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番外編 クリスハートの結婚
俺とフラン
しおりを挟むテレスが生まれてからの俺達夫婦は間にテレスを挟んでいるからか、愛し合っている夫婦のように仲が良い夫婦となった。
元々フランシスが妊娠したと分かった時に距離を取ったくらいで、仲は悪くはなかったのだが寝室を共にしていない事で不仲と噂になっていた。
フランシスが吹っ切れてからは婚約中より仲が良いくらいだった。
テレスが生まれてからは、とにかく二人はテレス中心にあーでもない、こーでもないとしょっちゅう顔を合わせるようになった。
まだ寝室は別だが。
ブライアンも初めての甥っ子にはメロメロらしく、執務を放り出してよくテレスに会いに行っている。
父上はさらにその上をいく。
初孫は可愛いらしく、“じいじ”と呼ばせると必死に“じいじ”を教え込んでいる。
まあ俺も人のことは言えないが。
テレスはとにかく可愛い。
なんと言っても俺に似ている。
フランシスは「目元は私よ!」と言っているが、どう見ても俺似だ。
今日はテレスが笑った。
今日は初めて俺が風呂にいれた。
今日は初めてテレスにスープを食べさせた。
今日はテレスが初めて寝返りをした。
毎日、毎月、テレスはできる事が増え、俺もフランシスも乳母に任せっきりにはせず、自分達でテレスを育てている。
自ずと俺とフランシスの距離は縮む。
最近は夫婦の寝室に二人で寝るようになった。
ただ寝るだけだが。
一緒に寝れば欲情はする。
だが、どうしても手が出せない。
きっかけがないとかそういうモノではなくて、フランシスを性欲の対象としたくなかった。
夫婦なのだから構わないのだろうが、俺はフランシスをテレスの母親として愛しているんだと思う。
俺の妻としてではなく。
だから俺はもうフランシスを抱くつもりはない。
隣りで眠っているフランシスはどう思っているのだろうか…。
「クリス・・・眠れないの?」
背中を向けたまま、眠っていると思っていたフランシスが話しかけてきた。
「ごめん、起こしたか?」
「ううん、眠ってなかったから。」
「なあフラン、お前は俺に抱かれたいと思うのか?」
「何?急にどうしたの?」
「俺は・・・身体は反応するが、フランを抱けない…。
でもそれは俺の勝手な思いだ。
今はフランを愛している。
でもテレスの母親としてなんだ…。」
「・・・そう。でもクリスの口から愛してるって聞けただけで良かったわ。
それに私はテレスの母親だもの。
それで私は構わない。
私もクリスを愛しているけど、今は貴方の愛は求めてないもの。
私とクリスの子供を、クリスが愛してくれるなら私はそれで満足よ。
でもしばらく女性を抱いていないのでしょ?
私で良ければお相手するわよ。」
「そういうのをしたくないから抱けないって言ってるんだよ。
性欲処理の為にフランを抱くつもりはないから。」
「じゃあテレスの兄弟を作ってやるって事で良いじゃない?
私はやらなくても別に苦痛ではないけど、浮気するなら私で我慢して欲しいわ。」
「浮気なんかしないし、別にもうやらなくても耐えられる。
ただ俺の勝手で決めるのはどうなんだろうと思っただけだ。」
「あんまり難しく考える事もないと思うけど。やりたきゃやればいいのに。
テレスに弟か妹が出来るだけだもの。」
「フランはそれで良いのか?」
「だってクリスの妻だもの。」
「まあ…そうだけど…」
「クリスは優しいのに女性に無体を働いた事が多分トラウマになってるのよ、きっと。
そして初恋を拗らせて、変な操を立てちゃってるの。
それはそれで構わないけど、あんまり自分を縛り付けない方がいいと思うのよ、私は。
無理に抱いてほしいとは思わないけど、政略結婚ってみんなそんなもんよ。」
「そんなもんってなんだよ。それに政略結婚じゃないだろ。」
「それに近いと思うよ、思い合っていない相手と結婚したんだもの。
最初は悲しかったけど、今の関係も嫌いじゃないし、このまま穏やかに夫婦生活送っていけるなら何の文句もないわ。」
「フランは変わったな。」
「貴方がいつまでもウジウジしてたからでしょ⁉︎こっちは母親になるっていうのに、クリスが“俺はお前を愛せない”だの、“寝室は別にする”だの、傷付いた新妻をほったらかしにしたんだもの、逞しくなるしかないじゃない!バカちん!」
「ば、バカちん⁉︎」
「そうよ、バカちんよ!アソコも腐って落ちれば良いんだわ!」
「落ちねえよ!落ちたら俺怖いわ!」
「だって使わないならなくても良いじゃない!」
「使うかもしれないだろ!」
「誰と使うのよ、浮気なんてしたらテレスは絶対渡さないから!」
「使うとしたらお前しかいないだろ!」
「だったら使いなさいよ!」
「ああ使ってやるよ!」
そして、俺達は喧嘩しながらも久しぶりに肌を合わせた。
俺が射精した後しばらくすると、なんだか笑えてきて、二人で笑った。
それからの俺達は甘い雰囲気になどならなかったが、何度か喧嘩しながらも二人目の子供が出来るまで、そう時間はかからなかった。
思い描いていた夫婦ではなかったが、これはこれで幸せだなと思えるようになった。
フランシスもすっかり逞しい母親であり、妻になった。
俺にだけ毒舌なのは納得出来ないが、なんだかんだ愛おしい。
もう自覚しているが、俺はどうやらフランシスをいつの間になら愛していたようだ。
でもまだ言わない。
この楽な関係が今一番好きだから。
それに“愛してる”なんて言ったら、
「ハア⁉︎今更⁉︎」と怒られそうだし。
でもきっとそれを言ったらフランシスは驚いた後、泣くと思うな。
その時が楽しみだ。
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これでクリスハート編は完結です。
次回はブライアン編、12時に更新です。
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