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トレルリ神民国~魔道具師のたまご~
魔道具講師 六日目 ~サロ君とお買い物~ その2
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ピエリスさんの笑いの発作がおさまったあと、わたしとサロ君は、お札屋さんに教えてもらった素材屋さんを覗いて回った。大通りにあった紙屋さんよりも一段質の低いEランクの藁紙を手に入れられたのが、わたしとしては今のところで一番の収穫だ。そして今――
「お嬢ちゃん。コレは、どこで手に入れた?」
筆の材料を持ち込みで注文できないかと聞いたところで、筆記用具屋さんのおじさんに青い顔で詰め寄られてる。
「え? え……??」
――なんでこの人、こんなに怖い顔してんの??
掴みかからんばかりに距離を詰めてきたおじさんにビックリだ。
そして、引きつった笑顔と血走った目が、メッチャ怖いっ。
「ああ。ブロッキ神国の森ん中で薬草探してたときに見っけたやつっしょ」
あまりの強さに固まったところで、ピエリスさんが割って入ってくれて、ホッと体の力が抜ける。チョイチョイと指先で自分の後ろに回るように指示されたことをありがたく思いつつ、ピエリスさんの背中に隠れさせてもらった。
「ブロッキ神国ぅ?」
「そ。北にまっすぐ行ったとこの山を越えた先にあって――」
ピエリスさんが口先三寸でお相手を煙に巻くのを聞きながら、その嘘っぱちな内容にニヤけそうになる口を軽く握った拳で隠す。
――ソレ、ミントの抜け毛ですよ?
それなのに、北の国で薬草採集をしてて見つけた凶暴な魔獣の痕跡に大慌てで逃げ出したなんてお話してる。語り口が上手いのか、気がついたらお店のおじさんだけでなく、他のお客さんまでが固唾を飲んで話に聞き入っていた。
ピエリスさんに言い包められたおじさんに、ミントの毛とフルーツトレントの枝を渡して筆作りを依頼したら、お次は夏の門方面へ移動する。
お目当てのお店は、この間、髪留めパーツを大量購入した金物屋さん。
あそこのお兄さんが親切に色々と教えてくれたので、のちのちの事を考えてサロ君のことをご紹介しておくつもりなのだ。サロ君だって、ある程度自分の技量が上がってくれば金属系の魔道具に興味が出てくるはず。
男の子って武具類が好きらしいし、彫金体験のときは他の作業よりも真剣だった。
なので、かなりの確率でそうなると思う。
「おに~さ~ん♪」
店の中を覗いてみると、お目当てのお兄さんがいたのでサロ君の手を引っ張って中に入る。
「お? 今日はカレシと一緒かぁ」
おませさんだなぁと笑うお兄さんに違うと否定しつつ、ご紹介っ。
「魔道具師見習いの、サロ君ですっ! 数年後にはお得意さんになるかもっ」
「おおお、そりゃあ楽しみだ。ヨロシクな、未来の大魔道具師さん」
「え? あ? いや……その、ヨロシクオネガイシマス……」
何故かカチコチになって頭を下げるサロ君を、微笑ましいものを見るような目で見てから、お兄さんはわたしのほうに視線を戻す。
「なんかウズウズしてっけど、もしかして、この間買ってったヤツでなんか作った?」
「ニシシシシ~♪ お兄さん、分かってるぅ~♪」
「ホレホレ、見せてみろ」と言わんばかりに差し出された手の上に、お花を彫ったバレッタを乗せる。彫金の技術はまだまだだけど、はじめて作ったアクセサリーだ。
出来ることなら、褒めて欲しい。
「こりゃあ……魔道具か?」
「うにうに♪」
「――道具を買い込んでいったのは、三日前だよなぁ……」
なんか、ショックを受けたような表情で呟くお兄さんに、ワクワク・ドキドキしてた気持ちがしぼんでく。
――ダメダメだったかな……?
評価するにも足りなかっただろうかと、ザワザワどよんとした気分になって、お耳がぺったり頭に張り付く。ションボリ悲しい気分になって、視線を下に向けた瞬間、サロ君に背中をバンと叩かれて零れそうになってた涙が引っ込んだ。
「アホ。そっちじゃねーよっ」
「うにゅ……?」
――じゃあ、なんだろう?
答えを求めてお兄さんに視線を戻すと、彼は「あっ」と小さく叫んで、慌てた様子で言い訳を始める。
「あ、いや。違うっ! デキが良いとか悪いとかそういうんじゃなく……まあ、まだまだ技術自体はつたないけどな? たったの三日で、キチンと見れる作品を作ってくるのってやっぱ才能なのかなとかそういう……な? 自分の技術不足とかセンスの無さとか、そういうのにショックを受けたたっつーか……そういうのだっ」
アワアワと、いっぱいいっぱいな様子で言い連ねるのを聞きながら首を傾げて、も一度見上げた。
「んじゃ、はじめてとしては……?」
「上出来だっ!」
返ってきたお返事にホッとして、口元が緩む。
お兄さんには、たくさんたくさん頭をワシャワシャされて、何度も何度も謝られたけど――初心者にしては、上手にできてたらなら、ソレでいいやと思います。
「お嬢ちゃん。コレは、どこで手に入れた?」
筆の材料を持ち込みで注文できないかと聞いたところで、筆記用具屋さんのおじさんに青い顔で詰め寄られてる。
「え? え……??」
――なんでこの人、こんなに怖い顔してんの??
掴みかからんばかりに距離を詰めてきたおじさんにビックリだ。
そして、引きつった笑顔と血走った目が、メッチャ怖いっ。
「ああ。ブロッキ神国の森ん中で薬草探してたときに見っけたやつっしょ」
あまりの強さに固まったところで、ピエリスさんが割って入ってくれて、ホッと体の力が抜ける。チョイチョイと指先で自分の後ろに回るように指示されたことをありがたく思いつつ、ピエリスさんの背中に隠れさせてもらった。
「ブロッキ神国ぅ?」
「そ。北にまっすぐ行ったとこの山を越えた先にあって――」
ピエリスさんが口先三寸でお相手を煙に巻くのを聞きながら、その嘘っぱちな内容にニヤけそうになる口を軽く握った拳で隠す。
――ソレ、ミントの抜け毛ですよ?
それなのに、北の国で薬草採集をしてて見つけた凶暴な魔獣の痕跡に大慌てで逃げ出したなんてお話してる。語り口が上手いのか、気がついたらお店のおじさんだけでなく、他のお客さんまでが固唾を飲んで話に聞き入っていた。
ピエリスさんに言い包められたおじさんに、ミントの毛とフルーツトレントの枝を渡して筆作りを依頼したら、お次は夏の門方面へ移動する。
お目当てのお店は、この間、髪留めパーツを大量購入した金物屋さん。
あそこのお兄さんが親切に色々と教えてくれたので、のちのちの事を考えてサロ君のことをご紹介しておくつもりなのだ。サロ君だって、ある程度自分の技量が上がってくれば金属系の魔道具に興味が出てくるはず。
男の子って武具類が好きらしいし、彫金体験のときは他の作業よりも真剣だった。
なので、かなりの確率でそうなると思う。
「おに~さ~ん♪」
店の中を覗いてみると、お目当てのお兄さんがいたのでサロ君の手を引っ張って中に入る。
「お? 今日はカレシと一緒かぁ」
おませさんだなぁと笑うお兄さんに違うと否定しつつ、ご紹介っ。
「魔道具師見習いの、サロ君ですっ! 数年後にはお得意さんになるかもっ」
「おおお、そりゃあ楽しみだ。ヨロシクな、未来の大魔道具師さん」
「え? あ? いや……その、ヨロシクオネガイシマス……」
何故かカチコチになって頭を下げるサロ君を、微笑ましいものを見るような目で見てから、お兄さんはわたしのほうに視線を戻す。
「なんかウズウズしてっけど、もしかして、この間買ってったヤツでなんか作った?」
「ニシシシシ~♪ お兄さん、分かってるぅ~♪」
「ホレホレ、見せてみろ」と言わんばかりに差し出された手の上に、お花を彫ったバレッタを乗せる。彫金の技術はまだまだだけど、はじめて作ったアクセサリーだ。
出来ることなら、褒めて欲しい。
「こりゃあ……魔道具か?」
「うにうに♪」
「――道具を買い込んでいったのは、三日前だよなぁ……」
なんか、ショックを受けたような表情で呟くお兄さんに、ワクワク・ドキドキしてた気持ちがしぼんでく。
――ダメダメだったかな……?
評価するにも足りなかっただろうかと、ザワザワどよんとした気分になって、お耳がぺったり頭に張り付く。ションボリ悲しい気分になって、視線を下に向けた瞬間、サロ君に背中をバンと叩かれて零れそうになってた涙が引っ込んだ。
「アホ。そっちじゃねーよっ」
「うにゅ……?」
――じゃあ、なんだろう?
答えを求めてお兄さんに視線を戻すと、彼は「あっ」と小さく叫んで、慌てた様子で言い訳を始める。
「あ、いや。違うっ! デキが良いとか悪いとかそういうんじゃなく……まあ、まだまだ技術自体はつたないけどな? たったの三日で、キチンと見れる作品を作ってくるのってやっぱ才能なのかなとかそういう……な? 自分の技術不足とかセンスの無さとか、そういうのにショックを受けたたっつーか……そういうのだっ」
アワアワと、いっぱいいっぱいな様子で言い連ねるのを聞きながら首を傾げて、も一度見上げた。
「んじゃ、はじめてとしては……?」
「上出来だっ!」
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