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トレルリ神民国~魔道具師のたまご~
魔道具講師 七日目
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「さてさて、昨日は魔道具作りに最低限必要な素材や道具を売ってるお店を巡りましたっ」
魔道具講師も、今日で七日目。
お宿を引き払うのが今日を含めて四日後で、明後日は、最後の買い出しをする予定になってる。なので、指導時間は今日と明日の二日間だけ。
「本日は、今までに体験してもらった作成方法の応用方法……というか、抜け道的な方法を教えちゃいますっ」
「むしろ、そんな方法があるんだったら最初から知りたかったんだけど」
ご不満そうに口をとがらすサロ君の反応は、予想通りだ。
「気持ちはわかるけどね、サロ君。最初から搦め手を覚えちゃうと、応用がきかなくなるからダメなんだって」
もちろん、コレも魔神様の受け売りです。
「んで、応用って?」
「こないだもチラッと話したけど、『他人にやらせる』方法です。魔道具スキルをもってない人に、魔道具を作りを手伝わせる方法って言い換えても良いそうなんだけど――」
この世界、魔道具を作るためには基本的に『魔道具作成』スキルが必要になる。
スキル保持者以外がどんなにキレイに魔法文字を真似てみても、魔道具としては成立しないのだ。その辺の理屈も教わったんだけど、わたしにはちょっと難しすぎて説明が右から左に抜けてったんだけど……まあ、『魔道具師以外は作れない』とみんなが認識してる常識だと考えればいいらしい。
「今までやってきた中で、サロ君が自分で『無理』って思ったのは『刺繍』『彫り』のどっち?」
「『書く』のは入んないんだ?」
「ソレは基本なので、書くのが無理なら魔道具師になるのは諦めるしかないよ」
なんせ、『他人にやらせる』には下書きが必要になるんで。
サロ君は「うぇえ……」と呟きつつ、頭を掻いた。どうやら、出来ることなら書くのも避けたいっぽいけど――諦めろ。大体、書くことすらもしないなら、ただの魔素体作成係もしくは魔石職人にしかなれないし。
――そういや、ベース素材や魔石だけを作ってる人もいそうだよね。
ただし、下働きとして。
やりようによっては、ソレで生計も立てれれなくもないだろうけど……紙屋さんや金属素材屋さんはあったけど、魔化素材屋さんはなかった。新ジャンルのお店となると、ちょっと難しいかも。
なんせ、サロ君。まだ10歳だし。
特別な後ろ盾があるわけでもないものね。
「ん~……正直、『刺繍』も『彫り』も難しいと思う」
わたしが思考を飛ばしている間に、一生懸命考えていたサロ君は答えをソレに決めたらしい。
「まあ、そうだよね」
「フェリシアに言われると、メチャクチャ凹む……」
アッサリと納得したわたしに、なぜかガックリうなだれるサロ君だけど――
「むしろ、サロ君のほうが普通だよ?」
普通は、わたしみたいに奉納ポイントとスキルを交換するなんて真似はできないし。
「俺も、自分のほうが普通だと思う。フェリシアは、言いたかないけど異常だよ」
「そんな、ため息交じりにしみじみと言われると、傷つくんだけど……」
慰めるつもりで言ったのになぜか貶められるとは……なんとも釈然としない反応だと思いつつ話を続ける。
才能があってもなくても、長く挑戦し続ければスキルは発現するもんらしいんだけど、そこまで努力を続けられる人なんてそう多くはないそうだ。
そこまで努力しても、Gランクなものしか作れない人もザラらしい。
「どんなに才能がなくても、スキル化に成功すれば作業時間が半分以下になるからね。長い目で見たら、苦手なりに挑戦しといたほうがいいよ」
「あ~……うん。それは、おいおい頑張ってみるよ」
――サロ君ってば、想像しただけで目が死んでる。
家の仕事を手伝わなきゃいけないサロ君に、自分の自由になる時間は少ないはずだから、気持ちは分からないでもない。でも、わたしに出来るのは、無責任に応援することだけです。
「さて、話を戻そっか」
「おう」
「前にも話した通りなんだけど、要は『自分で出来ないなら他人にやらせよう』ってこと。具体的には、お金を払って苦手な作業を代行してもらえばいいの」
『彫り』なら、木彫り・彫金なんかのスキルをもっている人に、魔化した素材に下書きをした上で彫ってもらう。仕上げの魔石インクを彫った部分に充填したり、動力源になる魔石を取り付ければ魔道具の完成だ。
『刺繍』の場合は、糸と生地の両方が魔化素材なので全ての文字を刺してもらってしまうとモノによってはソレだけで魔道具が完成してしまう。着用者の余剰魔力で起動する『服』などの魔石を取り付けずにすむモノがそのタイプで、そういった場合には最初か最後の1文字分の下書きを省いた状態で刺してもらえばいい。
魔石を付けなければいけないマジッグバッグなどは、すべて刺してもらっても大丈夫だ。
「ソレだと、素材を持ち逃げされたりしないか?」
「魔化素材を持ち逃げされるリスクはあるかもしれないけど、自分で彫るよりずっと早く出来上がるし、その間にお札を書くなり魔石を作るなりする時間がとれるのが魅力的じゃない?」
「あ~……そっか。そういう考え方もあるかぁ」
お針子志望の妹・リアーナちゃんの他にも、木工スキル持ちの次兄・ジャン君がいるサロ君はそういう目で見るととても恵まれてると思う。
まあ、家族にお願いする以外でも、門の近くで露天を開いているお仲間に小銭を渡して依頼する方法も提案しとく。実はこの案、昨日の晩ににぃにと話してるときに言われて感動した案なのだ。
次にどっかの町で露店を出すときには、わたしも試してみようと思ってます。
魔道具講師も、今日で七日目。
お宿を引き払うのが今日を含めて四日後で、明後日は、最後の買い出しをする予定になってる。なので、指導時間は今日と明日の二日間だけ。
「本日は、今までに体験してもらった作成方法の応用方法……というか、抜け道的な方法を教えちゃいますっ」
「むしろ、そんな方法があるんだったら最初から知りたかったんだけど」
ご不満そうに口をとがらすサロ君の反応は、予想通りだ。
「気持ちはわかるけどね、サロ君。最初から搦め手を覚えちゃうと、応用がきかなくなるからダメなんだって」
もちろん、コレも魔神様の受け売りです。
「んで、応用って?」
「こないだもチラッと話したけど、『他人にやらせる』方法です。魔道具スキルをもってない人に、魔道具を作りを手伝わせる方法って言い換えても良いそうなんだけど――」
この世界、魔道具を作るためには基本的に『魔道具作成』スキルが必要になる。
スキル保持者以外がどんなにキレイに魔法文字を真似てみても、魔道具としては成立しないのだ。その辺の理屈も教わったんだけど、わたしにはちょっと難しすぎて説明が右から左に抜けてったんだけど……まあ、『魔道具師以外は作れない』とみんなが認識してる常識だと考えればいいらしい。
「今までやってきた中で、サロ君が自分で『無理』って思ったのは『刺繍』『彫り』のどっち?」
「『書く』のは入んないんだ?」
「ソレは基本なので、書くのが無理なら魔道具師になるのは諦めるしかないよ」
なんせ、『他人にやらせる』には下書きが必要になるんで。
サロ君は「うぇえ……」と呟きつつ、頭を掻いた。どうやら、出来ることなら書くのも避けたいっぽいけど――諦めろ。大体、書くことすらもしないなら、ただの魔素体作成係もしくは魔石職人にしかなれないし。
――そういや、ベース素材や魔石だけを作ってる人もいそうだよね。
ただし、下働きとして。
やりようによっては、ソレで生計も立てれれなくもないだろうけど……紙屋さんや金属素材屋さんはあったけど、魔化素材屋さんはなかった。新ジャンルのお店となると、ちょっと難しいかも。
なんせ、サロ君。まだ10歳だし。
特別な後ろ盾があるわけでもないものね。
「ん~……正直、『刺繍』も『彫り』も難しいと思う」
わたしが思考を飛ばしている間に、一生懸命考えていたサロ君は答えをソレに決めたらしい。
「まあ、そうだよね」
「フェリシアに言われると、メチャクチャ凹む……」
アッサリと納得したわたしに、なぜかガックリうなだれるサロ君だけど――
「むしろ、サロ君のほうが普通だよ?」
普通は、わたしみたいに奉納ポイントとスキルを交換するなんて真似はできないし。
「俺も、自分のほうが普通だと思う。フェリシアは、言いたかないけど異常だよ」
「そんな、ため息交じりにしみじみと言われると、傷つくんだけど……」
慰めるつもりで言ったのになぜか貶められるとは……なんとも釈然としない反応だと思いつつ話を続ける。
才能があってもなくても、長く挑戦し続ければスキルは発現するもんらしいんだけど、そこまで努力を続けられる人なんてそう多くはないそうだ。
そこまで努力しても、Gランクなものしか作れない人もザラらしい。
「どんなに才能がなくても、スキル化に成功すれば作業時間が半分以下になるからね。長い目で見たら、苦手なりに挑戦しといたほうがいいよ」
「あ~……うん。それは、おいおい頑張ってみるよ」
――サロ君ってば、想像しただけで目が死んでる。
家の仕事を手伝わなきゃいけないサロ君に、自分の自由になる時間は少ないはずだから、気持ちは分からないでもない。でも、わたしに出来るのは、無責任に応援することだけです。
「さて、話を戻そっか」
「おう」
「前にも話した通りなんだけど、要は『自分で出来ないなら他人にやらせよう』ってこと。具体的には、お金を払って苦手な作業を代行してもらえばいいの」
『彫り』なら、木彫り・彫金なんかのスキルをもっている人に、魔化した素材に下書きをした上で彫ってもらう。仕上げの魔石インクを彫った部分に充填したり、動力源になる魔石を取り付ければ魔道具の完成だ。
『刺繍』の場合は、糸と生地の両方が魔化素材なので全ての文字を刺してもらってしまうとモノによってはソレだけで魔道具が完成してしまう。着用者の余剰魔力で起動する『服』などの魔石を取り付けずにすむモノがそのタイプで、そういった場合には最初か最後の1文字分の下書きを省いた状態で刺してもらえばいい。
魔石を付けなければいけないマジッグバッグなどは、すべて刺してもらっても大丈夫だ。
「ソレだと、素材を持ち逃げされたりしないか?」
「魔化素材を持ち逃げされるリスクはあるかもしれないけど、自分で彫るよりずっと早く出来上がるし、その間にお札を書くなり魔石を作るなりする時間がとれるのが魅力的じゃない?」
「あ~……そっか。そういう考え方もあるかぁ」
お針子志望の妹・リアーナちゃんの他にも、木工スキル持ちの次兄・ジャン君がいるサロ君はそういう目で見るととても恵まれてると思う。
まあ、家族にお願いする以外でも、門の近くで露天を開いているお仲間に小銭を渡して依頼する方法も提案しとく。実はこの案、昨日の晩ににぃにと話してるときに言われて感動した案なのだ。
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