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番外編 ブライアンの結婚
久しぶりのヒーナス侯爵夫妻
しおりを挟む俺とジュリアンナの仲は順調だ。
思いの外ジュリアンナは優秀で、王太子妃教育も問題なく進んでいるし、フランシスとも仲良くやっている。
でも他にもジュリアンナの味方がほしい。
そして思いついたのが、エルザの顔だ。
アイツがジュリアンナに付いてくれたら心強い。
だから二人をジュリアンナを紹介する為に城に呼んだ。
あんなに遊びに行ってたのに、滅多に会わなくなってどれくらい経っただろうか。
相変わらずキラキラしい夫婦が現れた時のジュリアンナの顔は面白かった。
「なんなんですか、あのお二人は!眩しくて目を開けていられません!」
「あの二人はな、有名な夫婦なんだ。
旦那の方とは仲良くならなくて良いが、奥方とは仲良くなった方がいい。
あの人はあんな風だが、恐ろしく強い。
それに面白い人だから、怖がらなくて良いぞ。」
と言った時に、
「ブライアン様、聞こえてますけど。
失礼ですね、私の何処が怖いのですか!」
「久しぶりだな、シルビオ、エルザ。
隣りにいるのが、俺の婚約者のジュリアンナだ。」
「ジュリアンナ・スペンサーでございます。
よろしくお願い致します。」
「お初にお目にかかります、ジュリアンナ王女様。ヒーナス侯爵家当主のシルビオ・ヒーナスでございます。
こちらは最愛の妻、エルザでございます。」
「シルビオの妻のエルザでございます。
ジュリアンナ王女様にお目にかかれて光栄でございます。」
「王女なんて、名前ばかりのお飾りのようなものです。どうかジュリアンナとお呼び下さい。」
「では、ジュリアンナ様と呼ばせて頂きます。」
そして四人でのお茶会は成功と言えた。
ジュリアンナはエルザを気に入ったようで、次の約束もしていた。
そろそろお開きと思っていた時エルザが、
「あ、そうそう、つい最近我が家に不審者が現れましたのよ、ブライアン様。」
シルビオの肩がビクッと動いた。
また女関係か?と思って聞いてみると、
「夜中にガタガタ物音がしましたの。
ほら私、武芸を嗜んでいますからね、物音には敏感なんですの。
バルコニーに出ましたら、以前主人が使っていたあの部屋の入り口付近に怪しい人影がありましたので、今は物置と化しているあの部屋から外に出ましたの。
そしたら誰がいたと思います?」
「誰だ?」
「あの方です、キャルティ嬢です。」
「ハア⁉︎キャルティ⁉︎なんで今頃⁉︎」
事情を知らないジュリアンナはキョトンとしているが、ジュリアンナには後で説明すると言い、先を促す。
「それで私、キャルティさんを玄関からちゃんとご招待しましたの、そしたらキャルティさん、何て言ったと思います?」
「何て言ったんだよ!」
「“シルビオ様に呼ばれたのです”ですって!」
「違うって言っただろ!街でたまたま会ったから、一度屋敷に顔を出せと言っただけだ。
二人きりで会おうとも、夜会おうとも言ってないし、あの部屋で待ってるとも言ってない!」
「ですって、ブライアン様。どう思います?」
「どうと聞かれても・・・。」
「それでどうなったのですか、エルザ様!」
先が気になるジュリアンナがエルザに問うと、
「聞いていただけますか、ジュリアンナ様。
その女性は、前に主人と関係を持っていた方なんですけどね、色々ありまして修道院に入っていましたの。
真面目にお勤めして今は修道院を出て、ご実家に帰られたんですけど、街でばったり主人と会ったんですって。
それで主人にお呼ばれされたから、てっきり逢引部屋に呼ばれたと思ったんですって!
どう思います?
屋敷に来た彼女も頭おかしいと思いますけど、元カノを屋敷に来いって言う旦那って、もう離婚案件だと思いません?」
「思います!私は許しません!」
「待て待て、シルビオ、お前何で屋敷に来いって言ったんだよ!」
「街中でエルビオに会わせろって叫ぶから、黙らせるのにそう言っただけだ!
俺は二度とエルザを裏切る事なんてしない!」
「エルザに何も言わなかったのか?」
「エルザの愛らしい顔を見たら忘れた・・・」
「お前って奴は・・・」
呆れた…コイツはホントにバカだ。
あの時、あんな大騒ぎになったのに元凶のキャルティを屋敷に呼ぶなんて有り得ない。
「どうしてエルビオ君にその人が会いたいのですか?」
ジュリアンナの一言でその場に緊張が走った。
そうだ、ジュリアンナはエルビオがキャルティとシルビオの子供だと知らない。
「そうでした、ジュリアンナ様は知らなかったですね、エルビオは主人とキャルティさんの子供なんですの。」
「エエエエェェ⁉︎そうなんですか⁉︎」
頭を抱えるシルビオと俺。
「ど、ど、どうしてエルザ様が育てているのですか?」
「話せば長いので、ブライアン様から後でお聞き下さい。
今はエルビオは私の大事な息子です。
今更渡しません。
だからこそ許せないのです。
エルビオを見たらキャルティさんは母親ですもの、返してと言いたくもなります!
なのに考え無しで屋敷に来いだなんて、私にもキャルティさんにも最低の行いです!
だから私、今家庭内別居してますの!」
「家庭内別居・・・」
「エルザ様、その方は結局どうなったのですか?」
「ご実家に連絡して迎えに来て頂きました。
ご実家のご両親は謝って下さいましたが、謝るのは主人ですからね、夜中にすみませんって帰って頂きました。
後日、私があちらに言ってキャルティさんとお話しして、無事解決致しました。」
「どう解決したか聞いても?」
俺は恐る恐る聞いた。
「キャルティさんの修道院での暮らしは報告を聞いていましたから知ってましたからね、自分が面倒みていた子が養子に貰われて寂しかったのです。
我が子に会いたいた思っても仕方ない事ですよね…そこへ主人が屋敷に来いなんて言うもんだから、サービスしたら息子に会えるかもって思っちゃったんですよね~だから懇々とお説教しました。
もう貴方の息子ではないと。
貴方はあの時自分の子を捨てたのだと説教しました。
それでそんなに子供の面倒を見たいなら養護院で働きなさいって言ったの。
養護院は生まれたばかりの子供が多いでしょ?だからそこで幼子を思う存分育てなさいって。
だから今は養護院で働いて、子沢山の気持ちを味わってるわよ。」
「「なるほど・・・」」
「でも家庭内別居は続けてるんだ・・・・」
「女性を隠れて屋敷に招待した事には変わりないですから!」
シルビオを見ると泣いていたのでギョッとした。
「お前、泣くなよ~」
「だってエルザが…許してくれなくて…また…出て…行っちゃったら…と思うと…怖くて…」
「ハア~エルザも許してやれよ、可哀想だろ!」
「こんな美形が泣いてるのは、見ていて切ないですね…」
とジュリアンナもシルビオを可哀想な人目線で見ている。
「お二人がそう言うのなら、そろそろ許しましょう。
シルビオ!次は実家に帰るからね!」
「ごめん、行かないで、エルザ…」
騒ぐだけ騒いで二人は帰っていった。
「なんか…良いもの見たって感じです…。
でも素敵な夫婦ですね。」
ジュリアンナは、エルザ夫婦に何があったのかを詳しく聞きたいと俺を話さなかったので、延々説明させられた。
俺がエルザに惚れていた事は秘密にした。
この事は墓場まで持っていく。
俺だけの秘密だ。
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