見る。ピエリスさんは、またしてもわたしの発言のナニかに笑いのツボを刺激されたらしく、地面をたたきながら笑ってた。
「むぅうっ」
プンスカプンですよっ!
やっぱり、お札はほとんど残らなかった。
――嬉しいんだけど、嬉しくない。
微妙な気分です。
「んで、今日はなんで外に出てるんだ?」
「魔道具を作るのに必要な道具を見に行くためですっ」
にぃにはジャン君と弓や槍を作る作業に取り掛かり、クリナムさんはお薬作りに没頭してる。必然的にお暇になったピエリスさんが、お買い物に着いてきてくれることになった。
「じゃあ、なんでウサミミ兄さんがくっついてくんの?」
「フェリシアちゃんがうっかり拐われでもしたら、クリナムは号泣すんだろ~し、グーちゃんが大暴れしそうだかんね。ウチ、過保護なんよ」
「拐うって……そんなんするヤツ、いないだろ」
「一個前の国が、加護の儀前の子供を親から取り上げるようなトコだったかんね。しゃーないっしょ」
「んな国、あってたまっか!」
ヘラヘラと笑いながら答えるピエリスさんに、ムッとした表情で言い捨てて、サロ君はわたしの手を取り歩き出す。
この反応からすると、ウチの国ってだいぶおかしかったんだと納得するしかないね。
残念なことに、そういう国が実在してたんですよ。サロ君。
「魔道具屋?」
「行きつけのお店があるなら、そこから行ってみよっか」
「なら、コッチだ」
スタスタと早足に進んでいくサロ君だけど、わたしの足はそんなに長くない。ついていけずに転びかけると、ピエリスさんがサッとサロ君とは反対側の手を取りバランスをとってくれた。
「ありがと、ピエリスさん」
「ど~いたま~」
わたしが転びかけたことでサロ君も歩調を緩めてくれて、テクテク歩きながら細い路地に並ぶお店の説明をしはじめる。いままでは大通り沿いの店しか覗いてこなかったから、ちょっと新鮮だ。
「ここが、ウチ――っていうか、このへんに住んでるヤツがよく使う札屋」
サロ君が足を止めたのは、路地裏にある小さなお店。
お札専門店らしく、扉には『ご要望のお札、作ります』という板が掛けられている。
「いらっしゃい……お使いかい?」
扉の開く音に顔を上げたのは、カウンターで書き物をしていた年嵩の女性だ。
彼女の後ろにある棚にはケースが山積みになっているから、きっとその中に商品のお札が入っているんだろう。
「えっと――」
「あのね、おばさんっ。わたし達、加護の儀でね、魔道具作成スキルを授かったのっ」
「おやおや、それはすごいね」
「でねでね、ウチでは子供がお札に触っちゃダメって言われちゃうから、本物のお札が見たくって……」
モジモジしながら上目遣いに見上げて、愛想笑いを浮かべ、小さく首をかしげて見せる。
「触らないから、ちょっとだけ見せてもらうことって出来ないかなぁ……?」
「……仕方ないねぇ。ちょっとだけだよ」
おばさんは思ったよりもアッサリと何種類も見せてくれた上に、キチンと作られたお札の見分け方だけでなく、自分の店でいつも使っているという仕入先まで教えてくれて――なんだか、申し訳なかったかも。
お札屋さんを出てしばらくしたところで、ピエリスさんが「ちょっと待って、俺、もう限界っ」と言って道の端っこにうずくまった。
「うにゅ?」
もしや、まだ体調が怪しいのかとドキビクしながら、肩を震わすピエリスさんの顔を覗き込むと……声を出さずに笑ってる。しかも、笑いの発作を堪らえきれてないのか、涙目だ。
「何故にっ!?」
「いや……さっきのブリっ子キャラがツボに入ったんだろ……。俺はドン引きしたけど」
「ひどっ!? どこにドン引く要素が!?」
「普段とのギャップがひどすぎ。キモい」
あんまりと言えばあんまりな言い方だ。
普段とのギャップがあるのは間違いないけど、そんな言い方をしなくてもいいと思いますっ。
「わたし、顔は可愛いよね?」
「自分で言うな、アホ」
「えええええっ!? ソレしか取り柄がないのにっ」
にぃにと似てるはずなので、顔だけはいいはずだと主張すると、サロ君は深いふか~いため息を付いてピエリスさんを見る。ピエリスさんは、またしてもわたしの発言のナニかに笑いのツボを刺激されたらしく、地面をたたきながら笑ってた。
「むぅうっ」
プンスカプンですよっ!
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