私のような彼と彼のような私

jun

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婚約破棄 ミゲル視点

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俺はあれから家に帰って父に婚約の事を相談しようと思っていたら、何故か突然アナが俺に会いに来た。

最近は全然来なかったし、さっき他の男とキスしてたくせによく来れるなと思ったが、
サロンに案内した。

「今日は何?お友達はいいの?」
と何気に嫌味を言ってみたら、あからさまにビクッとした後、泣き出した。

「私、ミゲルに会えなくて寂しかった…。
もう離れたくないの…。
お願いミゲル、私を抱いて欲しいの、今すぐ!」

「ハア⁉︎さっきまでキスしてた男に抱いてもらえばいいだろ!」

「え?見てた⁉︎」

「うん、たまたま図書室から下を覗いたら君達がいたんだよ。
それで、何?」

「知ってたのね…ミゲルは私が他の人とあんな事をしても何とも思わないのね…」

「だって進級してから俺とは会わずにその男とずっと一緒にいたのは君だろ?」

「だって彼は知り合いがいない私をずっと気遣ってくれてたの!
それで新しいお友達も出来て、嬉しかったのだもの!
ミゲルはちっとも会いに来てくれないし!」

「会いに来ないって、アナが今日はお友達と、お昼はお友達と、休みはお友達と、って断ってきたんだろ。
俺が無理矢理そのお友達の輪の中に入れば良かったのか?
紹介もしないくせに!」

「そんな言い方…酷い!」

「さっきまで男と乳繰り合ってた人間がよくも俺に文句が言えるな。
で、その男とキスした事を報告に来たのか。」

「それは・・・違う…ミゲルに抱いて欲しくて…」

「意味がわからないんだけど。他の男とイチャイチャしてる女と・・・・・。

まさかお前…」

「お願い、私を抱いて、ミゲル、そしたらすぐ結婚出来るわ!」

これほどまでに腹が立った事はなかった。
アナは・・・

「そういう事か…。分かった、少し待ってて。
準備してくるから。」


俺はサロンを出て、父の執務室に行き、アナの事を話した。
すぐルビオナ侯爵に連絡し、侯爵が来るのを待った。
しばらく待つと侯爵が到着したと連絡が来たので、父と二人で出迎え、アナが待つサロンへ三人で向かった。

サロンにいたアナは、自分の父親の顔を見るとみるみる顔色を変えた。

俺が、
「アナ、準備が出来たよ。さあ、どうして急に俺に抱いてくれって言ったのか、理由を教えてくれるかな?」
と言うと、

「そ、それは、わ、私が、ミゲルと、」
しどろもどろになんとか話そうとしているが、上手く言えないらしい。
ならばと、俺が代わりに言う事にした。

「アナ、妊娠してるんだな?だから俺と既成事実を作りたかったんだよな?」

「ちが、ち、違う、わ…」
身体はブルブル震え、顔色は青を通り越して真っ白だ。

「俺とは三年になってからほとんど会ってない。なら相手はコルトしかいない。」

「違う、コルトは関係ない!コルトは関係ないの!だからコルトの家には言わないで!」

バチーンとアナの頬をルビオナ侯爵が叩いた。

「キャーー」と言ってアナは倒れた。

「ルビオナ侯爵、もし妊娠しているなら乱暴にはなさらない方がいい。」

「申し訳ございません。こんな愚かな娘に育っていたとは…。
ミゲル殿には今まで娘を大切にして頂いて下さったのに、このような公爵家を謀るようなマネをさせてしまった事、謝罪させて頂きたい。ベルナー公爵、ミゲル殿、この度は娘が大変ご迷惑おかけ致しました。
帰り次第、婚約破棄と慰謝料の手続きをさせて頂きます。
本当に申し訳ございませんでした。」
と土下座し、謝っていた。
アナは倒れたまま、泣いているだけで謝りもしなかった。

ルビオナ侯爵に連れられアナと二人、サロンを出る際、侯爵はもう一度頭を下げてから出て行った。


「ミゲル、大丈夫か?」
と父が肩に手を置き聞いてきたので、

「はい。きっと私の魅力がなかったのでしょう。
アナとは上手くやっていけると思っていたのですが…残念です…」

「あちらとは私が処理するから、お前は休んでいなさい。」

そう言って、父はサロンを出て行った。

俺は一人サロンに残り、椅子に座った。

そういえばずっと立ったままだった。

何が悪かったんだろう…。
俺がもっと行けば良かったんだろうか…。
でも俺は俺で新しいクラスの付き合いがあった。男同士の付き合いに婚約者を加えるのは気が引けた。
でもアナは女子同士ではなく男女のグループの中に入った。
呼ばれるわけでもないのに、その中のアナに声をかけるのは躊躇われた。
それがいけなかったんだろうか…。

後数ヶ月で妻となる人は、他の子供を孕った。

情けなくて涙も出なかった。















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