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隠していない隠し部屋
しおりを挟む「ジョルビー、走ったら危ないよー!兄さまが抱っこしてあげる。」
トタトタと走る弟のジョルビーをエルビオが抱っこしようとする。
「やなの、だめなの、にいたま、めっ、よ!」
何でも1人でやりたがる次男ジョルビーは、私に似てジッとしていない。
エルビオはもうすぐ5歳、ジョルビーは2歳になった。
「母さま、ジョルビーがボクの言うこと、きいてくれないの!」
「ビオは優しいから心配なのね、良い子ね。
ルビーは大丈夫よ、意外と強いから、早々転んでも泣かないわ。」
「でも転んだら痛いから…」
「そうね、さすが兄様ね。」
そう言うと、エルビオはとっても可愛い顔で嬉しそうに笑った。
「エルビオもジョルビーも母様ばっかりで、父様悲しい・・・」
とシルビオが本気で目をウルウルさせている。
「とうたま、すき!」
「父さまも大好き!」
「父様も2人とも大好き!でも1番好きなのは母様!」とシルビオは大人気ない事を言っている。
子供達は、僕の方が好き、父様にはあげないと言い合っている。
そんな姿も微笑ましいものだ。
「ほらほら、喧嘩しない!坊ちゃま方、おやつの時間ですよ、手を洗ってきましょうね。」
とジョバンニ。
ジョバンニは、1年前にパールと結婚した。
いつの間に⁉︎と思ったが、とても幸せそうだ。
パールは最近妊娠が分かり、悪阻が酷いので休んでいる。
また新しいミステリー小説を読んで、私にうるさいほど語ってくれるだろう。
モリスもヤーコフも結婚した。
なんとヤーコフはあのジュリア嬢と結婚した。
ジュリア嬢は、あれから婚約者と話し合ったが、何度話しても会話にならず、最後は泣いてばかりの婚約者に呆れ果ててしまったらしい。
その相談に乗っていたのがヤーコフだ。
両親とも上手くやっているようなので、サバーナ侯爵家も安泰だろう。
モリスはお義父様が持っている伯爵位を継ぎ、商会を1人で切り盛りしている。
モリスと結婚したアリーシャ・ロリス男爵令嬢は、小さくて可愛いらしい方で少し体型がふくよかだが、それが可愛らしさを倍増していて、皆んなから愛されている。
私も可愛くて大好きだ。
クリスハート様とフランシス様のご夫婦には1歳になるテレス王子がいらっしゃる。
一時不仲を噂されていたが、今は夫婦というより幼馴染みに戻った感じだ。
ブライアン様もなかなか決まらなかった婚約者を決め、去年結婚した。
隣国の王女様でとてもお綺麗な方だ。
そして、修道院に入っていたキャルティさんは最近修道院を出たそうだ。
キャルティさんの実家のカーク男爵から手紙が来てその事を知った。
カーク男爵だけエルビオの誕生日パーティーの時にだけ我が家に招待している。
優しい眼差しでエルビオを見つめているが、ヒーナス侯爵家の嫡男として、エルビオには接してくれている。
エルビオがもう少し大きくなったら、きちんと説明しようとシルビオと決めているが、キャルティさん次第で話すタイミングは変わるかもしれない。
エルビオに会いたいと乗り込んで来られたら、早めに話す事になるだろう。
カーク男爵の手紙には、真面目に暮らしているが、孤児院の子供を我が子のように育てていたが、養子に出され落ち込んでいるのが心配だと書かれていた。
突撃する事はないと思うが、注意は必要だろう。
キャルティさんの妊娠から色々あった。
隠し部屋を見つけて、浮気現場を目撃した。
隠し部屋はちっとも隠されてはいなかったが、使っている本人だけが隠していたあの部屋は、今では抜け道として使っている。
しかし、このままでは侵入し放題になってしまうので鍵を厳重につけた。
中からしか開けられなくなった。
荷物の搬入の時のみ使用すると決められた。
嫌な使い方しかしてこなかったあの部屋は今では持ち出し禁止の蔵書の保管場所になっている。
そして、あのレポートも。
隠し部屋の階段の壁には、モリスが撮ったあの時のシルビオの隠し撮り写真が飾ってある。
時折、2人で階段に座りながら、この時は辛かったとか話しては笑っている。
お義父様はこの部屋を知っている。
以前この部屋の事を話した時、私が知っている事に驚いていた。
お義父様は、お義母様と結婚する前に使った事があると言っていた。
婚約中に娼館の方を何度か呼んで使っていたらしい。
「2度しか使った事はないが、使っていた事には違いない。
何の疑問も持たず使っていた事が、今思えば恥ずかしい・・・。
今更タニヤには言えないので、タニヤにはどうかこの部屋がどんな使われ方がされていたかは秘密にしていてほしい。
本当に申し訳なかった。」
と謝ってくれたが、結局勘の良いお義母様にバレて、ひと騒動になったのは申し訳なかった。
お義母様は本当に気付いていなかったそうだ。
絶対気付くだろうと思っていたが、庭に出て屋敷を見上げようなんて思ったこともなかったと言っていた。
普通のお嬢様はそうなのだろう。
たまたまサバーナ家が武に長けた家系で索敵は基本だから気付いたのかもしれない。
その騒動を聞いたお母様は、サバーナ家にもあるのかと疑い、今捜索中だ。
お父様が好きにさせているし、お父様がそんな事をする人ではないので心配はしていない。
あの部屋に入った日の事を忘れた事はない。
匂い、汚れたシーツ、今でも夢に見る時はある。
あんな使い方がされる事はないだろうが、もし息子達がそんな使い方に気付き、そんな使い方をしたら即座に潰す。
私が死ぬ時も潰す。
どんなにそんな使い方は駄目だと伝えても、ずる賢い奴はいる。
だから私達の代で終わらせるつもりだ。
今では私のお気に入りの場所となった、ちっとも隠せてなかった隠し部屋はただの書庫になった。
《完》
─────────────────────────
これで本編は完結となります。
キャルティのその後、クリスとフランシス、ブライアン、モリス、ヤーコフの結婚、ジョバンニとパールの結婚までの攻防、正妃レベッカ、陛下の心情などを番外編で書いていこうと思っております。
不定期投稿になると思いますが、読んで下さると嬉しいです。
たくさんのお気に入り登録、エール、ありがとうございました。
本当は皆さんの感想、ご意見をお聞きしたいのですが、なにぶんメンタル弱弱なので…。
気持ちに余裕が出来ましたら、感想受け付けますので、もうしばらくお待ち下さいませ。
次も楽しんで頂けるよう、日々精進していきたいと思います。
ありがとうございました!
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