隠していない隠し部屋

jun

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2年後

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「かあたま、おはよ」

エルビオの可愛い挨拶に癒される私は今、ベッドの上でげっそりしている。
私エルザは今妊娠2ヶ月、悪阻の真っ最中。
ほとんどの食べ物を受け付けない、水すら味があるように感じ、レモン水しか口に出来ない。唯一食べられる物はスープのみ。具は野菜と鶏肉。

「エルビオ、おはよう。今日もお父様と剣のお稽古してきたの?」

「うん!とうたまにほめられた!」

私が攫われたあの時からシルビオは剣を習い始めた。
お父様やヤーコフ、そして私が暇を見て相手をしていたが、本格的にやりたいのならとお父様が私の剣の師匠とも言える、我が家の元執事をしていたエルウィンが、ヒーナス家に指導に来てくれている。
シルビオは一時、
「辛い・・・言葉の暴力が酷くて泣きそう・・・」
と弱音を吐いていたが、今は慣れたようだ。
元々センスは良かったので、今では私と対戦しても5回に1回は勝てるようになった。
私は途中、蹴りや足払いとかを繰り出すが、シルビオは私を蹴る事が出来ないので、結局負けてしまうのが実情だ。
ジョバンニ相手には容赦がないが。

「かあたま、まーだ、オエオエなの?」

「そうなの…ごめんね、エルビオ…」

「かあたま、ねんねしてね、よちよちね。」

「ありがとうーーーエルビオーー!」
と可愛いエルビオを抱きしめる。
エルビオの匂いは好き。
そこへシャワーを浴びたシルビオがやってきた。
「エル、大丈夫?ちゃんとシャワー浴びてきたから近く行っていい?」
シルビオの汗の匂いも気にはならないのだが、悪阻を心配し鍛錬の後は必ずシャワーを浴びてから顔を出す。
逆に石鹸の匂いが種類によってはダメなのだが。

「今朝は少し楽だから大丈夫。」

親子3人で幸せな朝のひと時を過ごしていると、ジョバンニがやってきた。

「おはようございます。ヤーコフ様から奥様にお手紙が届いております。」

「ヤーコフ?あら、珍しい。どうしたのかしら?」

手紙を受け取り手紙を読むと、
「え⁉︎ヤーコフが女の子を連れてくるって⁉︎」

「「え⁉︎」」

最近は本性を隠し、執事としてのジョバンニに徹していたのに、思わず声を出してしまったジョバンニ。
ヤーコフは私の二つ下の弟だが、剣の腕はお父様に次いで強い。
なので、エルウィンの次に2人には容赦がないヤーコフは、今では2人の恐る存在となった。
私はお父様に似ているが、ヤーコフはお母様に似た優しげで綺麗な顔立ちと違って腹黒なのだ。

「おらおら義兄上、そんなんで姉さんは守れないよ、逆に姉さんに守られちゃってもいいの?ほら、ほら、ほらーーー!」
と追い詰めてからシルビオを打ちのめすのが、何より楽しいらしい。

ジョバンニには、
「ジョー兄さん、そんなに弱っちいから姉さん、取られちゃうんだよ~。
好きな子に意地悪しても嫌われないのは美形だけだよ~ほら、悔しかったら倒さないと。」
とチクチク子供の時に意地悪していたジョバンニに今になって復讐しているようだ。

そんなヤーコフが女の子を連れてくる意味…。

「え⁉︎彼女⁉︎姉に紹介したいとか⁉︎」
3人が動揺している中、

「ヤーコフにいたま、くるの?」とエルビオ。

「そうよ、エルビオが10回寝たら来るそうよ。あ、お昼寝ではなくて、夜ね。」

「よる10かい、ねる!ヤーコフにいたま、だ~いすき!」

「エルビオ、父様は?父様は好き?」

「とうたまも、だ~いすき!ジョバンもすき!かあたまは、もっとすき!」

3人が「くぅ─────!」と悶え苦しんだ。

「エルビオ様、パールはお嫌いなんですか…」
と離れて控えていたパールが言うと、
「パールもだーいすき!」と言われて、膝をついていた。

「で、その女の子はヤーコフの何なの?」
とシルビオ。

手紙を全部読んでいなかった事を思い出し、読み進めると、学園の時の後輩で最近偶然会ったが、私に相談にのって欲しいと言っているが一度会ってもらえないだろうかという事だった。

「どうして私に相談したいのかしら?トビアス公爵家のジュリア様は今19歳だったはず…そのご令嬢が私に何を相談したいのかしら・・」

「奥様に相談したいのならば、男女の揉め事か、剣の事くらいじゃないですか?」
とジョバンニ。

「ちょっとジョバンニ!それどういう意味よ⁉︎」

「だって我がヒーナス家の当主夫婦は有名ですから。特に若かりし頃の当主の浮気癖は。
それを見事、妻一筋に矯正し、今では国1番のおしどり夫婦となった。そんな奥様に相談するとなったら、旦那や婚約者の浮気問題以外に何があるって言うんですか?」

「もっとあるでしょうが!子育てについてとか、淑女としてとか、女主人の心得とか!」

「結婚もしてないのに子育ての相談なわけないでしょうが。淑女教育なら公爵令嬢の方があるに決まってるわ!」

「ジョバンニ、エルは淑女としても、女主人としても、母としても完璧だぞ!
少し荒々しいだけだ!」

「シルビオ、荒々しいってどういう事だろうか?淑女って荒々しかったかしら?」

「ジョバン、とうたま、かあたまは、とってもかあーいーよ。」

「「「「くぅ────ッ」」」」

部屋にいる4人が胸を押さえ悶えた。

結局、どうして私に相談するのかは分からなかったが、ヤーコフに返事を送り、訪問を許可した。















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